英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。
第497回の今日はこの言葉です。
“That's not like what I heard.”
「聞いてたんと違う」
という意味です。
これはカナダ留学の専門会社が制作した「正直すぎるカナダ留学あるある」というプロモーション動画です。この動画を見た方ならもうご存じと思いますが、僕も最初に見た時は爆笑しましたのでご紹介します。
ここのところ長文の記事が続きましたので、今日は軽い話題です。

By Raysonho @ Open Grid Scheduler / Grid Engine (Own work), cropped by Jim Saeki in 2018 [CC0], via Wikimedia Commons
『カナダ留学に行くとなぜブスになるかを歌ってみた』
というタイトルのこの動画、
『カナダ留学に行ってブスになった少女のその後』という曲名のキャプションで始まります。ギョッとする、けっこう強烈なタイトルですよね。
公式ではないですが、
“Memoirs of a Girl Who Became Ugly Studying Abroad in Canada”と英訳されています。“memoir”(メモワール)とは回顧録のことです。なかなかうまい訳だと思います。
以下、非公式英訳と共にご紹介します。
♪「カナダと言えばパツキンがたくさんだと思てたけどという歌声で動画は始まります。イラストも上手で、曲や歌もいい感じです。
現地について思うことは… アジア人、アジア人、アジア人、ばっかり」
“When you say Canada, I think of lots of blonde-haired people
I arrived there thinking that but... Asians, Asians, Asians was all there was”
動画の舞台はカナダの西海岸にあるバンクーバー(Vancouver)です。あの街は特にアジア人が多いんですよね。またカナダだけでなく、アメリカでもイギリスでも大学や語学学校はアジア人、特に中国からの留学生で溢れかえっています。
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カナダ建国150周年の「カナダ・デー(Canada Day)」を祝う人たち(2017年7月1日)
Photo by NurPhoto / Contributor, 2017 [Rights-managed], via Getty Images
動画では「到着前の想像」というキャプションがついて、主人公の女の子がパーティーで白人の美男美女に囲まれている想像のキラッキラなイメージが示されたあと、パーティーでアジアンな若者たちに囲まれている現実が描かれます。カレーを手に白目をむいた主人公の表情が可笑しいです。
♪「聞いてたんと違う〜 聞いてたんと違う〜という歌がそれにかぶります。カッコ内は挿入セリフです。
日本で聞いてた話と全然違う〜
(それが移民の国カナダ)」
“It's not like what I heard, it's not like what I heard
It's completely different from the stories I heard in Japan
(That's the Country of Immigrants, Canada)”
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カナダ建国150周年の「カナダ・デー(Canada Day)」を祝う人たち(2017年7月1日)
Photo by NurPhoto / Contributor, 2017 [Rights-managed], via Getty Images
歌はさらに続きます。
♪「そろそろ3ヶ月経つけれど留学に来たのに、これは由々しき問題です。
英語しゃべれない」
“Three months have gradually passed but
I can't speak English”
しかし最初の頃は生活に慣れるのに精いっぱいで、英語どころではないのかもしれません。
・「ボディーランゲージの方が上達する」など、ちょっと悲しい「あるある」な現実が続きます。
・「結局日本人と一緒にいるからむしろ日本語が上達」
かなり焦ってくる頃で、精神的にもつらい時期です。

Image Copyright by Robert Kneschke, Used under license from Links Co., Ltd.
ここで画面は暗転し、
半年後という字幕が出ます。
Six months later...
メロディーは暗く、歌声もか細くなります。
♪「そろそろ半年経つけれどキタ―――――――――――!!!
太りだす」
“Half a year has gradually passed but
I got fat”
これは最も怖ろしい「あるある」です。
何なんでしょうね。外国生活をすると、なぜか太ってしまう人が多いのです。
運動しない。歩かない。移動は車が多い。
外食が増える。そしてその外食の量が多い。油っこい。
ホストファミリーの家で食べても食事の量が多い。間食が増える。
コカ・コーラのコップがでかい。アイスの容器がバケツのように超でかい。
などなど、海外生活では太る要素が満載なんです。怖いですね。
動画ではさらにいろんな「カナダあるある」「バンクーバーあるある」が示されます。
一般的な「欧米あるある」もかなり多いですので、僕は爆笑してしまいました。

