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こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

Image courtesy of Naypong / FreeDigitalPhotos.net
第6回の今日はこの言葉をご紹介します。
“Anything one man can imagine, other men can make real.”と訳されます。
「人が想像できることは、必ず人が実現できる。」
最近はテレビCMでも紹介されていますよね。
フランスの作家ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne, 1828-1905)の言葉です。
原文のフランス語は以下のとおりだといわれます。
“Tout ce qu'un homme est capable d'imaginer,
d'autres hommes seront capables de le réaliser.”
(トゥ・セ・キョン・オメ・キャパブレ・ディマジネ、
ドゥトレゾーム・セロン・キャパブレ・ド・リュー・リアリゼ)
ヴェルヌはイギリスのH.G.ウェルズ(Herbert George Wells, 1866-1946)と共にSF(Science Fiction [Sci-Fi]、空想科学小説)の父と言われています。

ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne, 1828-1905)
By Félix Nadar (Circa 1878) [Public domain], via Wikimedia Commons
ジュール・ヴェルヌの作品には、
『月世界旅行(第一部:地球から月へ, De la Terre à la Lune, 英語でFrom the Earth to the Moon)』(1865)、
『海底二万里(Vingt mille lieues sous les mers, 英語でTwenty Thousand Leagues Under the Sea)』(1870)、
『月世界旅行(第二部:月を周って, Autour de la lune, 英語でAround the Moon)』(1865)、
『八十日間世界一周(Le Tour du monde en quatre-vingts jours, 英語でAround the World in Eighty Days)』(1873)、
などがありますね。
『月世界旅行―詳注版(ちくま文庫)』,ジュール ヴェルヌ(著),高山 宏(翻訳),筑摩書房(1999/08)
SF作品ではないですが、僕は
『十五少年漂流記(Deux ans de vacances, 英語でTwo Years' Vacation)』(1888)
が大好きでした。これ、原題は「二年間の夏休み」といった感じなんですね。
『十五少年漂流記(新潮文庫)』,ジュール・ヴェルヌ(著),波多野 完治(翻訳),新潮社;改版(1951/11/20)
『月世界旅行』の第一部が発表されたのは1865年。
日本では慶応元年で、幕末の騒乱期にあたります。
物語の中で、大砲で打ち出した宇宙船が地球へ戻って着水した時、それを確認したのがアメリカ海軍の軍艦サスケハナ号(USS Susquehanna)です。1853年(嘉永6年)にペリー提督(Matthew Calbraith Perry, 1794–1858)が乗って浦賀へ来航した「黒船」の艦隊の旗艦がこの艦です。
宇宙船を出迎えるのが黒船なんて、時代が感じられていいですね。

マシュー・ペリー(Matthew Calbraith Perry, 1794–1858)
Mathew Brady [Public domain], via Wikimedia Commons

「黒船」サスケハナ号(USS Susquehanna)
By published by 東洋文化協會 (The Eastern Culture Association) (in 1933-1934) [Public domain], via Wikimedia Commons
「月世界旅行」は発表当時は荒唐無稽と言われました。しかし月まで行くために必要な速度や、月までの所要時間など、科学的には正確なところも多いです。着陸の時にはロケットを逆噴射するなど、先見の明があると言われています。
(Wikipediaより)
この作品のおよそ百年後、ニール・アームストロング船長(Neil Armstrong)らが乗ったアメリカ航空宇宙局(NASA)のアポロ11号(Apollo 11)が月へ着陸し、無事帰還しました。
アームストロング船長の名言、
“One small step for (a) man, one giant leap for mankind.”は、昨日ご紹介したばかりですね。
「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」
【関連記事】 第5回:“One small step for (a) man, one giant leap for mankind.”―「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」(アームストロング), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年04月27日
アポロ11号の帰還と着水を確認して回収したのはエセックス級航空母艦ホーネット(USS Hornet, CV-12)です。ホーネットは太平洋戦争でマリアナ沖海戦やレイテ沖海戦、硫黄島上陸支援、戦艦大和の海上特攻の迎撃戦などを戦いました。黒船サスケハナ号も空母ホーネットも、日本と関係の深い軍艦が宇宙船を出迎えるところまで一致しているところが面白いですね。

着水したアポロ11号の指令船コロンビア(Columbia)
By NASA (Great Images in NASA Description) (24 July 1969) [Public domain], via Wikimedia Commons

