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2017年07月20日

第446回:“God is dead.” ―「神は死んだ」(ニーチェ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第446回の今日はこの言葉です。
“God is dead.”

「神は死んだ」
という意味です。
これはドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche, 1844-1900)の言葉です。ドイツ語では「ニーツシェ」と発音されることもあります。
「実存主義(existentialism)」の代表的な思想家の一人として知られます。
ドイツ語の原文では、
“Gott ist tot.”
ット・イスト・ート)
となります。

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フリードリヒ・ニーチェ(1875年撮影)
Photo by F. Hartmann in Basel [Public domain], via Wikimedia Commons

1844年、フリードリッヒ・ニーチェはプロイセン王国のライプツィヒ近郊の村に生まれます。父親は元教師で裕福な牧師をしていますが、4歳の頃に父が亡くなり、5歳の頃に2歳の弟が亡くなります。小学校の頃のフリードリッヒは正義感のある真面目な子供だったそうです。
ニーチェは中等学校(ギムナジウム)で勉強やスポーツにはげみ、音楽と国語の優れた才能を認められます。そして16歳の頃からドイツ屈指の名門校であるプフォルタ僧院(Pforta Abbey)という全寮制の学院の給付生となり、古代ギリシアやローマの古典・哲学・文学などを学びます。

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17歳の頃のニーチェ(1861年撮影)
Photo by Unknown, cropped by Jim Saeki in 2017 [Public domain], via Wikimedia Commons

20歳の頃にプフォルタ僧院を卒業したニーチェはボン大学(University of Bonn)に進学して神学部と哲学部に入ります。牧師の息子だったニーチェは亡き父の跡を継いで牧師になろうと神学部に入りましたが、1年目の最初の学期を終える頃には信仰を捨てて神学の勉強もやめてしまいます。そして古典文献学の研究で実証的・批判的な研究を行っていたフリードリヒ・リッチュル(Friedrich Ritschl)に師事し、リッチュルがライプツィヒ大学へ転属した時にニーチェもライプツィヒ大学(Leipzig University)へ転学します。
23歳の頃には一年志願兵として砲兵師団へ入隊しますが、落馬して大怪我をしたため除隊し、再び学問に没頭します。この頃に作曲家リヒャルト・ワーグナー(Richard Wagner)と知り合ったり、ショーペンハウエル(Arthur Schopenhauer)の著書を読んで影響を受けたりします。

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砲兵師団の頃のニーチェ(1868年頃撮影)
Photo by Unknown, cropped by Jim Saeki in 2017 [Public domain], via Wikimedia Commons

1869年にニーチェはスイスのバーゼル大学(University of Basel)に招かれ、24歳の若さで古典文献学の教授となります。そして28歳の時に最初の著作『悲劇の誕生』(The Birth of Tragedy, 1872)を発表します。
ニーチェは同じスイスのルツェルンに住んでいたワーグナーと妻コジマとの親交を深め、ルツェルンの邸宅にも何度も足を運びます。1873年から76年にかけて執筆した『反時代的考察』(Untimely Meditations)では、第4編の「バイロイトにおけるリヒャルト・ワーグナー」(Richard Wagner in Bayreuth)でワーグナーの心理学を冷静に探究しています。

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リヒャルト・ワーグナー(1871年撮影)
Franz Hanfstaengl [Public domain], via Wikimedia Commons

ニーチェは34歳の頃、『人間的な、あまりにも人間的な』(Human, All Too Human, 1878)を出版します。
短いものは1行、長いものでも1、2ページからなる格言(アフォリズム、Aphorism)数百篇によって構成するニーチェのスタイルはこの作品から始まります。アフォリズムは形而上学から道徳、宗教から性まで多彩な内容に及びます。またこの作品でニーチェはワーグナーやショーペンハウエルからの決別を明らかにします。



35歳の頃、ニーチェは激しい頭痛を伴う病気に倒れます。大学を辞職したニーチェは、療養のために気候のよい土地を求めて約10年間さまざまな都市を旅します。例えば夏は涼しいスイスのサンモリッツ近郊の村、冬は暖かいイタリアのジェノヴァやトリノ、南仏のニースなどに暮らします。そして執筆活動に専念し、在野の哲学者として活動します。
1882年、ニーチェは『悦ばしき知識』(The Gay Science)を出版します。38歳の頃です。
本作でニーチェは
“God is dead.”
「神は死んだ」
と語ります。キリスト教的な神や価値観が消滅して、ヨーロッパが歴史的に危機的状況にあることを表現したのです。そして神を信じる者は来世(天国)で救われるというキリスト教的な世界観をニーチェは否定し、まったく同じ人生が未来永劫繰り返されるという「永劫回帰(Eternal return)」という独特の世界観を提示します。

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38歳の頃のニーチェ(1882年撮影)
By Gustav-Adolf Schultze (d. 1897) [Public domain], via Wikimedia Commons

その後ニーチェは失恋や病気の再発、母や妹との不和などが重なり苦悩します。
この頃のニーチェがわずか10日で第1部を書き上げたのが『ツァラトゥストラはかく語りき』(Thus Spoke Zarathustra, ドイツ語原題: Also sprach Zarathustra)(1885年)です。
本作でも序章の中で、ツァラトゥストラの言葉として
「神は死んだ」
が使われています。そしてニーチェは先に提唱した「永劫回帰」という無価値な人生の中で、自らの確立した意思でもって行動する「超人」(overman)であるべきだと主張します。単なる個人主義よりもさらに進んで、他者を超越した至高な存在になるべきだということです。
すみません。僕もこのあたりの主張はあまりよく理解できず、ちょっと着いて行けません。



ニーチェは48歳の頃に精神を病み、1年ほど精神病院に入院します。
晩年のニーチェは妹のエリーザベトが面倒を見ますが、ほとんど疎通ができない状態でした。
そして1900年、ニーチェは肺炎で世を去りました。55歳でした。

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晩年のニーチェ(1899年撮影)
Photo by Unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

“God is dead.”
神は死んだ。

古代ローマの時代から続くキリスト教の概念を否定し、神や真理、理性や価値、権力や自我などの既成の概念を解釈しなおして新たな思想を生み出したニーチェ。
ニーチェの哲学はその後の文学や哲学に大きな影響を与えました。
また、1896年にはドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスが交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』を発表しました。また、この音楽はスタンリー・キューブリックが監督したSF映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey)(1968年イギリス・アメリカ)でも印象的に使われました。


【動画】“2001: A Space Odyssey - Trailer [1968] HD (『2001年宇宙の旅』 - 予告編 [1968年])”, by Stanley Kubrick, YouTube, 2012/04/06

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。



【関連記事】第362回:“Turn the other cheek.” ―「別の頬を出しなさい」(イエス・キリスト) (聖書), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年09月26日
【関連記事】第442回:“I did't know they stacked sh*t that high!” ―「まるでそびえ立つクソだ!」(ハートマン軍曹), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年07月04日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“ニーチェ著「ツァラトゥストラはこう言った」”, by as さん, とりあえず、やるっきゃないでしょ!, 2011-12-02

【動画】“2001: A Space Odyssey - Trailer [1968] HD (『2001年宇宙の旅』 - 予告編 [1968年])”, by Stanley Kubrick, YouTube, 2012/04/06

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 哲学者 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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