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2016年05月16日

第316回:“Be anywhere. Move anything. Connect everyone.” ―「どこにでも存在しよう。何でも動かそう。みんなをつなごう。」(ハイパーループ・ワン)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第316回の今日はこの言葉です。
“Be anywhere. Move anything. Connect everyone.”
「どこにでも存在しよう。何でも動かそう。みんなをつなごう」
という意味です。
これはアメリカのベンチャー企業「ハイパーループ・ワン(Hyperloop One)」のスローガンです。
2015年に「ハイパーループ・テクノロジーズ(Hyperloop Technologies)」としてスタートアップし、つい先日の2016年5月11日に社名を現在のものに変更しました。

0316-hyperloop_one.jpg
【参考】ハイパーループ・ワン公式サイト

ハイパーループとは、アメリカの実業家イーロン・マスク(Elon Musk, 1971-)の構想による次世代交通システムです。100パスカル(約1000分の1気圧)に減圧されたチューブの中をポッドと呼ばれる乗り物が浮上して、最高時速1220キロでロスアンゼルス〜サンフランシスコ間(全長610キロ)を30分で結ぶという構想です。

0316-hyperloop_cheetah.jpg
ハイパーループ構想のコンセプト図
By RichMacf (Own work) [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

イーロン・マスクについては以前もご紹介したことがありますよね。
簡単で安全なネット決済システムを提供する「ペイパル(PayPal)」や、スタイリッシュで高性能な電気自動車を製造・販売する「テスラ・モーターズ(Tesla Motors)」、独自のロケットと宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)への物資補給を手がける「スペースX(SpaceX)」などのイノベーション溢れるビジネスを次々に起業して成功した南アフリカ出身の実業家です。

0316-elon_musk_the_summit_2013.jpg
イーロン・マスク(2013年撮影)
By Heisenberg Media (Flickr: Elon Musk - The Summit 2013) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

イーロン・マスクが初めてハイパーループ構想を語ったのはシリコンバレーのテクノロジー・メディア「パンドデイリー(PandoDaily)』のトークショーです。
彼は構想中のビジネスとして電気駆動の垂直離着陸機(VTOL)や電気駆動とロケットエンジンを併用した超高速旅客機などと共にこのハイパーループ構想を語ります。2012年7月のことです。
イーロンは次のように語ります。
“We have planes, trains, automobiles and boats, ... What if there was a fifth mode?”
「僕らには飛行機と列車と自動車と船がある。...第5の方法があるとしたらどうだろう?」



【動画】“PandoMonthly: Fireside Chat With Elon Musk (『パンド・マンスリー』イーロン・マスクとの炉辺ろへん談話)”, by PandoDaily, YouTube, 2012/07/17

翌2013年8月、イーロンはテスラ・モーターズ社の公式ブログに58ページの文書を掲載してハイパーループ構想の詳細を発表します。
サンフランシスコとロサンゼルス間にはカリフォルニア高速鉄道(California High-Speed Rail)の建設計画がありました。しかし総工費は約700億ドルと言われており、イーロンにとっては建設コストがかかり過ぎる上にスピードが遅くて実用にならない計画でした。そこでイーロンは自身が経営するスペースX社とテスラモーターズ社の従業員からアイデアを募り、ハイパーループを発表したのです。
イーロンは新しい交通機関が目指すべき理想として、より安全で(Safer)より早く(Faster)、より低コストで(Lower cost)より便利で(More convenient)、悪天候の影響を受けず(Immune to weather)、持続的に自己発電し(Sutainably self-powering)、地震に耐える(Resistant to Earthquakes)必要があるとした上で、ハイパーループこそがそれを実現できると主張します。


【動画】“Hyperloop Project Presentation(ハイパーループプロジェクトのプレゼン”, by Syed Umar, YouTube, 2015/04/30

しかしイーロン自身はテスラ・モーターズの会長兼CEOとスペースXのCEO兼CTOで超多忙です。
そこで彼はこの構想をオープンソース・プロジェクト(Open-sourced Project)として世界中から参加者を募ります。
そこで名乗りを上げたのがハイパーループ・テクノロジーズ社、現在のハイパーループ・ワンです。
同社の設立に中心的な役割を果たしたのがスペースX社の技術者時代にハイパーループ構想の提案に深く関わったブローガン・バンブローガン(Brogan Bambrogan)です。
ちなみにほかにはまぎらわしい名前の「ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ(Hyperloop Transportation Technologies)」が参加しています。そしてつい最近「トランスポッド(TransPod)」がポッドのデザインに参加を表明します。


