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2018年03月25日

第509回:“You make me un poco loco” ―「君が僕をおかしくする」(『リメンバー・ミー』より)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第509回の今日はこの言葉です。
“You make me un poco loco”

“un poco loco(ウン・ポコ・ロコ)”
はスペイン語で、英語にすると、
“a little crazy”
「すこしいかれた」
「おかしくなった」
という意味です。ですから、英語とスペイン語がチャンポンになった
“You make me un poco loco”
は、
「君が僕をおかしくする」
という意味になります。相手に恋こがれるあまり気が変になりそうだ、ということです。
これはディズニー(Disney)ピクサー(Pixar)が制作したCGアニメ映画『リメンバー・ミー』(2017年アメリカ)の作中で歌われる歌『ウン・ポコ・ロコ(Un Poco Loco)』の歌詞にある言葉です。
アメリカでは2017年11月に、イギリスでは2018年1月にそれぞれ公開されました。日本でもつい先日公開されたようですね。映画の英語原題はシンプルに“Coco(ココ)”です。



物語の舞台はメキシコの架空の街サンタ・セシリア(Santa Cecilia)。主人公のミゲル・リベラ(Miguel Rivera)は12歳の男の子です。ミゲルは今は亡き伝説のスター歌手エルネスト・デラクルス(Ernesto de la Cruz)に憧れて、ミュージシャンになることをひそかに夢見ています。しかしリベラ家の人たちには、音楽は聞くことも歌うことも演奏することも厳禁という家訓があります。



実はミゲルの高祖父(祖父の祖父、great-great-grandfather)はミュージシャンで、妻のイメルダ(Imelda)と娘のココ(Coco)を捨てて音楽の夢を追って家を出て行ってしまったのです。その後イメルダは音楽との縁を一切絶ち、女手一つでココを育てるために靴作りを始めます。靴の商売は成功し、それ以降リベラ家は代々靴を作って売る仕事を続け、音楽は厳禁という家訓を守り続けます。イメルダは亡くなり、ミゲルの曾祖母(great-grandmother)にあたるココが一族の長老として「ママ・ココ(Mama Coco)」と呼ばれて慕われています。しかしココは老いのせいか物忘れが激しくなり、明晰さにもかげりが出てきています。


(白いギターの左側の白髪の女性がママ・ココ)

そんな中、「死者の日(Day of the Dead)」がやってきます。
スペイン語では「ディア・デ・ムエルトス(Día de Muertos)」です。
死者がよみがえって家族に会いに来る日と言われており、家族や友人たちが集って故人を偲び、語り合うお祭りです。メキシコでは特に盛大に行われます。家庭でも故人の遺影や十字架、花や供え物などが祭壇に並びます。死者の花と言われるマリーゴールドが好んで使われ、町中がマリーゴールドの香りに包まれます。死者をあらわす骸骨の装飾も特徴的で、人々も骸骨メイクを楽しんだりします。公園には露店が立ち並び、バンド演奏や仮装パーティーが行われるところもあります。ハロウィンとも共通点が多いですが、ルーツは類似している部分もあるようです。日本のお盆に似ていますが、あくまでラテンのノリで明るく楽しく祝うのが特徴です。「死を意識せよ」という「メメント・モリ(Memento mori)」の精神もありますが、死を恐れるのではなく、逆に笑い飛ばそうというお祭りです。アメリカや他の国でもヒスパニック社会では祝われることの多いお祭りです。

【関連記事】第475回:“Memento mori” ―「メメント・モリ(死を想え)」(ラテン語の警句), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年11月13日

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サンフランシスコで「死者の日」の仮装をする人たち(2013年撮影)
By Jaredzimmerman (WMF) (Own work) [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons


ミゲルは夢に近づくために、死者の日に開催される街の音楽コンテストで優勝しようと考え、家族に内緒で参加しようとします。しかし家訓に従順で保守的な家族の面々に妨害されてなかなかうまくいきません。そうこうしているうちにミゲルはふとしたきっかけで死者の国へまぎれこんでしまいます。
死者の国は美しい場所で、骸骨姿の死者たちが行き交っています。



死者の国でミゲルはママ・ココの母親でもある高祖母のイメルダやご先祖たちと出会います。しかしここでも二度と音楽をしないと約束するように迫られ、ミゲルはご先祖たちのもとから逃げ出してしまいます。
ミゲルは死者の国の住民ヘクター(Héctor)に助けられ、生者せいじゃだと周囲にばれないように骸骨メイクをほどこされます。そしてある目的のため、死者の音楽コンテストに出場するのです。
そこでミゲルが歌ったのが『ウン・ポコ・ロコ』という歌です。
初めて他人の前で歌ったミゲルですが、そのギター演奏と歌声は死者の国の聴衆を魅了して大喝采を浴びます。


【動画】“Anthony Gonzalez, Gael García Bernal - Un Poco Loco (From "Coco") (アンソニー・ゴンザレス、ガエル・ガルシア・ベルナル - 『ウン・ポコ・ロコ』(『リメンバー・ミー』より)”, by DisneyMusicVEVO, YouTube, 2017/12/21

ミゲルの声を演じたのは映画公開当時13歳だったアンソニー・ゴンザレス(Anthony Gonzalez)。テレビドラマでも活躍しているアメリカ人の子役俳優ですが、この映画全編に渡ってすばらしい歌声を披露してくれます。
日本語吹き替え版で声と歌を当てたのは、やはり13歳の石橋陽彩ひいろ(Hiiro Ishibashi)です。2015年にエイベックス(avex)が主催する全国規模のコンテスト『キラチャレ』(キラット☆エンタメ チャレンジコンテスト)に出場し、1万人の小中学生の中から優勝した実力派です。「奇跡の歌声」と呼ばれた美声の持ち主ですが、リメンバー・ミーの撮影中に変声期が来てしまい、コンディションの調整に苦労したそうです。
それでも映画では本当に素晴らしい歌声を聞かせてくれます。彼の歌を聴くだけでもこの映画を見る価値はあると思います。


