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2016年04月13日

第300回:“Screw it, let's do it!” ―「どうでもいい。やっちまおうぜ!」(リチャード・ブランソン)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第300回の今日はこの言葉です。
“Screw it, let's do it!”
“Screw it.”
というのはスラングで、
「そんなことほっとけ」
「どうでもいい」
「知ったこっちゃない」
という意味の言葉です。
あまり上品な表現ではありませんので、使う時にはご注意下さい。
ですから、
“Screw it, let's do it!”
というのは、
「どうでもいい。やっちまおうぜ!」
といったところでしょうか。
後のことは気にせずに、思い切ってやってみようということです。
これは、イギリスの起業家リチャード・ブランソン(Sir Richard Charles Nicholas Branson, 1950-)の言葉です。
航空会社や鉄道、音楽、映画、金融など多くの会社が含まれるヴァージン・グループ(Virgin Group)の創設者にして代表者でもあります。
前回ご紹介したアメリカの起業家イーロン・マスク(Elon Musk, 1971-)も面白いですが、イギリスのリチャード・ブランソンもかなり面白いですよ。
そしてこの2人には共通点があります。宇宙を目指しているというところです。

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リチャード・ブランソン(2015年撮影)
By Chatham House [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

リチャード・ブランソンは1950年にロンドン南西部のブラックヘス(Blackheath)に生まれます。
父親は弁護士で、母親は元バレエダンサーで元CAでもありました。
ブランソンは16歳までバッキンガムシャーのパブリックスクールに通いますが、識字障害(難読症)のため学業成績はあまりよくありませんでした。
学校を出たブランソンはクリスマスツリーやセキセイインコの育成と販売のビジネスに失敗しますが、18歳の時に教会を借りて創刊した雑誌「ステューデント(Student)」は軌道に乗ります。その雑誌では若き日のミック・ジャガー(Mick Jagger, 1943-)のインタビューを行ったこともあります。
その後ブランソンは雑誌のレコード広告や中古レコードの通信販売で成功をおさめ、1973年にレコードレーベル「ヴァージンレコード(Virgin Records)」を立ち上げます。ブランソン23歳の頃です。
ヴァージンレコードはセックス・ピストルズ(Sex Pistols)やカルチャー・クラブ(Culture Club)など、時代を象徴するアーティストたちのレコードを世に送り出し、イギリスを代表するレコードレーベルの1つへと成長し、国外にも進出をはたします。
音楽・映像ソフト販売店の「ヴァージン・メガストア(Virgin Megastores)」は1990年から2009年まで日本でも出店展開されました。

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ヴァージン・メガストアの店舗(2004年撮影)
michiel1972 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

1984年、ブランソンは中古のボーイング747-200型を1機購入し、ロンドン・ガトウィック空港とアメリカのニューアーク国際空港を結ぶ路線で運行を開始します。「ヴァージン・アトランティック航空(Virgin Atlantic Airways)」の誕生です。
ブリティッシュ・エアウェイズ(British Airways)など既存の航空会社の圧力や妨害を受けながらも事業を拡大し、会社名が示す大西洋航路だけでなく、世界を結ぶ航路網を築きます。1989年にはガトウィック-成田便を就航させます。

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ヴァージン・アトランティックが初めて運行したボーイング747-200(1985年撮影)
By Steve Fitzgerald (Airliners.net) [GFDL 1.2, CC BY-SA 3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

ブランソンが目指したのは低価格と充実したサービスの両立です。世界で初めてエコノミークラスにシート内蔵テレビを導入したり、完全に背もたれが倒れるビジネスクラスを導入したり、豪華な空港ラウンジを導入したりして顧客の心をつかみます。
残念ながら2015年に成田便からは撤退してしまいましたが、ヴァージン・アトランティックはニューヨークやロスアンゼルス、シドニーや香港など世界の30都市を結ぶサービスを展開しています。
ブランドンはほかにも1996年にヨーロッパ圏内の格安航空会社「ヴァージン・エクスプレス(Virgin Express)」を、2001年にオーストラリアで「ヴァージン・ブルー(Virgin Blue)」を、2006年にアメリカで「ヴァージン・アメリカ(Virgin America)」を、それぞれ設立します。

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ロンドン・ヒースロー空港のラウンジ
By Jeremy Keith (Flickr: Virgin lounge, Heathrow) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

