スポンサーリンク / Sponsored Link


2017年08月13日

第452回:“M-Maybe” ―「た、たぶん」(ロイ・リキテンスタイン)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第452回の今日はこの言葉です。
“M-Maybe”

「た、たぶん」
という意味です。
これはアメリカの芸術家ロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)の言葉です。アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)らと共にポップ・アート(pop art)の代表的な画家として有名です。

0452-roy_lichtenstein.jpg
ロイ・リキテンスタイン(1967年撮影)
By Eric Koch / Anefo [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

1923年、ロイ・リキテンスタインはニューヨーク・シティに生まれます。父親は不動産業をしています。
ロイは少年時代から趣味としてアートやデザインに興味を持ち、好きなジャズアーティストの演奏する姿を絵に描きます。16歳の時にアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク(The Art Students League of New York)という美術学校に入学してアートを学んだロイは、翌年オハイオ州立大学(Ohio State University)の美術学部に入学します。ロイは3年間の兵役をはさんで美術の研究を続け、1949年に大学院で修士号を取得。修了後も講師として後進の指導に当たります。
1951年、リキテンスタインはニューヨークで初めての個展を開きます。そしてその後6年ほどクリーブランドで製図工や装飾の仕事をしながら絵の制作を続けます。この頃のリキテンスタインの画風はキュビズムと印象派の間で揺れ動いていたそうです。

0452-art_students_league_ny_jeh.jpg
アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨーク(2008年撮影)
By Jim.henderson (Own work) [Public domain], via Wikimedia Commons

1960年代の初頭、リキテンスタインは子供にミッキーマウスの漫画を描いてあげた時に、従来の絵画よりも漫画の方が強いインパクトを持っていることに気づきます。
そして漫画の1コマを台詞の吹き出しや効果音、印刷のドットもあわせてキャンバスに拡大する作品を制作します。
60年代のポップ・アートの旗手とされるロイ・リキテンスタインのスタイルの完成です。


『ボールを持つ少女(Girl With Ball)』(1961年)

ポップ・アートの代名詞となったリキテンスタインの作品は、物や人物がすべて太い輪郭線で囲まれた平面として表されるのが特徴です。色は赤・青・黄色の三原色のベタ塗りか、人の肌色や陰影などはドットの大小や密度で表現されます。まさに当時の漫画に見られた手法です。
リキテンスタインは子供の読み物だった漫画のコマ絵に美を見出し、絵画作品に昇華させたのです。


『溺れる少女(Drowning Girl)』(1963年)

さらにリキテンスタインは「ブラッシュストローク(brushstroke)」という、筆に絵具を分厚く塗った筆跡を漫画と同様な平面的な手法で描いたり、ダ・ビンチやピカソやゴッホなどの古今の名画を平面的にしてみたりするシリーズを展開します。
色づかいも三原色以外のものを使ってみたりします。


Little Big Painting (1965年)

リキテンスタインの作品の中で僕が最も好きな作品が『た、たぶん(M-Maybe)』(1965年)です。
赤・青・黄色の三原色と黒くて太い輪郭、金髪で青い目の若い女性、赤色ドットによる肌色の表現、漫画らしい吹き出しの台詞など、リキテンスタインの特徴を多く持つ作品です。


『た、たぶん(M-Maybe)』(1965年)

女性の台詞は会話ではなく、彼女が心で思っている内容です。台詞自体に特別深い意味はありませんが、現代の都市生活を切り取った漫画の1コマです。今見ても古さを感じさせません。
この作品はキャラクターの台詞の出だしがそのままタイトルになりました。
ほかにも、『I Know How You Must Feel, Brad...』(1963年)、『Whaam!』(1963年)、『We Rose Up Slowly』(1964年)、『Reverie』(1965年)、『Seductive Girl』(1996年)などの作品が好きです。


【動画】“Whaam! Roy Lichtenstein at Tate Modern (ワーム! テート・モダンでロイ・リキテンスタイン展)”, by IamUvo, YouTube, 2014/12/30

“M-Maybe”
『た、たぶん』

漫画の1コマで拡大して芸術作品にするという、誰もが考えなかった独創的な手法で世界をあっと言わせたリキテンスタイン。
今ではポップ・アートの第一人者として、リキテンスタインは美術の教科書にも載っています。
彼は印象派やキュビズム以降やや停滞していた美術の世界に、大きなイノベーションをもたらしたのです。


【動画】“Roy Lichtenstein: the art and the artist (ロイ・リキテンスタイン:作品と人物)”, by Channel 4 News, YouTube, 2013/02/18

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。


【動画】“"Roy Lichtenstein: A Retrospective" at the National Gallery of Art, Washington (『ロイ・リキテンスタイン回顧展』ワシントン、ナショナルギャラリーにて)”, by National Gallery of Art, YouTube, 2012/11/27

【関連記事】第171回:“Think rich, look poor.”―「考えは豊かに、見た目は質素に」(アンディ・ウォーホル), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年02月01日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“IMAGE DUPLICATOR”, by the ROY LICHTENSTEIN FOUNDATION
【参考】“あなたの知らないリキテンスタイン”, by fug*c*_illu*in*z*one さん, 日々の泡、浮かんでは消えていく毎日の記録, 2006/11/19
【参考】“雑話161「リキテンスタイン@、漫画がアートに」”, by tadashi さん, 絵画BLOG−フランス印象派 知得雑話, 2013-01-07
【参考】“雑話162「リキテンスタインA、漫画の次は」”, by tadashi さん, 絵画BLOG−フランス印象派 知得雑話, 2013-01-14

【動画】“Whaam! Roy Lichtenstein at Tate Modern (ドカーン! テート・モダンでロイ・リキテンスタイン展)”, by IamUvo, YouTube, 2014/12/30
【動画】“Roy Lichtenstein: the art and the artist (ロイ・リキテンスタイン:作品と人物)”, by Channel 4 News, YouTube, 2013/02/18
【動画】“"Roy Lichtenstein: A Retrospective" at the National Gallery of Art, Washington (『ロイ・リキテンスタイン回顧展』ワシントン、ナショナルギャラリーにて)”, by National Gallery of Art, YouTube, 2012/11/27

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