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こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

By Jim Saeki, October 2009
第97回の今日はこの言葉です。
“Life is worth living.”「この世は生きるに値する。」
という意味です。
これは日本が世界に誇るアニメーションの巨匠、宮崎駿(Hayao Miyazaki, 1941-)の言葉です。
2013年9月1日に長編映画製作からの引退を発表した宮崎駿が、9月6日にスタジオジブリが開いた記者会見で語った言葉です。

Natasha Baucas, 28 July 2009 [CC-BY-2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons
会見で、「すべての作品を通して入れようと意識したメッセージはあるか」という記者の質問がありました。
それに対して宮崎駿は、
「基本的に子どもたちに『この世は生きるに値するんだ』ということを伝えるのが、自分たちの仕事の根幹になければならないと思ってきました。それは今も変わっていません。」と答えました。
淡々と答えていましたが、子供たちへのとても素敵なメッセージだと思います。
【動画】“宮崎駿監督の引退記者会見ノーカット3(13/09/06)”, by ANNnewsCH, YouTube, 2013/09/06
【参考】“【レポート】宮崎駿監督引退会見・一問一答、全文書き起こし”, 山田井ユウキ, マイナビニュース, 2013/09/07
記者会見は日本語で行われました。
当然「この世は生きるに値するんだ。」という言葉も日本語です。
この言葉が、各国語に翻訳されて世界に報道されました。
英語でも、統一した訳しかたがあるわけではありません。
それぞれのメディアがそろぞれの訳で報道しました。
“Life is worth living.”と訳したのはニューヨーク・タイムズ(The New York Times)です。
「この世は」という部分を「人生は」と意訳しています。

“Acclaimed Japanese Animation Director Puts Down Pencil(賞賛されている日本のアニメーション・ディレクターが筆を置く)”, By JOSHUA HUNT, The New York Times, September 6, 2013
ジャパン・デイリー・プレス(Japan Daily Press)も、
“Life is worth living.”と訳しました。
発言はシンプルにまとめられて、
“I wanted to convey the message that life is worth living,と紹介されています。
and I don’t think that’s changed.”
「この世は生きるに値するんだというメッセージを伝えたかった。
それは今も変わっていません。」

“Hayao Miyazaki confirms retirement from feature filmmaking(宮崎駿が長編映画からの引退の決意を固める)”, Ida Torres, Japan Daily Press, Sep 06, 2013
一方、日本経済新聞の英語版やウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)では、「この世は」という言葉を「この世界は」と訳しています。
“This world is worth living in.”という訳です。
日本経済新聞の英語版では、
“I wanted to let children know that this world is worth living in.”と紹介しています。
「子供たちに、この世界は生きるに値するんだということを知って欲しかった」

“Retiring Director Miyazaki Says He Really Means It This Time(引退する宮崎ディレクター、今度は本気だと語る)”, The Nikkei, September 7, 2013
ウォールストリート・ジャーナルは、
“I wanted to tell children that this world is worth living in.”と書いています。
「子供たちに、この世界は生きるに値するんだと伝えたかった」
記事の見出しでは、
“Life Is for Living”という訳し方もしています。
それぞれ微妙に訳し方がちがっていて、面白いですね。
この中では、僕はニューヨーク・タイムズとジャパン・デイリー・ニュースの
“Life is worth living.”
という訳し方がシンプルで好きです。

“Miyazaki Signs Off Saying: Life Is for Living(宮崎が引退:この世は生きるに値すると語る)”, By Kosaku Narioka, The Wall Street Journal, SEP 6, 2013
記者会見では、韓国、ロシア、イタリア、フランス、中国、香港の記者も流暢な日本語で質問していました。
世界での関心の高さがうかがえます。
宮崎駿は本当に引退してしまうのでしょうか。
「僕は何度も今まで辞めると言って騒ぎを起こしてきた人間なので、当然まただろうと思われているんですけど、今回は本気です。」と言っていますから、本当に引退してしまう可能性も高いです。
個人的には、少し休んで英気を養ってから、ぜひまたすばらしい作品を作って欲しいと思っています。

2005年愛知万博で最も人気があった展示の一つ、「サツキとメイの家」
By Gnsin (Own work) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)], via Wikimedia Commons
“Life is worth living.”
この世は生きるに値するんだ。
シンプルですがなんと希望に満ちた力強い言葉でしょう。
宮崎駿の作品はどれも好きですが、確かにすべての作品にこのメッセージがこめられていると思います。
この太陽のような言葉を、いつも心に持っていましょう。
人生は生きるに値するんです。
この世界は生きるに値するんです。

三鷹の森ジブリ美術館の屋上に展示されている『天空の城ラピュタ』のロボット兵
By Jim Saeki, October 2009
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【関連記事】第67回:“Go, live your dream.”―「行け、夢を生きるんだ」(塔の上のラプンツェル), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年08月03日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【参考】宮崎駿監督の引退記者会見ノーカット3, YouTube, 2013/09/06
【参考】“【レポート】宮崎駿監督引退会見・一問一答、全文書き起こし”, 山田井ユウキ, マイナビニュース, 2013/09/07
【参考】“Acclaimed Japanese Animation Director Puts Down Pencil(賞賛されている日本のアニメーション・ディレクターが筆を置く)”, By JOSHUA HUNT, The New York Times, September 6, 2013
【参考】“Hayao Miyazaki confirms retirement from feature filmmaking(宮崎駿が長編映画からの引退の決意を固める)”, Ida Torres, Japan Daily Press, Sep 06, 2013
【参考】“Retiring Director Miyazaki Says He Really Means It This Time(引退する宮崎ディレクター、今度は本気だと語る)”, The Nikkei, September 7, 2013
【参考】“Miyazaki Signs Off Saying: Life Is for Living(宮崎が引退:この世は生きるに値すると語る)”, By Kosaku Narioka, The Wall Street Journal, SEP 6, 2013
【動画】“宮崎駿監督の引退記者会見ノーカット3(13/09/06)”, by ANNnewsCH, YouTube, 2013/09/06
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