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2017年02月26日

第410回:“Pretty much every message that Trump put out was data-driven.” ―「トランプの言葉のほとんどは計算ずくだった」(アレクサンダー・ニックス)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第410回の今日はこの言葉です。
“Pretty much every message that Trump put out was data-driven.”

「トランプが発したメッセージの大部分はデータドリブンだった」
というのが文字通りの意味です。
「データドリブン(data driven)」とは膨大なデータを分析した結果に基づいて未来の方針や行動を決めることです。
「トランプの言葉のほとんどは計算ずくだった」
といったところでしょうか。
これはイギリスの新興企業「ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)」のCEOを務めるアレクサンダー・ニックス(Alexander Nix)の言葉です。
先日アメリカの大統領に就任したばかりのドナルド・トランプ(Donald Trump)は数々の暴言で有名ですが、それが計算し尽くされたものだったというのです。

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ドナルド・トランプ
Photo by Unknown, posted to whitehouse.gov on 20 January and used in inauguration brochure prior to that [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons

昨年11月に投票が行われたアメリカ大統領選挙は、多くの人があっと驚く結果となりました。
圧倒的に有利と言われた民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)を制して、共和党候補のドナルド・トランプが勝利を決めたのです。
確かに選挙の直前まで支持率が拮抗していたとはいえ、ほとんどのメディアはヒラリー勝利を予測していました。そして個人ごとの得票数はヒラリーがトランプを上回りました。それでも州ごとに選出された選挙人の数ではトランプがヒラリーを上回り、大統領の座を手にしました。

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大統領選挙で勝利演説をするトランプ
(2016年11月)
By VOA News [Public domain], via Wikimedia Commons

話題先行の泡沫候補として、共和党の予備選挙ですらイロモノ扱いだったトランプがなぜヒラリーに勝てたのでしょうか。そしてなぜそれを多くの人やメディアは予測できなかったのでしょうか。
・ヒラリーが女性だったから
・メール問題が追及されたから
・上から目線の発言が嫌われたから
・既存の政治が飽き飽きされていたから
・トランプがビジネスマンとして成功していたから
・既得権益層からの献金を受けていないから
・サイレントマジョリティである労働者階級の白人男性の不満を代弁したから

中には
・ロシアの介入によりヒラリーに不利なニュースが意図的に流されたから
・Facebook(フェイスブック)が嘘のニュースをそのまま流したから

などといった陰謀論に近いトンデモな説もあります。
まあどの説も一理あり、選挙結果に確かに影響したのだと思います。しかしたった一つの理由ではなく、さまざまな理由が組み合わさって影響を及ぼし合い、あのような結果となったのだと思います。

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ヒラリー・クリントン
Gage Skidmore [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

以前、作家のたちばなあきら氏の面白い分析をご紹介したことがありましたね。
ヒラリー・クリントン落選の原因は、
「トランプ氏の隣でアイスを売らなかった」から


【参考】“ヒラリー・クリントン落選の原因は、「トランプ氏の隣でアイスを売らなかった」から [橘玲の日々刻々]”, by 橘玲, 橘玲の日々刻々, 2016年11月28日
だという説です。ゲーム理論(Game Theory)ホテリングの法則(Hotelling's Law)ランチェスターの法則(Lanchester's laws)などに詳しい人はピンときたでしょう。
ものすごく簡単に言うと、トランプは大統領候補としては弱者ですから、戦略としては他者と全く違うことをするのが最善の手であるということです。だからトランプは数々の暴言を吐いて他の候補とは明らかに違うことを有権者に印象づけたのです。

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By Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America (Donald Trump) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

それに対して、ヒラリーは大統領候補としては強者です。強者の戦略は、敵と全く同じことをして違いを無くしてしまうのが最善の手です。つまりトランプがアイスを売っているすぐ隣りでトランプと同じアイスを売れば、ブランド力のあるヒラリーが確実に勝てるのだということです。
しかしヒラリーはトランプの隣でアイスを売ることをしませんでした。というか、できませんでした。トランプの暴言と同じことをヒラリーが言ったら、それこそそれまで彼女が築いてきたものが台無しになってしまうからです。
まあトランプはそこまで計算したわけではなく、ただ言いたいことを言っていただけなのかもしれません。

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By Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America (Hillary Clinton) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

しかしそうとも言い切れないのです。最近のネット記事によると、実はトランプの数々の暴言は一つ一つが綿密に計算し尽くされて吐かれたものだったかもしれないのです。
トランプが選挙に勝って世界が騒然としている中、冒頭でご紹介したケンブリッジ・アナリティカが次のようなニュースリリースを発表します。
“We are thrilled that our revolutionary approach to data-driven communication has played such an integral part in President-elect Trump's extraordinary win.”
「データドリブン・コミュニケーションに関するわが社の革新的アプローチがトランプ新大統領の素晴らしい勝利に大きく貢献しました」
トランプ陣営の選挙対策本部は、大統領選挙終盤のオンラインキャンペーンをケンブリッジ・アナリティカに委託していたようなのです。

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Gage Skidmore [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

この会社、もともとイギリスの「SCLグループ(SCL Group)」という会社のスピンアウトです。“SCL”とは“Strategic Communication Laboratories(戦略コミュニケーション研究所)”の略で、データ分析に基づく選挙キャンペーンを請け負う会社です。公式ウェブサイトによるとこの会社は1990年に設立され、1994年以来イタリアやインド、タイ、台湾、ケニア、南アフリカなど17ヶ国の25の選挙に参加し、影響を与えたのだそうです。
そして2012年にSCLはケンブリッジ・アナリティカを設立し、アメリカへ進出します。ケンブリッジ・アナリティカは2014年の中間選挙で上院・下院・州議会を含む44の選挙に参加し、実績を作ります。