ブランソンはほかにも次々にいろんな業種に進出します。
・1979年:出版会社「ヴァージン・ブックス(Virgin Books)」
・1983年:ゲーム会社「ヴァージン・ゲームズ(Virgin Games)」
・1985年:旅行会社「ヴァージン・ホリデイズ(Virgin Holidays)」
・1994年:コーラ製造・販売「ヴァージン・コーラ(Virgin Cola)」
・1995年:個人向け金融「ヴァージン・ダイレクト(Virgin Direct)」
・1997年:鉄道会社「ヴァージン・トレインズ(Virgin Trains)」
・1997年:化粧品製造・販売「ヴァージン・コスメティクス(Virgin Cosmetics)」
・1999年:携帯電話事業「ヴァージン・モバイル(Virgin Mobile)」
・1999年:フィットネスクラブ「ヴァージン・アクティブ(Virgin Active)」
・2000年:発電・送電やガス供給「ヴァージン・エナジー(Virgin Energy)」
・2000年:自動車のネット販売「ヴァージン・カーズ(Virgin Cars)」
・2000年:宇宙旅行会社「ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)」
・2001年:音楽専用ラジオ放送「ヴァージン・レディオ(Virgin Radio)」
・2009年:臍帯血さいたいけつ移植バンク「ヴァージン・ヘルスバンク(Virgin Health Bank)」
・2010年:F1レーシングカーチーム「ヴァージン・レーシング(Virgin Racing)」
・2010年:ホテル経営「ヴァージン・ホテルズ(Virgin Hotels)」
・2014年:クルーズ会社「ヴァージン・クルーズィズ(Virgin Cruises)」
実に様々な業種にビジネス展開したものです。そしてブランソンがいつの時代も当時の最先端のさらに先をいく分野に先行して投資してきたことがわかります。また彼の趣味や関心が反映されていることもわかります。

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ヴァージン・レーシングのF1マシン(2010年撮影)
By slitz from Portugal (IMG_2394.jpg) [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

そんなブランソンの座右ざゆうめい(motto)が、
“Screw it, let's do it!”
「どうでもいい。やっちまおうぜ!」
です。
ヴァージン・グループのウェブサイトにも書いていますし、ブランソンの著書のタイトルにもなっています。
慎重になるのもいい。でもとにかくやってみる。そしてダメなら改善するか撤退する。
ブランソンはそのやり方でヴァージン・グループを世界で400社、従業員5万人、年間売上150億ポンド(約2兆円, 2012年)の巨大企業グループにまで育てあげます。
彼は2000年にエリザベス女王からナイト(Knight)の称号を賜り、サー(Sir)を名乗ることを許されます。事業の成功による雇用創出と外貨獲得によるイギリス経済への貢献が認められたのです。


僕たちに不可能はない, リチャード・ブランソン (著), 中村 起子 (翻訳) (2008年)

ブランソンは冒険家でもあります。大西洋横断航海や、熱気球による大西洋横断飛行・太平洋横断飛行・世界一周飛行、水陸両用車による英仏海峡横断航行などに積極的に参戦します。時にはブランソン自身が搭乗し、失敗することもありますが見事にスピード記録を樹立することもあります。
またヴァージン・アトランティックがスポンサーとして支援して開発された飛行機「ヴァージン・アトランティック・グローバルフライヤー(Virgin Atlantic GlobalFlyer)」は2005年に単独無着陸世界一周飛行のスピード記録を樹立します。
自動車レースの最高峰F1への参戦や電気自動車のF1と言われるフォーミュラE(Formula E)への参戦、そして宇宙旅行への挑戦も、ブランソンの冒険心の現れなのです。

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ヴァージン・アトランティック・グローバルフライヤー(2006年撮影)
By NASA [Public domain], via Wikimedia Commons

ブランソンはほかにもいろんな名言を残しています。
“Life is a helluva lot more fun if you say yes rather than no.”
「ノーではなくイエスと言えば、人生は最高に楽しいのさ」
“Records are made to be broken.”
「記録は破られるためにある」
“Listen. Take the best. Leave the rest.”
「よく聞いて、最高のものを選んで、残りは捨てよう」
“Only a fool never changes his mind.”
「心変わりしないのは馬鹿だけだ」
彼の考え方がいろいろ伝わってきますね。

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チャールズ・ブランソン(2006年撮影)
by NASA [Public Domain], via Wikimedia Commons

