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こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が撮影した火星(画像提供:NASA)
By NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA), 26 June 2001 [Public domain], via Wikimedia Commons
第56回の今日はこの言葉です。
“NASA encourages you to keep reaching for the stars!”「NASAは君が星を目指し続けることを応援する。」
という意味です。
NASAとはご存じ、アメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration)のことです。
NASAはいったい誰を応援しているのでしょうか。
先週、ネットで評判になった話題がありました。
将来は宇宙飛行士になりたいという7歳の男の子デクスター(Dexter)がNASAへ手紙を書いたところ、丁寧で粋な返事が届いたそうなのです。
先週の月曜日(2013年7月8日)、デクスター少年の母親がインターネットの画像共有サイト「imgur」に6枚の写真をアップしました。
デクスターがたどたどしい文字で書いたNASAへの手紙と、NASAから届いた返事の手紙、同封されていた写真やステッカーと、それを持った嬉しそうなデクスターの写真です。

“My 7 year old son wrote to NASA about wanting to be an astronaut and visit Mars, we received his reply this morning”, by bitcheslvcheesetoast, imgur, 08 Jul 2013
この投稿はたちまち評判になり、5日間で23万人以上が参照しました。ツイッター(twitter)やブログなどで紹介されたものを見た人はその何十倍か何百倍いたと思われます。あるいはそれ以上いたかもしれません。
手紙は、
“Dear nasa” (NASAのみなさんへ)
というかわいい手書きの文字で始まります。“nasa”とすべて小文字になっているところがご愛敬ですね。
“my name is Dexter Iheard
that you areoneSending
2 peopLe to marS andI
Would Lik to come bUt iM 7So
I Can't. I Would Like to coMe
in the Future whatt do Ihaven'tneed
todbo to beCOme anastrounaut?
Thank
you
Dexter”
「ぼくの名まえはデクスターです
火せいに人を二人おくるときいたので
ぼくもいきたいですが、七さいなのでいけません。
しょうらいはいきたいです。
うちゅうひこうしになるにはどうしたらいいですか?
ありが
とう
デクスター」
7歳ですので日本の小学一年生で習う漢字だけを使ってみました。
ところどころ単語がくっついたりミススペル(misspell)があったりしますが、要点がまとまっていてしっかり書けてますね。

NASAが計画しているオリオン宇宙船(Orion Multi-Purpose Crew Vehicle (MPCV) )(想像図)
By NASA (http://spaceinimages.esa.int/Images/2013/01/Orion6), January 2013 [Public domain], via Wikimedia Commons
すると、NASAから立派な返事がきたのだそうです。日付は2013年6月23日になっています。
NASAのロゴが入った紙に印字されていて、見た目は完全に公式文書です。
しかし中身はとても温かい励ましの言葉に溢れています。
“Dear Dexter:
On behalf of NASA, thank you for writing us a letter.”
「親愛なるデクスターへ、
NASAを代表して、お手紙を書いてくれたことにお礼を言おう。」
手紙はまず、感謝の言葉から始まります。

火星へ向かう宇宙船にドッキングするオリオン宇宙船(想像図)
By NASA, 27 June 2012 [Public domain], via Wikimedia Commons
“NASA wants you to know that your thoughts and ideas to further space exploration are important, and we hope that you will continue to learn all you can about NASA's space programs, missions, and accomplishments.”
「NASAは君に知ってほしい。さらなる宇宙探査についての君の考えやアイディアが重要なのだということを。
君にはNASAの宇宙計画やミッション、成果について、できる限りのことを学び続けてほしい。」
そして7歳の子供とはいえ、その考えやアイディアがとても重要であること、NASAについて学び続けることが大切であることを伝えます。
“programs”とは宇宙探査計画のことで、月へ行く「アポロ計画(Apollo program, 1961-72)」や今でも続く「国際宇宙ステーション計画(ISS: International Space Station Program, 1993-)」などのことです。
“missions”というのは、それぞれの計画の中の一つ一つの任務のことを言います。例えばアポロ計画でいうと、アポロ11号(Apollo 11)の飛行が一つの「ミッション」になります。
デクスターが言っている「火せいに人を二人おくる」計画かどうかはわかりませんが、「低軌道を超えた計画(Beyond Low Earth Orbit program, 2010-)」というプログラムで有人の火星探査が検討されています。
2010年4月にフロリダのケネディ宇宙センター(John F. Kennedy Space Center)でオバマ大統領(Barack Obama, 1961-)は宇宙開発についての所感を述べました。

ケネディ宇宙センター(John F. Kennedy Space Center)
By Gillfoto (Own work), 14 March 2010 [CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons
講演録には次のように書かれています。
“By the mid-2030s, I believe we can send humans to orbit Mars and return them safely to Earth. And a landing on Mars will follow. And I expect to be around to see it. (Applause.)”
「2030年代の半ばまでには、我々は火星軌道まで人間を送り、地球に安全に連れ戻すことができるようになると信じています。 その次は火星着陸です。私も生きてそれを見る日を迎えられると期待します。(拍手)」

バラク・オバマ大統領(Barack Obama, 1961-)
By Official White House Photo by Pete Souza (P120612PS-0463), 6 December 2012 [Public domain], via Wikimedia Commons
かつてケネディ大統領(John F. Kennedy, 1917-1963)が1961年に連邦議会で「1960年代の終わりまでに月に人間を着陸させ、安全に連れ戻す」と宣言しましたが、NASAは1969年7月にアポロ11号でそれを実現しました。
オバマ大統領の構想も2030年代の半ばまでに実現することができるのでしょうか。