Image courtesy of KEKO64, published on 04 August 2013 / FreeDigitalPhotos.net
このような「欧米あるある」は、みなさんも旅行や出張で海外に行かれた時には経験されることとと思います。また欧米に限らず「海外旅行あるある」もありますよね。
・「目的地で入国審査を待つ時の緊張感がハンパない!」などなど、ちょっと考えただけでもこれだけの「海外旅行あるある」を思いつきました。程度の差こそあれ、皆さん同じような思いをされたことがあるのではないでしょうか。
・「空港から街までの交通機関がショボくて(無くて)途方に暮れる!」
・「警官の威圧感にキョドる! 軍人の迫力にチビる!」
・「日本語の看板は当然無いが英語の看板も全く無くて街が現地語だらけでビビる!」
・「現地人が挨拶もなく現地語で突然話しかけてくる! 何なの!?」
・「漢字の安定感と安心感は異常! たとえ中国語でもなんとなくわかる!」
・「グーグルマップ万歳! スマホは神!」
・「レストランのメニューが理解できない! 適当に頼んで大失敗!」
・「トイレはどこ!? トイレに鍵をかけるなスタバ!!!」
・「数日で現地の食事がいやになる! 日本食が恋しい!」
・「マクドナルド最高! でもサブウェイは注文できないから無理!」
・「中華料理最高! こんな街にも中華街を作る中国人は神!」
・「日本の航空会社の帰国便に乗った時の一足先に帰国した感! ジャルアナ最高!」
・「日本に帰った時の安心感! 日本食ウマー! 日本最高! おうちが一番!」
・「海外格安SIMを使わなかった時、帰国後に時間差で来る海外パケ死の恐怖!」
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Photo by Joe Raedle / Staff, 2007 [Rights-managed], via Getty Images
僕自身も学生時代にヨーロッパ某国の企業でインターンシップの研修をしながら3ヶ月ほど暮らしたことがあります。たった3ヶ月ではありますが、この動画の主人公と同じようにいろいろな「海外生活あるある」を経験しました。僕はそれまで短期の海外旅行すらしたことがありませんでしたので、それはそれは強烈な体験で、僕の海外好きの基盤ともなりました。
また、アメリカで数年間暮らした時も強烈な「アメリカあるある」がありましたし、イギリスでの生活もまさに「イギリスあるある」を体験しています。

By Graeme Maclean (originally posted to Flickr as hdr parliament) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
「海外生活あるある」は「海外旅行あるある」と共通するものもありますが、海外生活ならではのものもあります。思いつくものを挙げてみますね。
・「日本語フリーペーパーなどは、どんなにつまらない記事でも隅から隅まで熟読してしまう」テンションアゲアゲで「!」だらけの「海外旅行あるある」と比べたら少し落ち着いた感じですが、海外生活って意外に大変なんだということがわかって頂けましたでしょうか。優雅でうらやましいとかよく言われたりしますが、まったくそんなこと無いんですよ。日々サバイバルです。
・「日本のテレビ番組を見る方法をめっちゃ調べる」(そのうちどうでもよくなる)
・「ニンジンが細い。キュウリが太い」
・「中国人や韓国人と間違われると、全力で否定する」
・「日本人だと言うと忍者だと思われる。つか忍者の人気っぷりに嫉妬する」
・「夜間や休日など、とんでもない時に日本から電話がかかってくる」
・「夜1時から2時までなど、とんでもない時間帯の電話会議を設定される」
・「この際いろいろ旅行をしたいのだが、案外ヒマがない」
・「日本の人からは毎日遊んでいると思われる」
・「日本から人が来ると、出張のくせにめっちゃ遊んで行く」
・「日本から偉い人が来ると、レストランの予約や空港送迎など旅行会社的な仕事が増える」
・「日本から友達や家族が来ると嬉しい。めっちゃ嬉しい」
・「日本から人が来ると張り切って初日に日本食レストランに連れていくが、全く喜ばれない」
・「ニューヨークやパリなど大都市へ旅行する一番の楽しみは日本食。超おいしい」
・「髪を切るのが面倒。服を買うのが面倒。そのうち外見を気にしなくなる」
・「体調を崩すと超大変。診察を予約すること自体が無理ゲー」
・「虫歯になると超大変。お金もかかるし腕も悪い」