ブランソンは2000年に「ヴァージン・ギャラクティック(Virgin Galactic)」を設立し、宇宙旅行の夢の実現を目指します。何より会社の名前がいいですね。ボーイング747-200型わずか1機で大西洋路線に参入したヴァージン・アトランティックのように、今度はヴァージン・ギャラクティックで宇宙旅行に参入するのです。
ヴァージン・ギャラクティックはスケールド・コンポジッツ(Scaled Composites)社から技術提供を受け、再利用可能な宇宙船「スペースシップ・ツー(SpaceShipTwo)」を開発しています。乗員2名乗客6名。宇宙ロケットというよりは超小型スペースシャトル、スペースプレーン(spaceplane, 宇宙飛行機)といった外観の機体です。母機となる双胴のジェット輸送機「ホワイトナイト・ツー(WhiteKnightTwo)」で高度15キロの成層圏まで運ばれて切り離され、高度110キロの熱圏まで上昇する弾道飛行を行った後に、グライダーのように滑空して帰還します。わずか2時間半ですが立派な宇宙旅行で、無重量状態も経験できます。

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ホワイトナイト・ツーに搭載されたスペースシップ・ツー(中央)
By Virgin Galactic/Mark Greenberg [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

同社は2007年に1人20万ドル(約2400万円)で宇宙旅行の募集を始めます。億単位でかかるかと思ったら、意外に安い値段ですね。2013年の発表では、575人が飛行を契約して既に料金を支払い済とのことです。契約者の中には日本人も何人か含まれています。価格はその後改定され、現在は25万ドル(約2900万円)になっています。
2014年の試験飛行で初号機がモハーヴェ砂漠に墜落し、乗員2名中1名が死亡する事故がありましたが、2016年2月に事故の経験をもとに改良された2号機が公開されます。
ヴァージン・ギャラクティックはこの2号機で試験飛行を再開し、宇宙旅行を目指します。


【動画】“Virgin Galactic's Third Powered Flight (ヴァージン・ギャラクティックの3度目の動力飛行)”, by Virgin Galactic, YouTube, 2014/01/14

“Screw it, let's do it!”
どうでもいい。やっちまおうぜ!

新しい分野に果敢に挑戦し、巨大なヴァージン・グループを作り上げたブランソン。
宇宙旅行の夢が実現する日まで、あと一歩です。


【動画】“Virgin Galactic introduces newest spacecraft (ヴァージン・ギャラクティックが最新の宇宙船を導入)”, by RT America, YouTube, 2016/02/19

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。


【動画】“Virgin Galactic - Innovation (ヴァージン・ギャラクティック - イノベーション)”, by Virgin Galactic, YouTube, 2014/11/21

【関連記事】第299回:“I would like to die on Mars. Just not on impact.” ―「僕は火星で死にたい。衝突じゃなくてね」(イーロン・マスク), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月08日
【関連記事】第298回:“I'm still alive... obviously.” ―「僕はまだ生きている。明らかにね」(マーク・ワトニー)(『オデッセイ』より), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月04日
【関連記事】第56回:“NASA encourages you to keep reaching for the stars!”―「NASAは君が星を目指し続けることを応援する!」(NASAよりデクスター少年へ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年07月14日
【関連記事】第92回:“There wasn't ever a dry eye.”―「いつも涙が出そうになった」(トレイシー・コールドウェル), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年09月15日
【関連記事】第151回:“I hate space!”―「宇宙なんて大嫌い!」(ゼロ・グラビティ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年12月28日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“Virgin Galactic (ヴァージン・ギャラクティック公式サイト)”
【参考】“今日豆 『screw it』 #0038”, 一日ひとつ 英語の豆知識, 2008年10月14日
【参考】“ヴァージングループの創設者リチャード・ブランソン”, by ボスさん, 元祖社長日記。これが私の生きる道!, 2009.10.28
【参考】“Screw It, Let's Do It (どうでもいい。やっちまおうぜ!)”, Virgin Group
【参考】“ヴァージン社の宇宙船「スペースシップツー」、2号機がお披露目 名前は「ユニティ」”, by Sorae.jp編集部, 宇宙(そら)へのポータルサイトSorae.jp, 2016/02/20

【動画】“Virgin Galactic's Third Powered Flight (ヴァージン・ギャラクティックの3度目の動力飛行)”, by Virgin Galactic, YouTube, 2014/01/14
【動画】“Virgin Galactic introduces newest spacecraft (ヴァージン・ギャラクティックが最新の宇宙船を導入)”, by RT America, YouTube, 2016/02/19
【動画】“Virgin Galactic - Innovation (ヴァージン・ギャラクティック - イノベーション)”, by Virgin Galactic, YouTube, 2014/11/21




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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 実業家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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