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2017年06月26日

第440回:“Rise, our people, rise!” ―「立てよ国民!」(ギレン・ザビ)(『機動戦士ガンダム』より)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第440回の今日はこの言葉です。
“Rise, our people, rise!”

「立て、わが国民よ!」
「立てよ国民!」
という意味です。
これはアニメ『機動戦士ガンダム』(Mobile Suit Gundam)に登場するジオン軍の総帥、ギレン・ザビ(Gihren Zabi, UC0044-0080)の言葉です。

0440-1_rx-78-2_gundam_ver_divercity_tokyo.jpg
かつてお台場にあった等身大ガンダム(2012年撮影)
By カイロス (Own Work) [Public domain], via Wikipedia

『機動戦士ガンダム』は1979年4月から1980年1月まで放送されたテレビアニメです。
初回放送時の視聴率は関東地区で5.3%と振るわず、全52話の予定が全43話に短縮される形で打ち切りとなります。しかし打ち切りが決まった以降にストーリーは盛り上がり、徐々に人気が出始めます。『アニメージュ』『月刊OUT』などのアニメ雑誌でも力を入れた特集が次々と組まれ、中高生の特に女子を中心として口コミで評判が高まります。
その後、『ガンダム』は再放送で人気が爆発します。1981年の再放送では平均視聴率が関東地区で17.9%、1982年の再放送では25.7%を記録します。本放送が振るわず再放送で人気が爆発するのは、第一次アニメブームを作った『宇宙戦艦ヤマト』(Space Battleship Yamato)(1974年)と同じパターンです。
『ガンダム』はシリーズ化や映画化されて社会現象となるほどの人気となり、第二次アニメブームを巻き起こします。


機動戦士ガンダム I [DVD] (劇場用映画第1作)

物語の背景は、オープニングのナレーションを聞くとよくわかります。
「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。この一ヶ月あまりの戦いでジオン公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。
人々はみずからの行為に恐怖した。
戦争は膠着状態に入り、八ヶ月あまりが過ぎた。」

(第1話『ガンダム大地に立つ!!』より)
テレビ版と映画版では微妙に違っており、同じテレビ版でもエピソードによって違っていたりしますが、とてもわかりやすい導入部だと思います。『サザエさん』の磯野波平役などで知られる永井一郎氏の渋い声も素晴らしいです。


【動画】“ガンダムナレーション1話”, by broadcastman007, YouTube, 2008/09/04


【動画】“Mobile Suit Gundam Opening Narration [DUB](機動戦士ガンダム - オープニングナレーション(英語吹替)”, by DevilBuster Kaz, YouTube, 2019/01/25

主人公は機械好きの内気な少年アムロ・レイ(Amuro Ray)。ふとしたきっかけで戦争に巻き込まれ、地球連邦軍の最高軍事機密の新兵器であるモビルスーツ「ガンダム」に乗って敵であるジオン軍と戦うことになります。アムロは戦うことに疑問を抱き、悩みながらも様々な経験を経て戦士として成長していきます。
こう書くとよくある普通のストーリーのように見えますが、やはりこの作品で新しかったのは、主人公の悩みっぷりがハンパなかったことです。それまでのロボットアニメはまっすぐな熱血キャラが大多数で、『ヤマト』の主人公、古代進(Susumu Kodai)も熱血バカ男の例にもれません。そこに登場したうじうじと悩むアムロは衝撃をもって受け止められ、若者たちの共感を得ます。
なお、内向的な主人公の系譜は『新世紀エヴァンゲリオン』(Neon Genesis Evangelion)(1995-96年)の主人公、いかりシンジ(Shinji Ikari)にも引き継がれます。そして『エヴァ』は第三次アニメブームを引き起こします。


機動戦士ガンダム Blu-ray Box (特製リーフレット付)

この作品の魅力は、なんといってもリアリティーあふれる作品世界の設定です。
それまでのロボットアニメのありがちなパターンは、主人公の乗る巨大ロボットは近親者である博士はかせが作った一品モノ。せいぜい仲間が乗る二、三体です。敵はなぜ出てくるかよくわからない「怪獣」か、世界征服を狙う「悪の秘密結社」が作った「敵巨大ロボット」など。主人公たちの本拠地である「秘密基地」に毎週一体ずつやってきて、主人公側のロボットとしばらくプロレスごっこ的な戦いをして、最後は「必殺技」でとどめをさされて「爆発」する。
これを延々と毎週毎週繰り返すというものです。