Image courtesy of nenetus, published on 16 September 2015 / FreeDigitalPhotos.net
また、海外生活が長くなると経験するのが「一時帰国あるある」です。以下はネットで挙げられているものに僕自身のあるあるを加えてみました。
・「帰国前に、『日本から持って帰ってくる物リスト』を入念に作成する」あるある!(笑)
・「“go back to Japan”の甘美な響き」
・「日本に到着して最初に言葉を交わす日本人である入国審査官にめっちゃ心をこめて「こんにちは!」と挨拶してしまう」
・「成田の入国管理局の職員がマスクをしていて、「一体どんな衛生事情の国に来てしまったんだ?」と一瞬びっくりするが、街行く人がみんなマスクをしている光景にやがて慣れてしまう」
・「成田空港に到着し、入国管理に到達する途中にある『おかえりなさい』の表示を見る度にじんわりして、独り心の中で「ただいま!」と答えてしまう」
・「周りがみんな日本人というあたりまえの事実に感動して、電車の中とかで「一緒に頑張ろうな!」などと思ってしまう」
・「タクシーのドアを自分で開けようとして怒られる」
・「スーパーのレジでカゴの中身を自分で全部出そうとして怒られる」
・「何を食べてもめちゃくちゃ美味しい」
・「コンビニおにぎりの進化にビビる」
・「やわらかティッシュのあまりの肌触りの良さに驚愕する」
・「日本の美容師さんが神に思える」
・「店員が座ってたりしゃべってたりふざけてたりご飯食べてたりしてない…」
・「フリーwifiのあまりの少なさに、砂漠で水を求める冒険者みたいになる」
・「全てのトイレに便座がある」
・「ウォシュレットは神。しかも盗まれていない」
・「風呂のシャワーで温かいお湯がたっぷり出る幸せ」
・「温泉なんて3年ぶり。あまりの嬉しさに挙動不審になる」
・「真っ暗な夜道にある自販機をみるたびに「なんて平和なんだろう」と思う」
・「家の窓に鉄格子が無い」
・「警備員の武装が足りない」
・「警察官が小柄で威圧感ゼロなのにびっくり」
・「婦人服売場、Mサイズと思った商品がXL」
・「タレントや芸人がさっぱりわからない。知ってる芸人もすっごい老けてる」
・「時刻どおりに動く電車に感銘を覚え、たった2分遅れただけで謝罪アナウンスが流れることに驚愕する」
・「知らない間に電車の相互乗り入れで終点が聞いたこともない駅に変わっていて、行先を見てもどっち方面かわからない」
・「雨が降ればみんな傘をさすのでびっくり」
・「歩行者用信号が赤でもつい渡りそうになる。みんな信号を守っていて凄い」
・「クレジットカードで何か買うとき「一回でよろしいですか?」とか「お支払い回数は何回ですか?」とか聞かれて一瞬「え?」と思う」
・「今が平成何年かわからない」
・「前の人がドアを開けて待っててくれない」
・「映画館で映画見るとクソ高い」
・「外国人を見ると安心する。何か聞かれたらめっちゃ親切に教えてあげる」
・「久しぶりに逢う家族や友人にハグしないで別れると物足りない…」
・「くしゃみをしても誰も何も言ってくれなくて寂しい」
・「道を聞くと本当のことを教えてくれていてびっくりする」
・「役所など生活の様々な場面で「あ、闘わなくていいんだ」とおもう」(←これは「本帰国あるある」ですね)
・「一時帰国がおわって海外のおなじみの空港や駅に着いた時の圧倒的なホーム感」
・「海外の自宅に帰った時の安心感。おうちが一番」
一つ一つをじっくり語りたいぐらい「あるある」なんですが、長くなるのでやめておきます。成田空港で「ただいま!」って心の中で言っているのは僕だけじゃないんですね。

By よ (http://www.nagi.org/diary/?date=20100826) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
おっと、だいぶ話が逸れてしまいました。カナダ留学の話に戻します。
日本学生支援機構の最新の調査によると、海外に留学している日本人の学生は2016年で9万7千人ほどで、前年に比べて1万2千人増えているそうです。留学先として多い国は、アメリカが1位で留学生の数は約2万人、2位はオーストラリアで約9千500人、そして3位がカナダで約8千900人です。
カナダはケベック州以外は英語圏で、治安もよく自然も豊かなので人気の留学先の一つです。
特にバンクーバーは日本にも近く、大都会と大自然の両方を楽しめるのが魅力です。
バンクーバーのある西海岸は気候が穏やかなのも地味に重要です。カナダの中部や東部の冬は寒いですから。