【動画】“We saw the first Hyperloop tubes in the desert (我々は見た:砂漠にあったハイパーループの最初のチューブ)”, by CNNMoney, YouTube, 2016/01/06

ハイパーループ・ワンは他社に先駆けてノース・ラスベガスの砂漠に実験路線を建設してポッドの試作機を開発し、つい先日の2016年5月11日に公開実験を行います。
実験でポッドの試作機は1.9秒で時速187キロに到達した後、砂を巻きあげながら減速します。僕は見ていて正直「これで終わり?」と思ったほどあっけない実験でしたが、見事な成功です。
当初の構想では空気浮上・空気推進でしたが、その後の検討で様々な問題が明らかになり、現在は磁気推進の方針となったようです。
ハイパーループ・ワンはカリフォルニアだけでなく世界各国の運輸大手との提携も発表しています。
一方ライバル会社のハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズは、アメリカのローレンス・リバモア国立研究所(LLNL: Lawrence Livermore National Laboratory)が開発した受動磁気浮上技術のライセンス契約を結んだそうです。こちらも頑張ってほしいですね。


【動画】“Hyperloop One - Propulsion Open Air Test (ハイパーループ・ワン - 屋外推進テスト)”, by Hyperloop One, YouTube, 2016/05/11

“Be anywhere. Move anything. Connect everyone.”
どこにでも存在しよう。何でも動かそう。みんなをつなごう。

なんだかとても夢のある言葉ですね。
既存の交通機関の概念を変えるハイパーループ構想の夢を語ったイーロン・マスク。
そしてイーロンの夢であるハイパーループ構想を先頭で引っ張るハイパーループ・ワン。
僕はハイパーループ構想の実開発がこんなに進んでいるとは思ってもいませんでした。
ちょっと昔のSFアニメには未来都市の空中をめぐる透明チューブを滑るように走る乗り物がよく登場しました。それとそっくりな乗り物が実現するのもそう遠い未来の話ではないかもしれません。
日本が誇る新幹線やリニアモーターカーもうかうかしてはいられませんね。


【動画】“An Introduction to Hyperloop One (ハイパーループ・ワンの紹介)”, by Hyperloop One, YouTube, 2016/04/13

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第299回:“I would like to die on Mars. Just not on impact.” ―「僕は火星で死にたい。衝突じゃなくてね」(イーロン・マスク), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月08日
【関連記事】第306回:“Please don't flush nappies down this toilet.” ―「トイレに紙おむつを流さないで下さい」(ヴァージン・トレインズ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月26日
【関連記事】第300回:“Screw it, let's do it!” ―「どうでもいい。やっちまおうぜ!」(リチャード・ブランソン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月13日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】ハイパーループ・ワン公式サイト
【参考】“The Real iPod: Elon Musk's Wild Idea for a 'Jetson Tunnel' from S.F. to L.A. (リアルiPod:サンフランシスコとロスアンゼルスを「ジェット・トンネル」で結ぶイーロン・マスクの豪快なアイディア)”, by Megan Garber, The Atlantic, JUL 13, 2012
【参考】“Hyperloop (ハイパーループ)”, by Elon Musk, Blog, Tesla Motors, August 12, 2013
【参考】“Musk Shows Hyperloop Transport Design for People to Cars (夢の交通網「ハイパーループ」構想の詳細披露−マスク氏)”, by Ashlee Vance, Bloomberg, August 13, 2013
【参考】“時速1000kmオーバーの次世代移動体「Hyperloop」の試験用チューブが砂漠に建造される”, by logv_to, GIGAZINE, 2016年01月10日
【参考】“未来の列車「ハイパーループ」、初の公開実験 時速187キロ”, by Heather Kelly, CNN Money, 2016.05.12

【動画】“PandoMonthly: Fireside Chat With Elon Musk (『パンド・マンスリー』イーロン・マスクとの炉辺ろへん談話)”, by PandoDaily, YouTube, 2012/07/17
【動画】“Hyperloop Project Presentation(ハイパーループプロジェクトのプレゼン”, by Syed Umar, YouTube, 2015/04/30
【動画】“We saw the first Hyperloop tubes in the desert (我々は見た:砂漠にあったハイパーループの最初のチューブ)”, by CNNMoney, YouTube, 2016/01/06
【動画】“Hyperloop One - Propulsion Open Air Test (ハイパーループ・ワン - 屋外推進テスト)”, by Hyperloop One, YouTube, 2016/05/11
【動画】“An Introduction to Hyperloop One (ハイパーループ・ワンの紹介)”, by Hyperloop One, YouTube, 2016/04/13




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