英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

Image courtesy of adamr, published on 28 June 2012 / FreeDigitalPhotos.net
第132回の今日はこの言葉です。
“If you can't beat them, join them.”「もし打ち負かすことができないならば、仲間になれ。」
「勝てない相手なら仲間になれ。」
という意味のことわざです。
日本にも、
「長いものには巻かれろ」
ということわざがありますが、日本のことわざは「力のある者には従った方がよい」という従属関係を想像させます。
英語の“join”にはそのような従属関係はあまりなく、対等な関係で使われることが多いです。
むしろ積極的に友達になってお互いにメリットを享受しようという積極的な響きがあります。
どちらにも有利になるような関係や状況を、
“win-win relationship”(ウィン・ウィンの関係)といいます。このような関係を作ることができたら、“join them”が実現するのです。
“win-win situation” (ウィン・ウィンの状況)

Image courtesy of Ambro, published on 25 June 2011 / FreeDigitalPhotos.net
また、「勝てない相手とは戦うな」とも解釈できます。
中国の春秋戦国時代の兵法書『孫子(Sun Tzu, The Art of War)』には、
「強而避之」という言葉があります。
日本では
「と読みくだします。強 にしてこれを避け」
英語では、
“If he is in superior strength, evade him.”となります。
「戦力に勝る相手は避けよ」
戦いで最も必要なことだと思います。
新訂 孫子 (岩波文庫), 金谷 治 (翻訳)
似たような口語表現に、
“If you can't lick 'em, join 'em.”という言葉があります。意味はほとんど同じです。主にアメリカで、カジュアルな場面ではよく使われます。
(イフ・ユー・キャーント・リッケム、ジョイネム)
誰の言葉なのか調べてみましたが、ちょっと見つかりませんでした。
ことわざのくだけた表現として、アメリカでは日常的に使われている言葉なのだと思います。
オーストリアの精神分析学者ジークムント・フロイト(Sigmund Freud, 1856-1939)の言葉であるという説もありましたが、たぶん違うでしょう。彼ならドイツ語ですし。
コテコテのアメリカ口語表現をフロイト先生が使うという説自体がジョークなのでしょうか。

ジークムント・フロイト(Sigmund Freud, 1856-1939)
By Max Halberstadt[1] (1882-1940), 1922, from the Google-hosted LIFE Photo Archive [Public domain], via Wikimedia Commons
“If you can't beat them, join them.”
勝てない相手なら仲間になれ。
手ごわい相手ほど、味方になった時には心強いものです。
国と国との同盟関係や、会社と会社の企業合併や事業提携、個人と個人の友達関係でも同じようなことが言えるのが面白いですね。

By Katamakura (Own work), 1 February 2007, cropped by Jim Saeki on 25 November 2013 [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
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【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
タグ:ことわざ
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