ロボットアニメだけでなく、ウルトラマン(Ultraman)や仮面ライダー(Masked Rider)、ゴレンジャー(Gorenger)から始まったスーパー戦隊シリーズ(Power Rangers)、セーラームーン(Sailor Moon)やプリキュアシリーズ(Pretty Cure)などの美少女戦士物も基本的にこのパターンです。
まあこれはこれで僕は好きですが、「お子様向け」の内容を脱することはできません。



それに対して『ガンダム』は地球連邦(Earth Federation)とジオン公国(Principality of Zeon)の二陣営による人類規模の戦争を描いており、敵のジオンも同じ人間です。人類が宇宙に出た必然性や宇宙に住む方法などもリアリティを持って描かれています。
そしてロボットは「モビルスーツ」(mobile suits)と呼ばれる兵器です。なぜ兵器が人型なのかも強引ながら理由がちゃんと説明されていますし、兵器ですから量産型の同じものがたくさん出てきます。


ガンプラ HGUC 1/144 MS-06 量産型ザク (機動戦士ガンダム)

また新型機として敵味方とも個性あふれる多種多様なモビルスーツが登場します。
パイロットの技量が優れていれば旧型でも強く、逆にパイロットが新人でもモビルスーツの性能がよければ敵と互角以上に戦うことができます。
「ガンプラ」と呼ばれるプラモデルも人気となり、今でも様々に改良されて発売が続いています。


ガンプラ MG 1/100 MSM-07S シャア・アズナブル専用 ズゴック (機動戦士ガンダム)

このモビルスーツは、アメリカのSF作家ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein)の名作『宇宙の戦士(Starship Troopers)』(1959年)に着想を得たものです。この作品に登場する「機動歩兵」(mobile infantry)という兵科の兵隊が使用する「パワード・スーツ」(powered suits)という強化装甲服を参考にモビルスーツが考案されたそうです。


宇宙の戦士〔新訳版〕(ハヤカワ文庫SF) , ロバート・A ハインライン (著), 内田 昌之 (翻訳)

この作品を原作とする映画『スターシップ・トゥルーパーズ(Starship Troopers)』(1997年アメリカ)も制作されます。『ロボコップ』(Robocop)や『トータル・リコール』(Total Recall)、『氷の微笑』(Basic Instinct)などを手がけたオランダ出身のポール・バーホーベン(Paul Verhoeven)が監督した愛すべき作品で、僕も大好きな素晴らしい映画です。しかし残念ながらこの映画ではパワードスーツの設定までは映像化されていません。


【動画】“Starship Troopers Trailer - 20th Anniversary Edition Available on 4K Ultra HD(『スターシップ・トゥルーパーズ』20周年記念版予告編)”, by Sony Pictures Entertainment, YouTube, 2017/09/25

話をガンダムに戻します。この作品では戦争における軍隊という組織も丁寧に描かれています。前線の兵士や作戦指導をする司令部だけでなく、兵站を担う補給部隊、敵情を探る諜報部隊なども登場します。また民間人や避難民、中立国の事情、和平交渉や大量破壊兵器の是非なども描かれていて興味が尽きません。
また、敵のジオン公国が単なる悪役ではないのもこの作品の特徴です。敵側にも多くの魅力的な人物がいますし、味方側にも多くの困った人がいます。また敵も味方も裏切者がいたり組織の弊害があったりして、どちらも一枚岩ではないところなどもリアリティを感じさせます。



シャア・アズナブル(Char Aznable)やランバ・ラル(Ramba Ral)など魅力的な人物がいる敵キャラの中でも、強烈で異様な存在感を放っているのがギレン・ザビ(Gihren Zabi)。ジオン公国に君臨するザビ家の総帥にして実質的な最高指導者です。
弟であるガルマ・ザビ(Garma Zabi)地球方面軍司令がアムロたちと戦って戦死した際に、ガルマの国葬でギレンは国民へ向けた演説を行います。この演説は敵である地球連邦軍にも中継され、作品中でも演説をまるまる放送します。アムロたちと視聴者はこの放送で敵がどんな存在であるかを初めて実感するのです。(第12話『ジオンの脅威』より)


1000ピース ジグソーパズル 機動戦士ガンダム ガルマ・ザビ追悼演説-ギレン・ザビ総師-(49x72cm)

ギレンはこの演説で国民に人気があった御曹司ガルマの死を悼み、その悲しみを怒りに変えて戦うことで必ず勝利できると語ります。そして終盤に、国民にこう呼びかけます。
“Rise, our people, rise!”
「立てよ国民!」
ギレンの言葉はジオン国民を熱狂させます。敵ながら見事な演説です。


