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2018年02月25日

第502回:“Visit Japan” ―「ビジット・ジャパン(日本へ行こう)」(ビジット・ジャパン・キャンペーン)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第502回の今日はこの言葉です。
“Visit Japan”

「日本へ行こう」
という意味です。
これは日本の国土交通省(Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism)が行っている「ビジット・ジャパン・キャンペーン(Visit JAPAN Campaign)」で使われている言葉です。
外国の人に向かって日本観光の魅力をアピールし、外国人旅行者の訪日を促進するキャンペーンです。

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Image courtesy of tawatchai, published on 17 December 2017 / FreeDigitalPhotos.net

今から16年前の2002年の6月、第一次小泉内閣で「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」が閣議決定されます。「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンにした小泉純一郎(Junichiro Koizumi)首相のもとで構造改革を目指した基本方針です。この方針には経済活性化戦略として6つの戦略と30のアクションプログラムが示された中で、「グローバル戦略」の一つとして国交省が外国人旅行者の訪日を促進するグローバル観光戦略を構築することが示されています。

Embed from Getty Images

小泉純一郎(2002年撮影)
Photo by Kurita KAKU/Gamma-Rapho / Contributor, 07 October, 2002 [Rights-managed], via Getty Images

これを受けて国交省は2002年12月に「グローバル観光戦略」を策定します。その中核が「外国人旅行者訪日促進戦略」で、その一環として保守党の扇千景(Chikage Oogi)国土交通大臣を本部長とする「ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部」が2003年4月に発足します。

Embed from Getty Images

扇千景(向かって左)(2002年撮影)
Photo by Kurita KAKU / Contributor, 17 April, 2002 [Rights-managed], via Getty Images

2003年度の訪日外国人旅行者(インバウンド / inbound)は524万人です。これは日本を出国する日本人旅行者(アウトバウンド / outbound)の1652万人と比べると3分の1以下の数字です。ビジット・ジャパン・キャンペーンは訪日外国人旅行者を2010年までに1000万人に、そして2020年までに2000万人に増やすことを目標とします。
実施本部は海外での日本旅行のPR活動や国内でのインフラ整備を推進します。特に訪日者の増加が見込める国や地域として韓国、台湾、アメリカ、中国、香港を「促進重点国・地域」と定め、国や地域の特性に合わせた日本旅行の広報活動を行います。2004年度にはイギリス、ドイツ、フランスが、2005年度にはタイ、シンガポール、オーストラリア、カナダが重点国として追加されます。

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【参考】ビジット・ジャパン・キャンペーン公式サイト

また、2004年から韓国・中国からの修学旅行生に対して観光ビザの免除を開始し、2005年の「愛・地球博(愛知万博)」開催期間から韓国・台湾からの観光客に対して観光ビザを免除します。その後も中国などからの観光客に対して観光ビザの緩和を推進します。
ビジット・ジャパン・キャンペーンのスローガンとして使われたのが、
“YŌKOSO! JAPAN”
(ようこそ!日本)
という言葉です。
ロゴマークは同キャンペーンのポスターや、航空機の機体ペイントなどに使われます。

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航空機の機体にペイントされた「YŌKOSO! JAPAN」(2009年撮影)
JobanLineE531 [GFDL or CC BY 3.0], via Wikipedia

2008年度、訪日外国人旅行者数は835万人まで増え、過去最高を記録します。
しかし2007年の世界金融危機と2008年のリーマン・ショックによる世界的な不況の影響を受け、2009年度の訪日者数は679万人にまで落ち込みます。ちなみに「リーマン・ショック」は和製英語で、英語では上記2つの危機をまとめて“Financial crisis of 2007–2008”と呼ぶようです。
訪日者数は2010年度には回復して861万人と過去最高を更新しますが、1000万人の目標には届きません。そして2011年度は東日本大震災の影響で622万人と再び落ち込み、キャンペーン開始時の水準近くまで戻ってしまいます。
しかし、2012年末からアベノミクスによる円安が進むと訪日者数が急増し、2013年度に年間1036万人を記録して初めて1000万人を突破し、3年遅れで目標を達成します。
そして2年後の2015年度には訪日者数は1974万人に達し、45年ぶりにインバウンド(訪日外国人旅行者数)がアウトバウンド(出国日本人旅行者数)を上回ります。
これを受けて日本政府は2016年3月に数値目標を一気に倍増させ、2020年度に4000万人、2030年度に6000万人へと変更します。
その後も訪日者数は2016年度は2400万人、2017年度の速報では推計2800万人を超え、順調に増加しています。

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by Jim Saeki, Feb 2018 [Public domain]