バンクーバーの夕景(2011年撮影)
By MagnusL3D [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
“That's not like what I heard.”
♪聞いてたんと違う〜。
カナダ留学に行って太ってしまった少女。
たしかにアメリカやカナダでは太るリスクが高いです。食事の量やバランスと運動不足によるものです。
でも僕はカナダが大好きです。大自然と都市の便利さのバランスがちょうどよく、温度は摂氏で距離もメートル法、重さもグラムなのでわかりやすく、何よりも人々が親切でフレンドリーです。
アメリカからカナダに旅行した時も、明らかに人々のリラックスレベルが数段上でした。
気のせいか食事もアメリカよりも美味しいように感じました。
はたしてカナダ留学に行った少女は英語が話せるようになったのでしょうか。
それは動画をご覧になって下さい。
【動画】“カナダ留学に行くとなぜブスになるかを歌ってみた”, by Kazumasa Nakamichi, YouTube, 2014/09/07
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【動画】“The Japanese experience when studying abroad in Canada (カナダへ留学した日本人の経験)”(英語字幕付き), by Ryuuhou Kagiyama, YouTube, 2017/04/21
【関連記事】第465回:“Bigger is better.” ―「大きいことはいいことだ」(森永製菓、アメリカ人の価値観), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年10月04日
【関連記事】第244回:“What happens one hour after eating a Big Mac?”―「ビッグマックを食べた1時間後あなたの体に何がおきる?」(Fastfoodmenuprice.com), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2015年10月07日
【参考記事】第13回:“Boys, be ambitious!”―「少年よ、大志を抱け!」(クラーク博士), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年05月05日
【関連記事】第93回:“Better to ask the way than go astray.”―「聞くは一時の恥」(ことわざ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年09月17日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【参考】“カナダ留学経験者/在留者がこぞって共感! 正直すぎるカナダ留学あるあるPV(映像)”, by FSS-Osaka
【参考】“「カナダ留学に行くとなぜブスになるのかを歌ってみた」を観てみた”, by ごっちゃんさん, ごっちゃんのひとりごと - ローカル好き国際系大学生の思ったこと体験したこと, 2017-01-28
【参考】“うんうんと頷かずにはいられない”カナダ留学に行ってブスになった少女のその後””, by パティ山パティ子さん, ホップ・ステップ・ギリホリ‼〜カナダワーホリ雑記帳〜, 2015-07-11
【参考】“カナダ建国150周年リポート(1) 〜首都オタワ「カナダデー」編〜”, by 時事通信社 編集局・石井靖子, 撮影:写真部・田口元也, jiji.com, 2017年7月
【参考】“「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について”, by 高等教育局学生・留学生課留学生交流室, 文部科学省 , 平成29年(2017年)12月27日
【参考】“日本に帰国したときに感じる「帰国あるある」まとめ”, by ミステリーハンターさん, NAVERまとめ, 2012年05月11日
【参考】“在米日本人の一時帰国あるあるベスト20”, by KOKOさん, アメリカ現地密着webマガジン はっちすたじおSan Francisco, Dec.17.2014
【参考】“海外在住者には分かるハズ!日本帰国時に感じる一時帰国あるある20選”, by ロン毛と坊主さん, ロン毛と坊主とニューヨーク, Dec.17.2014
【参考】“「一時帰国あるある」を募集します”, by ネルソン水嶋, デイリーポータルZ, 2016年3月6日
【参考】“一時帰国あるある〜タクシーのドアを自分で開ける民たち〜”, by ネルソン水嶋, デイリーポータルZ, 2016年3月20日
【動画】“カナダ留学に行くとなぜブスになるかを歌ってみた”, by Kazumasa Nakamichi, YouTube, 2014/09/07
【動画】“The Japanese experience when studying abroad in Canada (カナダへ留学した日本人の経験)”(英語字幕付き), by Ryuuhou Kagiyama, YouTube, 2017/04/21
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映像を見て、カナダがとても居心地がよさそうに思えました。ジム様は初めての海外旅行でのカルチャーショックが逆に海外旅行好きの動機づけになったのですね。あるあるの数々は笑ってしまいました。そうそうと相槌を打ちたくなりました。若い人が海外留学を希望しなくなったと聞いていますが、統計では昨年は一昨年を上回ったのですね。海外にどんどん出て行って、世界の人たちと仲良く共存できる地球でありたいですね!