【動画】“機動戦士ガンダム U.C.0079 ギレン・ザビ”, by Somrane, YouTube, 2017/12/09


演説の締めくくりにギレンは、
“Sieg Zeon!”
(ジーク・ジオン!)
と叫びます。群衆もそれに続けて「ジーク・ジオン!」と連呼します。
“Sieg”(ズィーク)はドイツ語で「勝利」という意味の単語です。
したがって「ジーク・ジオン」とは「ジオンに勝利を!」という意味になります。
ナチスドイツの第三帝国で使われた「ジーク・ハイル!(Sieg Heil!)」(勝利万歳)が元ネタだと思います。
なお、TV版の英語吹き替えではドイツ語の“Heil”(ハイル)と同じ意味の英単語“Hail”(ヘイル)を使って、
“Hail Zeon!”
(ヘイル・ジオン)
「ジオン万歳」
となっています。映画の英語吹き替えでは、ドイツ語の
“Sieg Zeon!”
(ジーク・ジオン)
がそのまま使われています。


【動画】“Gihren Zabi's speech (English Dub) (ギレン・ザビの演説(英語吹き替え))”, by The Goofy Gouf, YouTube, 2014/01/15

“Rise, our people, rise!”
立てよ国民!

30分の1の国力のジオンを率いて地球連邦に対して反旗を翻したギレン・ザビ。
宇宙の民の解放を目指して無謀とも思える戦争を始めたのは、モビルスーツ「ザク」(Zaku)の量産に成功して勝利の見込みが立ったからでした。しかし地球連邦軍はモビルスーツ「ガンダム」(Gundam)の開発に成功し、さらに量産型の「GM(ジム)」を前線に大量投入して反撃を開始します。
果たしてジオンは連邦に勝利してギレンは野望を達成することができるのでしょうか。
それは作品をご覧になって下さい。


【動画】“Mobile Suit Gundam Trailer (『機動戦士ガンダム』英語版予告)”, by Luiz Filipe Bastos, YouTube, 2008/05/01

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! GM(ジム)佐伯でした。
ジーク・ジオン!


【動画】“ギレン・ザビ演説 〜ガルマ国葬〜銀河万丈さんの生演説”, by junk632nd, YouTube, 2012/03/15

【関連記事】第186回:“There's no man like a snowman.”−「雪だるまのような人はいない」(ジョーク), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年02月23日
【関連記事】第186回:“第330回:“You can walk now, Clara!” ―「クララが歩いた!」(ハイジ)(『アルプスの少女ハイジ』より), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年06月17日
【関連記事】第50回:“There ain't no such thing as a free lunch.”―「無料の昼食なんてものはない」(ロバート・A・ハインラインほか), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年07月04日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“ギレンの演説(ガルマ国葬時)”, Z-COMET / Zの彗星 (クワトロ・バジーナ、ファンサイト)
【参考】“ギレンの演説(ア・バオア・クー時)”, Z-COMET / Zの彗星 (クワトロ・バジーナ、ファンサイト)
【参考】“ジークジオン!ジークジオン!!ジークジオン!!!ってなんだ!?”, 機動戦士ガンダム雑学帳〜明日使える小ネタと豆知識, 2015/5/31

【動画】“ガンダムナレーション1話”, by broadcastman007, YouTube, 2008/09/04
【動画】“Mobile Suit Gundam Opening Narration [DUB](機動戦士ガンダム - オープニングナレーション(英語吹替)”, by DevilBuster Kaz, YouTube, 2019/01/25
【動画】“Starship Troopers Trailer - 20th Anniversary Edition Available on 4K Ultra HD(『スターシップ・トゥルーパーズ』20周年記念版予告編)”, by Sony Pictures Entertainment, YouTube, 2017/09/25
【動画】“ギレンの演説(TV版)”, by paopao_6000
【動画】“Gihren Zabi's speech (English Dub) (ギレン・ザビの演説(英語吹き替え))”, by The Goofy Gouf, YouTube, 2014/01/15
【動画】“Mobile Suit Gundam Trailer (『機動戦士ガンダム』英語版予告)”, by Luiz Filipe Bastos, YouTube, 2008/05/01
【動画】“ギレン・ザビ演説 〜ガルマ国葬〜銀河万丈さんの生演説”, by junk632nd, YouTube, 2012/03/15




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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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