スポンサーリンク / Sponsored Link


2017年10月20日

第469回:“Curiosity killed the cat.” ―「好奇心は猫を殺す」(イギリスのことわざ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第469回の今日はこの言葉です。
“Curiosity killed the cat.”

文字通りには、
「好奇心がその猫を殺した」
という意味です。日本語の言い回しとしては、
「好奇心は猫を殺す」
という言い方が一般的です。
これは、好奇心は身を滅ぼすという意味のイギリスのことわざです。好奇心を持ちすぎて軽はずみな行動をとるとろくなことにならない、ということです。

0469-chat_a_laffut_2.jpg
By 0x010C (Own work) [GFDL or CC BY-SA 4.0-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

イギリスには、猫に関する次のようなことわざがあります。
“Cat has nine lives.”
「猫に九生きゅうしょうあり」
「猫は9つの命を持っている」
「猫は容易に死なない」
という意味です。
イギリスでは他の動物よりもはるかにしぶとく生きのびると考えられていたのです。
確かに猫は高いところから仰向けに落ちても、「キャット空中反回転」をしてちゃんと足から着地しますよね。敏捷で頭もよく、慎重で執念深いところもあるので、そう思われていたのかもしれません。
そんな猫ですら、好奇心が高じるとそれが原因で命を落とすこともあるというのが、
“Curiosity killed the cat.”
「好奇心は猫を殺す」
ということわざです。



この言葉、ことわざですので誰が最初に使ったのかははっきりしていません。
16世紀末にイギリスの劇作家ベン・ジョンソン(Ben Johnson)の戯曲『十人十色(Every Man in His Humour)』(1598年)に次のような言葉が出てきます。
“Care will kill a cat.”
「心配事が猫を殺す」
心配しすぎると猫でも死ぬ、ということです。「心配は身の毒」ともいわれることわざです。このことわざ、最初は「好奇心」ではなく「心配事」が猫の死の原因だったのです。

0469-benjamin_johnson_by_abraham_van_blyenberch.jpg
ベン・ジョンソン
After Abraham van Blijenberch [Public domain], via Wikimedia Commons

実は『十人十色』の初演ではあのウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)が俳優として出演したといわれています。そのシェイクスピア自身も、1599年頃に上演された喜劇『空騒ぎ(Much Ado About Nothing)』の中で次のような言葉を使っています。
“Care killed a cat.”
「心配事が猫を殺す」


0469-shakespeare.jpg
ウィリアム・シェイクスピア
By It may be by a painter called John Taylor who was an important member of the Painter-Stainers' Company.[1] (Official gallery link) [Public domain], via Wikimedia Commons

この言葉は19世紀頃まで使われていたようで、イギリスの作家E・コブハム・ブルーワー(E. Cobham Brewer)『熟語と寓話の辞典(Dictionary of Phrase and Fable)』(1894年)で次のように書いています。
“Care killed the Cat.
It is said that ‘a cat has nine lives,’ yet care would wear them all out.”

「心配事が猫を殺す。
『猫に九生あり』と言われるが、それさえも心配事がすり減らしてしまう」
なるほど。『猫に九生あり』との関係は19世紀から指摘されていたのですね。

0469-e_cobham_brewer_1922.jpg
E・コブハム・ブルーワー
By London, New York [etc.] Cassell and Company, Limited [Public domain], via Wikimedia Commons

そして、いつのまにか猫を殺すものが「心配事(care)」から「好奇心(curiosity)」に変わります。こちらの方がいかにも猫っぽいですからね。
1873年にジェームズ・アラン・メーア(James Allan Mair)が発表したことわざ集には、アイルランドのことわざとして
“Curiosity killed the cat.”
が掲載されています。また、1904年にジョン・ヘンドリックス・ベクテル(John Hendricks Bechtel)が発表したことわざ集にも同じ言葉が載っています。19世紀後半から20世紀にかけて「好奇心が猫を殺す」という現在の形に落ち着いたようです。



この言葉がことわざ集以外の出版物に載ったのは、1916年3月4日のワシントン・ポスト紙(Washington Post)が最初です。ニューヨーク・シティの高層アパートで飼われていた猫が暖炉の煙突に入り込んで出られなくなり、警察や消防隊による必死の救出活動もむなしく落下して死んでしまった事故を伝える記事のタイトルとして、
“Curiosity killed the cat.”
が使われました。
この言葉はかつてアメリカの劇作家ユージーン・オニール(Eugene O'Neill)の言葉だと言われていたことがありました。1921年に上演された『ディフレント(Diff'rent)』という演劇に、
“Curiosity killed a cat!”
というセリフが使われたからです。しかし過去にことわざ集や新聞記事でも使われていたので、今ではオニール自身が編み出した言葉ではないとされています。

0469-oneil-eugene-loc.jpg
ユージーン・オニール
By Alice Boughton [Public domain], via Wikimedia Commons

このことわざ、続きがあるバージョンもあります。
“Curiosity killed the cat, but satisfaction brought it back.”
「好奇心は猫を殺すが、満足したら生き返る」
おっと、猫が生き返っちゃいましたね。
「猫に九生あり」というのは伊達じゃありません。
猫をかわいそうに思った誰かが、生き返らせたのでしょうか。何となくですが、付け加えたのはシニカルなイギリス人ではなく、ポジティブ思考で動物好きなアメリカ人のような気がします。
言葉は生き物、時代と共に変わっていくものですね。



“Curiosity killed the cat.”
好奇心は猫を殺す。

九生あると言われる猫ですが、好奇心を持ちすぎるのは危険です。
みなさんも好奇心はほどほどに。
そういえば「猫に九生」という方のことわざにも続きありバージョンがあります。
“A cat has nine lives and a woman has nine cats’ lives.”
「猫に九生あり、女に九猫の生あり」
なんと女性も猫と同じように容易に死なないということわざが新たにくっつけられたのです!

いやいやいや。(笑)

そんなの、ことわざで言うまでもなく周知の事実じゃないですか。ねえ。
おや、誰か来たようだ








【動画】“ジャンプ失敗する猫たちが可愛いwww”, by 田辺洋二, YouTube, 2015/03/20

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第403回:“I am a cat.”―「我輩は猫である」(夏目漱石), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年01月29日
【関連記事】第192回:“What does the fox say?” ―「キツネはなんて鳴くんだ?」(イルヴィス), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年04月23日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“ねこが教えてくれる仕事術”, by O-Simaさん, NAVERまとめ, 2012年10月22日
【参考】“「あー、好奇心はやっぱり猫を殺すんだなぁ」と納得できる写真15枚”, by 小太郎さん, 小太郎ぶろぐ, 2014/09/28
【参考】“「好奇心はネコをも殺す」 オーストラリアの野良ネコ駆除作戦”, AFP BB News, 2010年2月24日
【参考】“猫には9つの命がある”, 子猫の部屋
【参考】“猫のことわざ 『A cat has nine lives』 しぶとい女性にも使われていたらしい・・・”, ねこにゅー, 2015/3/20
【参考】“おかしな英語のことわざ知ってますか?”, ロゼッタストーン・ラーニングセンターTODAY, 2016年5月29日

【動画】“ジャンプ失敗する猫たちが可愛いwww”, by 田辺洋二, YouTube, 2015/03/20

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | ことわざ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