英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。
By stockimages, published on 05 June 2015. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
第297回の今日はこの言葉です。
“Okey-dokey!”これは、
「オーキィ・ドーキィ」
というように発音します。
これは、
“OK!”
“Okay!”
をもじった言葉遊びです。“OK”と同じようにアメリカ発祥の言葉ですが、イギリス人も日常会話で普通に使います。
語尾を少し変えて、
“Okey-doke!”という人もいます。
「オーキィ・ドウク」
どちらも、男性がよく使うように思います。
スラングですので、フォーマルなビジネスの場などでは使われません。
By imagerymajestic, published on 23 November 2012. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
この言葉、もともとジョークのように使われていましたが、今ではふざけていない時でも日常会話の中で普通に“OK”のかわりに使われます。
また、アメリカでは“OK”という意味だけでなく、
「ばかばかしい」という形容詞や「だます」という動詞としても使われることがあります。
このように似たような音を繰り返すことを“Reduplication”(反復)と呼びます。
詩や標語などで印象を強めたり、単なる言葉遊びとして使われたり、そのまま単語になったりします。
“choo-choo”(チューチュー)「汽車ポッポ」
“wee-wee”(ウィーウィー)「おしっこ」
“hanky-panky”(ハンキー・パンキー)「いちゃつき」「ごまかし」
“zig-zag”(ジグザグ)「ジグザグの」
“singsong”(スィングソング)「抑揚のない」「合唱会」幼児語に多いですが、大人も使う言葉もありますね。
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また、さらに似た語感の言葉を付け加えて、
“Okey-dokey, smoky!”
「オーキィ・ドーキィ、スモーキー!」
“Okey-dokey, pokie!”
「オーキィ・ドーキィ、ポーキー!」
“Okey-dokey, artichokey!”などというのも見たことがあります。ここまでくると完全に言葉遊び。意味はほとんどありません。
「オーキィ・ドーキィ、アーティチョーキー!」
単に「オーキィ・ドーキィ、アーティチョーキー!」って言いたいだけです。
ずいぶん前にご紹介した言葉遊び、
“See you later, alligator.”と同じです。
「さよならアリゲーター」
Public domain picture from U.S. Fish and Wildlife Service, via Wikimedia Commons
“OK”とは、ご存じのように“All right.”とほぼ同じ意味の言葉です。
おなじみの言葉のわりには、その起源ははっきりわかっていません。
一説では、“All correct.”(すべて正しいです)の略であると言われています。
それなら“AC”になる筈ですよね。
これ、わざとスペルミスさせた、
“Oll Korrect.”
の略だとされています。
By Maximilian Schönherr (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
19世紀のアメリカ東海岸のボストンあたりで流行ったと言われており、ボストンの新聞「ボストン・モーニング・ポスト(Boston Morning Post)」の1839年3月23日に載ったのが確認されています。
現在の日本でもネットなどでわざと変換ミスや読み間違いを言葉遊びのように使うことがありますよね。
例を挙げると陳腐になってしまいますが、「漏れ」「藁」「がいしゅつ」などがそうです。
“OK”という略語自体が、一首の言葉遊びやジョークとして使われていたのでしょう。
By stockimages, published on 30 October 2012. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
“OK”が初めて新聞に載った翌年の1840年、アメリカの大統領選挙で現職だったマーティン・ヴァン・ビューレン大統領(Martin Van Buren, 1782-1862)が民主党(Democratic Party)から立候補します。アメリカにまだ26の州と4つの領域しかなく、西部は未開拓だった時代です。
ビューレンはニューヨーク州キンダーフックの生まれで、「オールド・キンダーフック(Old Kinderhook)」というあだ名を持っていました。民主党陣営はこのあだ名のイニシャル“OK”と“Oll Korrect”の略としての新しい言葉“OK”をかけて選挙戦で使ったそうです。
第8代アメリカ大統領マーティン・ヴァン・ビューレン
By The Bureau of Engraving and Printing (Restoration by Godot13) [Public domain or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
対して新しく結党されたホイッグ党(Whig Party)からは軍人出身の政治家ウィリアム・ハリソン(William Henry Harrison, 1773-1841)が出陣します。ホイッグ党の陣営はビューレンの前任で政治上の師でもあった前大統領アンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson, 1767-1845)が“All Correct”の綴りを間違えたのだという説をネガティブ・キャンペーンに利用します。
第7代アメリカ大統領アンドリュー・ジャクソン
「“OK”の綴り間違いの張本人」というネガティブ・キャンペーンに使われた
By The Bureau of Engraving and Printing (Restoration by Godot13) [Public domain or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
“OK”のキャンペーンが影響したかどうかはわかりませんが、この選挙ではホイッグ党のハリソンが勝利して第9代大統領となり、ビューレンは敗退します。
しかしこの選挙で、“OK”という言葉と真偽はともかくその由来がアメリカ全土で有名になります。
第9代アメリカ大統領ウィリアム・ハリソン
By The Bureau of Engraving and Printing (Restoration by Godot13) [Public domain or CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
ほかにも、“All Correct”という意味のラテン語“omnes korrecta”の略であるという説や、ボストンの「オットー・キンメル(Otto Kimmel)」やシカゴの「オリン・ケンドール(Orrin Kendall)」というベーカリーが作ったビスケットに刻印された“OK”が語源であるという説がありますが、はっきりしたところはわかっていません。
日本語を含む複数の言語においても、パソコンのダイアログボックスなどでは「OK」の表記が用いられる。(Ubuntu)(Wikipediaより)
(「OK」じゃない時に限って「OK」しか選べなかったりしますよね!)