訪日外国人旅行者の増加と共に話題となったのが、中国人旅行者の「爆買い」です。
2008年あたりから中国人ツアー客がお菓子や小物などの単なる旅行土産ではなく、家電などの日用品を大量に購入する行動が話題となり始めます。そして2009年頃から「爆買い」という言葉が使われ始めます。
春節の休暇などに秋葉原の免税店などに大勢の観光客が大型バスで乗り付け、家電品などを何箱も大量に買う姿はインパクトがあり、一部ではリーマンショック後の不況や震災に苦しむ日本経済の救世主のように報道されます。小売店側でも免税コーナーを新設したり大勢の中国人店員を雇ったりして対応します。一時は中国富裕層の日本訪問が一巡して爆買いブームは終わったと言われますが、アベノミクスによる2013年以降の円安や、ビジット・ジャパンの一環としての2014年10月からの消費税免税などの措置、そして観光客そのものの急増により爆買いブームはさらに過熱します。「爆買い」という言葉も2015年ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれます。
英語では“bakugai”と紹介された上で、“Explosive Shopping”という直訳で説明されることが多いようです。

Embed from Getty Images

観光客でにぎわう銀座の免税店(2015年撮影)
Photo by Chris McGrath / Staff, 20 February, 2015 [Rights-managed], via Getty Images

爆買いの対象としては、炊飯器魔法瓶温水洗浄便座セラミック包丁が定番です。中国人観光客の間では「四宝」と呼ばれているそうです。ブランドものの洋服やアクセサリーはもちろん、化粧品も人気ですし、粉ミルクや紙おむつなどの赤ちゃん用品も売れています。
日本製品は安くて品質・デザインがよく、食品や化粧品も安全で品質がよく、コピー品や粗悪品も少ない安心感が魅力なようです。

Embed from Getty Images

免税店で飛ぶように売れる日本製の炊飯器(2015年撮影)
Photo by Yuriko Nakao/Bloomberg / Contributer, 16 February, 2015 [Rights-managed], via Getty Images

日本の医薬品も人気で、ネットでは日本に行ったら必ず買うべき薬として、「神薬12」と呼ばれる以下の12種類の薬品が紹介されています。医師の処方箋がなくても薬局で買える一般医薬品です。
・参天製薬の「サンテボーティエ」(目薬)
・小林製薬の「アンメルツヨコヨコ」(消炎鎮痛剤)
・小林製薬の「サカムケア」(液体絆創膏)
・小林製薬の「熱さまシート」(冷却材)
・エスエス製薬の「イブクイック」(頭痛薬)
・久光製薬の「サロンパス」(消炎鎮痛剤)
・小林製薬の「ニノキュア」(角質軟化剤)
・エスエス製薬の「ハイチオールC」シリーズ(ビタミン剤)
・皇漢堂製薬の「ビューラックA」(便秘薬)
・大正製薬の「口内炎パッチ大正A」(口内炎薬)
・小林製薬「命の母A」(女性保健薬)
・龍角散の「龍角散」(のど薬)
うーん、なかなかよくわかっていらっしゃる渋いセレクションですね。僕も一時帰国の時に買って帰りたい薬ばかりです。薬局では化粧品やお菓子なども買えますから、外国人旅行客に人気の買い物スポットの一つです。

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中国人観光客向けの横断幕に「松本清」と書かれているマツモトキヨシ(2017年撮影)
By Mr.ちゅらさん (Own work) [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

日本旅行の魅力をアピールするための動画も作られます。
2003年には扇千景国交相が自ら出演して日本訪問を呼びかけ、アメリカのプロフットボールNFLのプレシーズンゲームであるアメリカン・ボウルの開会式や成田空港を発着する国際線の機内などで上映されます。
最新の動画でも日本の街角や大自然、伝統的な建築や文化、科学技術やポップカルチャーなどが魅力的に紹介されています。


【動画】“JAPAN - Where tradition meets the future (日本 - 伝統と未来が出会うところ)”, by visitjapan, YouTube, 2016/11/06

ビジット・ジャパン・キャンペーンの動画は潤沢な予算をかけられていることもあり、とても恰好よくて魅力的です。
またYouTubeなどにアップされている外国人観光客本人たちが作った動画の中には、とてもセンスのよいものがあります。まさに「外国人が感じた日本の映像」そのものです。
こういう動画もビジット・ジャパン・キャンペーンでどんどん採用したらもっとよいかもしれませんね。


【動画】“JUST JAPAN (まさに日本)”, by MrBrynnorth, YouTube, 2017/06/19

ちなみに、トリップアドバイザー(TripAdvisor)が2017年に発表した外国人に人気の旅行スポットランキングは以下の通りです。
1位 伏見稲荷大社(京都市)
2位 アキバフクロウ(フクロウカフェ)(東京都千代田区)
3位 広島平和記念資料館(広島市)
4位 厳島神社(広島県廿日市市)
5位 東大寺(奈良市)
6位 清水寺(京都市)
7位 新宿御苑(東京都新宿区)
8位 金閣寺(京都市)
9位 箱根彫刻の森美術館(神奈川県箱根町)
10位 高野山 奥の院(和歌山県高野町)
「なるほど」とうなずける場所も多いですが、「えっ?こんな所も?」というのもあって面白いですね。このランキングには30位まで紹介されていますから、ほかのスポットもご覧になってみて下さい。外国人に旅行先をお勧めする時の参考になるかもしれません。

