英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。
第306回の今日はこの言葉です。
“Please don't flush nappies down this toilet.”「トイレに紙おむつを流さないで下さい」
という意味です。
トイレでよく見かける注意書きです。水に溶けるトイレットペーパー以外のものを流すとトイレがつまってしまうからです。
僕は今日の言葉のカテゴリを「ジョーク」にしました。しかしこれのどこがジョークなのでしょうか。
この言葉自体はジョークでもなんでもありません。
実はこれ、さらに長い言葉の一部なのです。
Image courtesy of foto76, published on 15 May 2014 / FreeDigitalPhotos.net
僕がこの言葉を見つけたのはイギリスの鉄道会社ヴァージン・トレインズ(Virgin Trains)の長距離列車のトイレです。
ヴァージン・トレインズは以前ご紹介したリチャード・ブランソン(Sir Richard Charles Nicholas Branson, 1950-)が1997年に創業した会社で、ロンドンのユーストン駅(London Euston)からイギリスのウェストコースト本線(WCML : West Coast Main Line)の中長距離列車を運行しています。
M1モーターウェイと並走するウェストコースト本線
By G-Man [Public Domain], via Wikimedia Commons
さて、今日の言葉の全貌はどうなのでしょうか。それではご覧下さい。
“Please don't flush
Nappies, sanitary towels,
paper towels, gum,
old phones, unpaid bills,
junk mail, your ex's sweater,
hopes, dreams or goldfish
down this toilet.”
ヴァージン・トレインズの長距離列車
By Andrew Thomas from Shrewsbury, UK (390 156 Manchester Piccadilly June 1 2014.) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
ずいぶん長い注意書きですね。意味を見てみましょう。
「トイレには流さないでください。
紙おむつや、生理用品や、
ペーパータオルや、ガムや、
古いケータイや、未払いの請求書や、
迷惑メールや、元彼(元カノ)のセーターや、
希望や、夢や、金魚などを。」
By Jim Saeki, 2014
いやー、すごいですね。
最初の3行は普通ですが、そのあとはめちゃめちゃふざけてます。
真面目な場面でふざけているのがイギリスらしいとうか何というか……。
リチャード・ブランソンが直接考えたわけではないとは思いますが、彼のお茶目な性格がそのまま表れているようです。
リチャード・ブランソン(2009年撮影)
Gina Hughes [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons
しかもこれ、ご丁寧に音声アナウンスまで流れます。
僕は最初この注意書きを見てアナウンスを聞いた時は、あまりの衝撃にしばらく用を足さずに立ちつくしてしまいました。
イギリス人の変なユーモアセンス、あなどれません。
トイレ自体は広く、自動ドアで、水洗・手洗い・石鹸・乾燥すべてセンサーで使えるので快適です。
航空会社ヴァージン・アトランティック(Virgin Atlantic)でも飛行機の設備やサービスにこだわったヴァージン・グループの気合いが感じられます。
【動画】“Toilet Humour, Richard Branson Virgin Style - Genious (トイレのユーモア:リチャード・ブランソンのヴァージン・スタイルは天才的)”, by Tim Hollingworth, YouTube, 2014/05/06
“Please don't flush nappies down this toilet.”
トイレに紙おむつを流さないで下さい。
それはわかった。ガムまでわかった。
しかしケータイて。セーターて。
ジャンクメールはいったいどうやって流すんでしょうか。
ヴァージン・トレインズおそるべし。
ここまで大真面目にふざけるのはなかなかできません。
朝からトイレの話ですみませんでした。
皆さんもヴァージン・トレインズの列車に乗る機会があったらぜひトイレものぞいてみて下さい。
そしてくれぐれも夢や希望を流さないように気をつけて下さい。
Image courtesy of marin, published on 20 November 2012 / FreeDigitalPhotos.net
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【関連記事】第300回:“Screw it, let's do it!” ―「どうでもいい。やっちまおうぜ!」(リチャード・ブランソン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月13日
【関連記事】第157回:“Where is a bathroom?”―「トイレはどこですか?」(アメリカ日常会話), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年01月07日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【参考】“Signage Sunday : Readers Signs : Please don’t flush (標識の日曜日:読者の標識:流さないで下さい)”, by liz scully, Dec 15, 2013
【参考】“Virgin introduces talking train lavatories (ヴァージンの列車が話すトイレを導入)”, By David Millward, Transport Editor, The Telegraph, 03 Nov 2013
【動画】“Toilet Humour, Richard Branson Virgin Style - Genious (トイレのユーモア:リチャード・ブランソンのヴァージン・スタイルは天才的)”, by Tim Hollingworth, YouTube, 2014/05/06
ツイート |