By User:Lusheeta (Own work) [GPL], via Wikimedia Commons
その後“OK”はアメリカ全土で日常的に使われるようになり、19世紀後半にはイギリスに逆輸入されます。
イギリスに伝わった当初、“OK”は不適切なアメリカ英語と見なされたました。しかし第一次世界大戦と第二次世界大戦を経て、イギリスでも広く認められるようになった。
前回の記事でご紹介したように、
“Are you OK?”は
“Are you alright?”と共に気軽な挨拶としてイギリスで広く使われています。
“Okay”という綴りも使われています。
By imagerymajestic, published on 25 May 2012. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
“OK”を表すジェスチャーとして、日本では右手の人差し指と親指で輪をつくり、残りの指を伸ばしたいわゆる「OKサイン (OK Sign)」が使われています。
これ、1840年のアメリカ大統領選でも民主党陣営で使われたそうですから、由緒正しいジェスチャーであると言えます。
しかし、国によっては下品な意味や侮辱の意味がありますので、海外で使用する時には注意しましょう。
By stockimages, published on 24 July 2012. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
英米では拳を握って親指を上に立てたいわゆる「グッド・サイン(Good Sign)」が同様の意味に使われますが、これも国によっては良い意味ではない場合があります。ジェスチャーは難しいですね。
By stockimages, published on 24 July 2012. Image courtesy of FreeDigitalPhotos.net
あと、気をつけなければいけないのは、“OK”は日本語の「良い」と微妙にニュアンスが異なる点です。日本では普通「良い」「悪い」の二択の「良い」、「〇」と「×」の「〇」として使われます。
しかし、英語で“OK”というのは5段階評価の真ん中ぐらいをあらわします。
別の言葉で言うと、
“Adequate.” 「まあまあです。」
“Acceptable.” 「許容範囲です。」
といった感じです。
「ぎりぎり合格」というニュアンスがありますので、たとえば料理の感想を聞かれて“OK”と答えた場合はあまりほめていることになりません。
美味しかったらちゃんと、
“Excellent!”
“Wonderful!”
“Very nice!”
“Pretty Good!”
などと明確にほめてあげましょう。
Image courtesy of stockimages, published on 07 October 2012 / FreeDigitalPhotos.net
また、歩いていて人にぶつかったりして、
“Sorry.” 「ごめんなさい」
と謝った時に、
“That's OK.” 「いいんですよ」
と返事をする場合にも使われます。
Image courtesy of imagerymajestic, published on 17 March 2012 / FreeDigitalPhotos.net
また、“OK”は世界で通じる言葉でもあります。
綴りはいろいろありますが、略語としては“OK”“O.K.”などはほぼ通じると言ってよいでしょう。
中国などの漢字圏でも漢字に交じって“OK”が普通に使われていたりします。
日本語の「カラオケ」も中国では音を借りて「卡拉OK」と表記されます。
香港のカラオケショップのネオンサイン
By Rdbmac2007 (Own work), cropped by Jim Saeki on 28 March 2016 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
キアヌ・リーヴス(Keanu Reeves, 1964-)が主演したSF映画『マトリックス(The Matrix)』(1999年アメリカ)では、キアヌ・リーヴス演じる主人公ネオ(Neo)がこの言葉を口にするシーンがあります。
また、人気アニメ『シンプソンズ(The Simpsons)』ではシンプソン一家の隣人ネッド・フランダース(Ned Flanders)の口ぐせとして、この言葉を少しもじった
“Okily Dokily!” (オキリー・ドキリー)
が使われています。
【動画】“Matrix: The Jump Program (『マトリックス』:跳躍のプログラム)”, by frostysnowbro's channel, YouTube, 2009/07/03
“Okey-dokey!”
オーキィ・ドーキィ。
響きが面白いこの言葉。
もともとの“OK”も言葉遊び的に使われた言葉でした。
微妙なニュアンスを理解した上で、正しく使いたいものですね。
【動画】“2011/11/9 on sale 7th.Single オキドキ MV(special edit ver.)”, by SKE48, YouTube, 2011/10/05
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
By JaggyBoss (ココどこ?) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
【関連記事】第296回:“Are you OK?” ―「調子どう?」(イギリス口語), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年03月26日
【関連記事】第57回:“Is everything okay?”―「すべてよろしいですか?」(日常会話), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年07月16日
【関連記事】第24回:“See you later, alligator.”―「さよならアリゲーター」(日常会話), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年05月19日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【参考】“The meaning and origin of the expression: Okey-dokey (オキドキという表現の意味と起源)”, The Phrase Finder
【参考】“The elusive origin of OK (わかりづらいOKの起源)”, by Allan Metcalfさん, OxfordWords Blog, Oxford Dictionaries, 23 January 2011
【参考】“The origin of ‘okey-dokey’ (「オキドキ」の起源)”, by Allan Metcalfさん, OxfordWords Blog, Oxford Dictionaries, 16 July 2012
【参考】“OKサインは「ゲス野郎」の意味!?日本人が間違える、海外で絶対にやってはいけないジェスチャー”, by lisieuxさん, ユルクヤル 〜 外国人から見た世界 〜, 2015年03月20日
【参考】“外国に行ったら避けたいジェスチャー”, by lisieuxさん, NAVERまとめ, 2014年05月06日
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