【参考】“旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2017”, TripAdvisor, 2017年6月8日

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Image courtesy of tawatchai, published on 09 December 2017 / FreeDigitalPhotos.net

“Visit Japan”
日本へ行こう。

外国人観光客の訪問が急増している日本。
しかしここイギリスでもほかのヨーロッパ諸国と同様、まだまだ日本は遠い存在です。多くの人は長期休暇をヨーロッパや地中海沿岸、大西洋やカリブ海などで過ごします。ただ話をしてみると、日本へ行きたいと思っている人はとても多いです。まだまだPRする余地はあると思います。
あと、日本側の受け入れ態勢も重要です。かつては海外から成田へ戻ると、「外国の人は日本国内の移動が大変だなあ」と実感したものでした。それに比べると今はかなり整備が進んでいます。僕も一時帰国のたびに、空港や駅などで外国の人に対する案内がわかりやすくなってきたと感じます。しかし電車のトラブル時などの車内アナウンスなど、まだまだな部分もあります。
また、日本の人は外国人観光客にとても親切だと評判です。これからも外国人観光客に限らず、困っている人を見かけたら声をかけて助けてあげる人がますます増えたらいいなと思います。


【動画】“Travel From Tokyo to Hiroshima in Less Than 4 Minutes | Short Film Showcase (東京から広島までの旅を4分間以内で | 短編映画ショーケース)”, by National Geographic, Film by Vincent Urban, Alex Schiller, and Alex Tank, YouTube, 2016/06/12

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第499回:“Shinjuku so big, I need a Doraemon” ―「新宿はとても広くて、こりゃドラえもんが要るぜ」(Namewee『Tokyo Bon 東京盆踊り2020』), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2018年02月17日
【関連記事】第501回:“The moon that shone in Rio, lights the streets of Tokyo” ―「リオデジャネイロでながめた月が 今日は都の空照らす」(石川さゆりほか『東京五輪音頭 -2020-』), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2018年02月21日
【関連記事】第497回:“That's not like what I heard.” ―「聞いてたんと違う」(カナダ留学あるある), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2018年02月09日
【関連記事】第135回:“East is East and West is West.”―「東は東、西は西」(ラドヤード・キプリング), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年12月01日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】ビジット・ジャパン・キャンペーン公式サイト
【参考】“経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002”, 経済財政諮問会議, 平成14年(2002年)6月21日
【参考】“国交省、グローバル観光戦略を推進する会を開催”, Travel Vision, 2003年3月26日
【参考】“日本観光PRのビデオ作成/国交相が伝統文化など紹介”, SHIKOKU NEWS, 四国新聞社, 2003/07/31
【参考】“便座まで爆買いする中国人の“日本製信仰”(上)”, by 中島恵, DIAMOND Online, 2015.4.14
【参考】“政府、訪日外国人目標を一気に倍増 2020年=4000万人、2030年=6000万人”, 産経新聞, 2016.3.30
【参考】“Chinese ‘explosive shopping’ boom turns to Japanese cosmetics, supplements (中国人の「爆買い」ブームが日本の化粧品やサプリメントに向かう)”, By Keiko Ujikane, The Japan Times, Aug 22, 2016
【参考】“中国人が圧倒的に支持する<爆買い>商品〜ナンバーワンは日本の「神薬12」だった!”, by 張本真, Excite ニュース, 2016年11月2日
【参考】“あなたは理解できている?インバウンド対策で最重要な「ビジット・ジャパンキャンペーン」の3つのコト”, Marketing Bank, 2017年04月24日
【参考】“訪日外客統計の集計・発表 2017年12月推計値”(PDF), 日本政府観光局, 2018年1月16日発表, 訪日外客統計の集計・発表
【参考】“海外「日本の良さがグッと伝わってきた!」 2日間だけ観光した外国人の日本紹介動画に外国人が感動 海外の反応”, 海外まとめネット, 2017年06月23日
【参考】“海外クリエイターによる日本旅行動画が凄い!海外「日本には絶対行かなければ・・」”, 翻訳したらこうなった, 2016年03月26日
【参考】“旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット ランキング 2017”, TripAdvisor, 2017年6月8日

【動画】“JAPAN - Where tradition meets the future (日本 - 伝統と未来が出会うところ)”, by visitjapan, YouTube, 2016/11/06
【動画】“JUST JAPAN (まさに日本)”, by MrBrynnorth, YouTube, 2017/06/19
【動画】“Travel From Tokyo to Hiroshima in Less Than 4 Minutes | Short Film Showcase (東京から広島までの旅を4分間以内で | 短編映画ショーケース)”, by National Geographic, Film by Vincent Urban, Alex Schiller, and Alex Tank, YouTube, 2016/06/12



タグ:旅行 日本
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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン ☁ | Comment(0) | 国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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