アポロ11号回収後ハワイのパール・ハーバーへ寄航する空母ホーネット(USS Hornet, CV-12)
By US Navy (photo 428-KN-18090) (26 July 1969) [Public domain], via Wikimedia Commons
余談ですが、ホーネットという名の空母にはこの艦の先代としてヨークタウン級航空母艦ホーネット(USS Hornet, CV-8)があります。こちらの艦はドゥ―リットル隊の東京初空襲やミッドウェー海戦などを戦い、南太平洋海戦で沈没しました。こちらも日本と非常に関係の深い(というか因縁の深い)軍艦です。

東京空襲に向けてドゥーリットル部隊の爆撃機が出撃する先代ホーネット(USS Hornet, CV-8)
By US Navy (18 April 1942) [Public domain], via Wikimedia Commons
ほかの作品でも、『海底二万里』に登場する巨大な潜水艦も原子力潜水艦などで実現していますし、『八十日間世界一周』については八十日間どころか、ジェット機でわずか数日で世界一周することができるようになりました。軍用機だと空中給油したら一日もかからないかもしれません。
まさに「人が想像できることは、必ず人が実現できる。」ですね。
ヴェルヌのすごいところは、将来実現できるであろう科学技術を正確に言い当てただけでなく、「人が想像できることは、必ず人が実現できる。」というこの素晴らしく希望に満ちた言葉を残したことだと思います。
人の想像力もすごいですが、それを実現できる人類の英知と、実現しようとする人類の意思が素晴らしいですよね。
Wikipediaによると、この言葉は『海底二万里』を執筆中のヴェルヌが父親に宛てた手紙の一節とされています。この手紙は実物が発見されていないそうです。
しかしそんなことは重要じゃないと思います。
「人が想像できることは、必ず人が実現できる。」
という宝のような言葉を僕たち人類が持つことができたことが、最高の幸福なのだと思います。
ちなみにもう一人のSFの父、H.G.ウェルズの作品には
『タイム・マシン(The Time Machine)』(1896)、
『透明人間(The Invisible Man)』(1897)、
『宇宙戦争(The War of the Worlds)』(1898)
などがあります。

H.G.ウェルズ(Herbert George Wells, 1866-1946)
By Library of the London School of Economics and Political Science (H.G. Wells , c1890 Uploaded by Fæ) [see page for license], via Wikimedia Commons
『タイム・マシン(創元SF文庫―ウェルズSF傑作集)」,H・G・ウェルズ(著),阿部 知二(翻訳),東京創元社(1996/04)
『タイム・マシン』の実現はちょっと難しそうですね。
『透明人間』は光学迷彩などでそれに近いものは何とか実現できそうですね。
『宇宙戦争』は現実になってほしくないですね。
いずれも夢と想像力に溢れた素晴らしい作品ですが、ヴェルヌの作品にくらべると文明批判や皮肉が利いている作風ですね。フランス人とイギリス人の違いでしょうか。
実は僕にはもうひとつ、ぜひ実現してほしい「想像」があります。
ジョン・レノン(John Lennon, 1940-1980)の歌『イマジン(Imagine)』(1971)で歌われている内容です。
“Imagine all the people
Living life in peace”
「想像してみてごらん みんなが
平和な暮らしを送っていると...」

ジョン・レノン(John Lennon, 1940-1980)
By Lennons_by_Jack_Mitchell.jpg: Jack Mitchell derivative work: TheCuriousGnome (Lennons_by_Jack_Mitchell.jpg) [CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons
『イマジン [Limited Edition][CD]』,ジョン・レノン,EMIミュージック・ジャパン(2010/10/6)
【動画】“Imagine John Lennon Original video with lyrics in English included (イマジン - ジョン・レノン - オリジナル動画 英文歌詞付き)”, by The Dark Founder, YouTube, 2017/07/26
『イマジン』でジョン・レノンが歌っている「平和」の夢こそ、まさに実現してほしいものです。
“Anything one man can imagine, other men can make real.”
人が想像できることは、必ず人が実現できる。
この言葉が真実であることを信じたいですね。

Image courtesy of arztsamui / FreeDigitalPhotos.net
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。
【関連記事】 第5回:“One small step for (a) man, one giant leap for mankind.”―「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」(アームストロング), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年04月27日
【関連記事】 第7回:“If you can dream it, you can do it.”―「夢があればそれは叶う」(ウォルト・ディズニー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年04月29日
【参考】Wikipedia(日本語版,英語版)
【動画】“Imagine John Lennon Original video with lyrics in English included (イマジン - ジョン・レノン - オリジナル動画 英文歌詞付き)”, by The Dark Founder, YouTube, 2017/07/26
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