【動画】“藤木直人&石橋陽彩の歌が響き渡る!映画『リメンバー・ミー』本編シーン”, by シネマトゥデイ, YouTube, 2018/03/16

物語の舞台である架空の街サンタ・セシリアや幻想的な死者の国の風景は、メキシコらしさに満ちています。
グアナフアト(Guanajuato)オアハカ(Oaxaca)ハニツィオ島(Janitzio)などがモデルになったと言われています。
僕もアメリカに住んでいた時に一度だけメキシコを旅行したことがあります。最初は治安が悪いんじゃないかと心配していましたが、幸い怖い目に合うこともなく、陽気で優しいメキシコの人たちに囲まれて旅行を楽しむことができました。空は青く、食べ物も美味しく、色彩と音楽に溢れた魅力あふれる国でした。

0509-vista_aerea_de_guanajuato.jpg
グアナフアト(2009年撮影)
By Carlos ZGZ (Vista aérea de Guanajuato) [CC0], via Wikimedia Commons

実は死者の国にも決まりがあります。
「死者の日」に生者の国を訪れることができるのは、生者の国の祭壇に遺影を飾られている死者だけなのです。
そしてすべての生者に忘れ去られた死者は、死者の国からも消え去ってしまいます。「第二の死」です。
このあたりはこの作品オリジナルの設定ですが、メキシコ人の死生観が色濃く反映されています。
ミゲルと行動を共にするヘクターも生者たちから忘れ去られようとしており、第二の死の危機に瀕しています。
そしてミゲルも、日の出までに生者の世界に戻らなければミゲル自身が死者となってしまいます。


【動画】“Coco Official US Teaser Trailer (『リメンバー・ミー』アメリカ版公式特報予告編)”, by Disney•Pixar, YouTube, 2017/03/15

“You make me un poco loco”
君が僕をおかしくする。

ミュージシャンになる夢をあきらめきれないミゲル。
この『リメンバー・ミー(Coco)』という映画は予想以上に奥が深く、家族愛に溢れた本当によい映画です。僕は不覚にも映画館で涙腺が決壊してしまいました。エモーショナルなメキシカンミュージックもご機嫌で感動的です。未見の方はぜひご覧になることをお勧めします。
第90回アカデミー賞では、長編アニメ映画賞と主題歌賞の2部門にノミネートされ、見事に2部門とも受賞を果たしました。
ミゲルははたして死者の国から生者の国へ戻ることができるのでしょうか。
そして夢をかなえることができるのでしょうか。
それは映画をご覧になって下さい。


【動画】“「リメンバー・ミー」本予告”, by ディズニー・スタジオ公式, YouTube, 2017/12/12

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。


【動画】“「リメンバー・ミー」日本版エンドソング60秒MV”(シシド・カフカfeat.東京スカパラダイスオーケストラ), by ディズニー・スタジオ公式, YouTube, 2018/01/21

【関連記事】第475回:“Memento mori” ―「メメント・モリ(死を想え)」(ラテン語の警句), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年11月13日
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【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“Un Poco Loco”, Disney Wiki, April 19, 2009
【参考】“『リメンバー・ミー』の舞台になったメキシコの3つの街が美しい!”, by たきれいなさん, VIVA! MEXICO, 2017.10.22
【参考】“花とお墓と骸骨と…メキシコの「死者の日」は楽しく”死”を想う祭り♪”, by たきれいなさん, VIVA! MEXICO, 2017.10.24
【参考】“カラフルな死者の国へ!「リメンバー・ミー」シシド・カフカの歌声響く予告解禁”, 映画ナタリー, 2017年12月13日
【参考】“藤木直人&石橋陽彩が見事なハモり!『リメンバー・ミー』歌唱シーン”, cinemacafe.net, 2018/03/16
【参考】“メキシコ好きの『リメンバー・ミー』感想と、感動倍増する話”, by たきれいなさん, VIVA! MEXICO, 2018.03.18
【参考】“石橋陽彩のプロフィールを紹介! リメンバーミーの撮影中に声変わりがきていた!”, by 福助さん, 福助's ROOM, 2018.03.18
【参考】“キッズ&ジュニアのための全国コンテスト!『キラチャレ』募集開始!”, avex audition

【動画】“Anthony Gonzalez, Gael García Bernal - Un Poco Loco (From "Coco") (アンソニー・ゴンザレス、ガエル・ガルシア・ベルナル - 『ウン・ポコ・ロコ』(『リメンバー・ミー』より)”, by DisneyMusicVEVO, YouTube, 2017/12/21
【動画】“藤木直人&石橋陽彩の歌が響き渡る!映画『リメンバー・ミー』本編シーン”, by シネマトゥデイ, YouTube, 2018/03/16
【動画】“Coco Official US Teaser Trailer (『リメンバー・ミー』アメリカ版公式特報予告編)”, by Disney•Pixar, YouTube, 2017/03/15
【動画】“「リメンバー・ミー」本予告”, by ディズニー・スタジオ公式, YouTube, 2017/12/12
【動画】“「リメンバー・ミー」日本版エンドソング60秒MV”(シシド・カフカfeat.東京スカパラダイスオーケストラ), by ディズニー・スタジオ公式, YouTube, 2018/01/21



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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン ☀ | Comment(0) | ディズニー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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