英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。

スペースシャトル「ディスカバリー(Discovery)」から見た地球(1994年, 太平洋上空)
By NASA, 18 September 1994 [Public domain], via Wikimedia Commons
第159回の今日はこの言葉です。
“The earth was bluish.”「地球は青かった。」
という意味です。
もう皆さんご存じの言葉だと思います。英語ではこのようになるのですね。
人類初の有人宇宙飛行を成功させた旧ソビエト連邦の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン(Ю́рий Алексе́евич Гага́рин, Yuri Alekseyevich Gagarin, 1934-1968)の言葉です。

ユーリ・ガガーリン(Yuri Alekseyevich Gagarin, 1934-1968)
By SDASM, contrast adjusted by Jim Saeki on 11 January 2013 [CC0], via Wikimedia Commons
“blue”(青)そのものではなく、“bluish”(青っぽい)というのがリアリティを感じさせます。
これはソ連政府の公式新聞イズベスチア(Izvestia)の記事に紹介された帰還後のガガーリンの言葉です。
ロシア語原文では、
“Небо очень и очень темное ,となっています。“Небо”(ニェバ)が「空」、“Земля”(ゼムリャ)が「地球」です。
а Земля голубоватая .”
(ニェバ・オチニ・オチン・チェムネ、
ア・ゼムリャー・ガルバヴァータヤ)
日本語にすると
「空は非常に暗かった。となります。これを日本の主要各紙が「地球は青かった」と報道してとても有名になりました。
そして地球は青みがかっていた。」
英語にすると
“The sky was very very dark,といったところです。
and the earth was bluish”
日本語版Wikipediaには「青かった」という言葉が「不正確な引用」として紹介されています。僕はこのぐらいなら問題なく、むしろシンプルで人々の印象に強く残る名訳だと思います。

ボストーク宇宙船を打ち上げたボストークロケット
By Sergei Arssenev (Own work), 2007 [GFDL or CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons
1961年4月12日にガガーリンはボストーク1号(Восто́к-1, Vostok-1)で宇宙に飛び立ち、地球周回軌道を1時間48分で1周して地球へ帰還しました。人類初の有人宇宙飛行です。
帰還は高度7000メートルで座席が宇宙船から射出され、ガガーリンがパラシュートで降下するという危険なものでした。
宇宙船の窓には、ガガーリンのアイディアでクマの人形がぶらさげられました。無重量状態でクマが宙に浮くと宇宙に到達したことがわかるからです。この伝統は現在のロシアの宇宙船でも続いているそうです。

ボストーク宇宙船の実物大模型
By Tempe, 18 January 2011 [GFDL or CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons
【動画】“Yuri Gagarin on BBC TV, July 11 1961 (ユーリ・ガガーリン BBCテレビ, 1961年7月11日)”, by moonfakery, YouTube, 2012/10/17
ソ連と宇宙開発競争をおこなっていたアメリカは、ガガーリンが宇宙へ行った23日後の5月5日にアラン・シェパード(Alan Bartlett Shepard Jr. 1923-1998)が16分間の弾道飛行に成功します。ジョン・グレン(John Herschel Glenn Jr. 1921-)がアメリカで初めて地球周回に成功したのは翌1962年の2月でした。

スウェーデンを訪問中のガガーリン
By Arkiv: Sydsvenskan, 4 March 1964 [Public domain], via Wikimedia Commons
ガガーリンは地球の色の美しさについて何度も発言しています。おそらく何度も尋ねられたのでしょうね。
“I enjoyed the rich color spectrum of the earth.
It is surrounded by a light blue aureole that gradually darkens,
becoming turquiose, dark blue, violet, and finally coal black.”
「私は地球の色の豊かな多様性を楽しんだ。
地球は明るく青い輝きに包まれていて、徐々に暗くなっていく。
そして青緑色、濃青色、紫色、そして最後は漆黒となる。」

国際宇宙ステーション(ISS)から見た日没時の地球の大気(2010年, インド洋上空)
By ISS Expedition 23 crew (NASA Earth Observatory), 14 June 2010 [Public domain], via Wikimedia Commons
そしてこの美しさを守らなければいけないとも言っています。
“Orbiting Earth in the spaceship,
I saw how beautiful our planet is.
People, let us preserve and increase this beauty, not destroy it!”
「宇宙船で地球を回りながら見た私たちの惑星がいかに美しかったことか。
みなさん、この美しさを守り育てよう。壊してはいけない!」

国際宇宙ステーション(ISS)から見た地球と月(2006年, 東シナ海上空)
By NASA Earth Observatory, 20 July 2006 [Public domain], via Wikimedia Commons
“The earth was bluish.”
地球は青かった。
この美しさを守り育てるべきだと主張したガガーリン。
宇宙から地球の美しさを見て、そのかけがえのなさを実感したのでしょうね。
今も大気汚染や地球温暖化、原発問題など、地球の美しさを守り育てるためにはまだまだ課題は多いです。
なんとか美しい地球の環境を守り通して、次世代に伝えていきたいものですね。
ガガーリン 世界を変えた108分 [DVD]
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【動画】“Gagarin: First In Space - Trailer 1 - On DVD & Download June 23 2014(『ガガーリン 世界を変えた108分』:予告編1 2014年6月23日DVD・ダウンロード開始)”, by Entertainment One UK, YouTube, 2014/05/29
【関連記事】第92回:“There wasn't ever a dry eye.”―「いつも涙が出そうになった」(トレイシー・コールドウェル), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年09月15日
【関連記事】第118回:“The real barrier wasn't in the sky.”―「本当の壁は空にはなかった」(チャック・イエーガー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年10月31日
【関連記事】第5回:“One small step for (a) man, one giant leap for mankind.”―「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」(アームストロング), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年04月27日
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【関連記事】第131回:“Ask what you can do for your country.”―「君たちが国のために何ができるのかを問うて欲しい」(ケネディ大統領), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月24日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【参考】“英雄の名言知らぬ祖国…ガガーリン(1934〜68)ロシア・ガガーリン”, 緒方賢一, 2013年2月1日 読売新聞
【参考】“ガガーリン60 「地球は青かった」に透けてみえるもの”, 今日も星日和 kyomo hoshi biyori, 2007/01/14
【動画】“Yuri Gagarin on BBC TV, July 11 1961 (ユーリ・ガガーリン BBCテレビ, 1961年7月11日)”, by moonfakery, YouTube, 2012/10/17
【動画】“Gagarin: First In Space - Trailer 1 - On DVD & Download June 23 2014(『ガガーリン 世界を変えた108分』:予告編1 2014年6月23日DVD・ダウンロード開始)”, by Entertainment One UK, YouTube, 2014/05/29
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