ジョン・F・ケネディ大統領(John F. Kennedy, 1917-1963)
By White House Press Office (WHPO), February 20th 1961 [Public domain], via Wikimedia Commons
NASAがデクスターへ宛てた手紙はさらに続きます。
“Just think ― in a few years, you could be one of the pioneers that may help lead the world's activities for better understanding of our earth and for exploring space.”
「考えてみたまえ。数年後には君はパイオニアの一人になれるかもしれない。
この地球をよりよく理解したり、宇宙を探査したりする世界の活動を指導する先駆者に。」
“pioneer”とは「開拓者」「先駆者」という意味です。
“in a few years”と言っているところがアメリカらしいですね。20〜30年後ではなく2〜3年後なのです。

火星上での探査活動(想像図)
By NASA, February 2009 [Public domain], via Wikimedia Commons
そして手紙では、参考となるウェブサイトが紹介されます。
紹介されているのは次の3件です。

http://www.nasa.gov/audience/forstudents/k-4/home/index.html
幼稚園から小学校4年生までの子供向けのNASAに関する情報

http://www.spacecamp.com/
青少年向けの宇宙体験学習プログラム「スペースキャンプ(Space Camp)」についての情報

どうしたら宇宙飛行士になれるかの情報
デクスターが最も見たいのは最後の情報だと思うのですが、何と別のURLへリダイレクトされて、リダイレクト先も見つかりません。
リンク切れを避けるため、すみませんがURLは画像で載せておきました。
URLを削ってみても、それらしい情報へたどりつけません。
もし正しいURLを見つけた方がいらっしゃいましたら、ぜひ僕にも教えて下さい。
デクスターにも教えてあげたいです。

地球へ帰還するために火星を離陸する宇宙船(想像図)
By NASA, February 2009 [Public domain], via Wikimedia Commons
そして手紙は次のように結ばれます。
“Again, thank you for your letter. Your interest on NASA is appreciated. NASA wishes you every success in earning good school grades and encourages you to keep reaching for the stars!”
「重ねて、お手紙ありがとう。君がNASAに興味をもってくれたことを感謝する。
NASAは君が学校でいい成績を修めることを祈り、星を目指し続けることを応援している!」
いいですね。
こんな素敵な手紙をもらったら、僕だって勉強がんばっちゃいます。
送り元は、
“National Aeronautics and Space Administration
Headquarters
Washington, DC 20546-0001”
とありますので、ワシントンDCにあるNASAの本部ですね。数字は郵便番号です。
個人名は書いていませんが、
“Public Communications Program
Public Outreach Division
Office of Communications”
と書かれていますので、NASAの渉外担当部門なのでしょう。
何とも粋な返事だと思いませんか。
【動画】“Boy Writes To NASA, Gets Awesome Response (少年がNASAに手紙を書き、イカした返事をもらう)”, by Buzz60, YouTube, 2013/07/08
ただ、渉外担当の方へ一つだけ言いたいです。
人に教えるURLはリンク切れでないかちゃんと確認しましょう。
手紙には、火星探査機のデータで作られた火星の写真と、火星探査車「キュリオシティ・ローバー(Curiosity Rover)」の写真、そして記念品のNASA製ステッカーと本のしおりが同封されていました。
「imgur」には、それらの同封物の写真と、それを持ったデクスターの嬉しそうな笑顔がアップされています。

火星探査車キュリオシティ・ローバー(Curiosity Rover)
By DoctorBatman (Own work), 17 October 2012 [CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons
アメリカのインターネット・メディア「ハフィントン・ポスト(The Huffington Post)」の記事には、デクスターの母親のカトリーナさん(Katrina Anderson)のコメントが紹介されています。
この返事をもらったバクスターは嬉しさのあまりショックを受けたようになったそうです。丁寧に手紙の封をあけて、大声で手紙を読み上げたそうです。彼は理科と算数が大好きで、去年フロリダのケネディ宇宙センター(Kennedy Space Center)に旅行して以来、宇宙に夢中なのだそうです。

“Dexter, 7, Writes Letter To NASA And Gets An Awesome Response (PHOTOS)”, By Ron Dicker, The Huffington Post, 07/08/2013
“NASA encourages you to keep reaching for the stars!”
NASAは君が星を目指し続けることを応援する!
何とも夢のある話ですね。
オバマ大統領が火星に人を送るとした2030年代半ばには、デクスターは20代後半になっています。
火星へ向けて旅立っているかもしれません。
彼の名前を覚えておきましょう。

1976年に火星に着陸したバイキング2号(Viking 2)の着陸船に近づく宇宙飛行士(想像図)
By NASA/Pat Rawlings, 1991 [Public domain], via Wikimedia Commons
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【参考】Wikipedia(日本語版, 英語版)
【参考】“My 7 year old son wrote to NASA about wanting to be an astronaut and visit Mars, we received his reply this morning”, by bitcheslvcheesetoast, imgur, 08 Jul 2013
【参考】“Dexter, 7, Writes Letter To NASA And Gets An Awesome Response (PHOTOS)”, By Ron Dicker, The Huffington Post, 07/08/2013
【参考】“REMARKS BY THE PRESIDENT ON SPACE EXPLORATION IN THE 21ST CENTURY”, THE WHITE HOUSE, Office of the Press Secretary, April 15, 2010
【動画】“Boy Writes To NASA, Gets Awesome Response (少年がNASAに手紙を書き、イカした返事をもらう)”, by Buzz60, YouTube, 2013/07/08
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