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Image courtesy of Stuart Miles, published on 24 February 2014 / FreeDigitalPhotos.net

SCLやケンブリッジ・アナリティカは選挙でいったい何をするのでしょうか。
それは、依頼者であるクライアントの候補が勝つために、ネットでの情報発信によってクライアントに有利な方向に世論を誘導するのです。「ビッグデータ(big data)」とか「データマイニング(data mining)」という言葉をご存じの方も多いと思います。膨大なデータを徹底的に分析して、どんな内容の情報をどの媒体でどんなタイミングに発信したら最も効果があるかを予測し、その結果をさらに分析して次の手を打っていくのです。まさに「データドリブン」のアプローチです。
SCLとケンブリッジ・アナリティカは一人ひとり個別に最も効果の高い情報を発信する「マイクロ・ターゲティング(micro targetting)」という手法を使います。マイクロ・ターゲティング自体はネット広告でも普通に使われています。しかしSCLとケンブリッジ・アナリティカが凄いのは、ひとり一人の分析に「サイコメトリックス(Psychometrics)」「サイコグラフィックス(Psychographics)」と呼ばれる最新の心理学的手法を使っているところです。


【動画】“Cambridge Analytica - What We Do (ケンブリッジ・アナリティカ - 私たちがしていること)”, by Cambridge Analytica, YouTube, 2016/07/25

サイコメトリックスは1980年代からイギリスのケンブリッジ大学(University of Cambridge)で研究されており、「ビッグ・ファイブ(Big Five)」と名付けられた5つの要素で人の性格を判別する手法です。5つの要素とは、
・開放性(openness)
・誠実性(conscientiousness)
・外向性(extroversion)
・協調性(agreeableness)
・情緒安定性(neuroticism)

で、頭文字をとって「オーシャン(OCEAN)」とも呼ばれます。
ケンブリッジ大学のサイコメトリクス・センターはこれらの要素を判定するアンケート質問の組み合わせで人の性格や嗜好をプロファイリングする手法を研究してきました。

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Image courtesy of Ambro, published on 26 September 2012 / FreeDigitalPhotos.net

これをネットに適用したのが当時ケンブリッジ大学の大学院生で、今や米スタンフォード大学(Stanford University)のビジネススクールの準教授となっているマイカル・コジンスキー(Michal Kosinski)です。彼は同じサイコメトリックス・センターのデイビッド・スティルウェル(David Stillwell)が作った「マイパーソナリティー(MyPersonality)」という性格診断Facebookアプリで収集したデータを使ってサイコメトリクスの研究を行います。

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【参考】“Dr.MichalKosinski”, Stanford University (スタンフォード大学のコジンスキーのサイト)

その結果、Facebookの情報だけで気味が悪いほど人の性格や嗜好を判定できることがわかります。
例えばコスメブランドのM・A・C「いいね!(Like!)」をつけている人はゲイである割合がわずかに高く、ヒップホップ・グループのウータン・クラン(Wu-Tang Clan)に「いいね!」をしている人はストレートである傾向が強いそうです。レディー・ガガ(Lady Gaga)をフォローしている人は外向的で、哲学を「いいね!」している人は内向的な傾向にあります。一つ一つの傾向はわずかな差なのですが、それを組み合わせることでその人のことをかなり詳しく知ることができるのです。

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【参考】マイカル・コジンスキーの公式ツイッター

コジンスキーの2012年の発表によると、68件の「いいね!」を分析することによって、
・肌の色を95%の確率で
・性的指向を88%の確率で
・支持政党が民主党か共和党かを85%の確率で

当てることができるのだそうです。
それ以外にも、
・知能
・宗教
・飲酒
・喫煙
・薬物の使用の有無
・両親の離婚の有無

などまでも分かってしまうそうなのです。怖いですね。


【動画】“Do Facebook Likes Predict Personality? (Facebookの「いいね!」で人格を当てられるか)”, by Michal Kosinski, YouTube, 2013/08/28

さらにその後コジンスキーは、
・10件の「いいね!」で職場の同僚よりもその人のことがよくわかる
・70件の「いいね!」で友達よりも(以下略)
・150件の「いいね!」で両親よりも(略)
・300件の「いいね!」で恋人よりも(ry)

という論文を発表します。
さらに多くの情報があれば、「本人よりもその人のことがよくわかる」とコジンスキーは豪語します。怖いですね。
僕なんか結構長いブログ記事を400件以上書いてますから、性格や趣味、性的指向などは実はバレバレなのかもしれません。タグクラウドのキーワードを見るだけでも、僕の頭の中がわりとバレバレですよね。まるで脳内メーカーのようです。

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脳内メーカーより

また、あなたのスマホには様々な情報が蓄積されています。
いつどこへ行って、どれだけ歩いて、誰とどれだけ連絡をとって、どんな情報を検索して、何をどれだけ買って、どんな本やマンガを読んでどんな動画を見たか。そして何に「いいね!」をしたか。これらは他人にとっては宝の山であり、あなたにとっては重要なプライバシー情報です。
“Our smartphone is a vast psychological questionnaire that we are constantly filling out, both consciously and unconsciously.”
「スマートフォンは意識せずとも超巨大な心理アンケートを常に埋めているようなものだ。」
とコジンスキーは言います。
もしスマホにバックドアがつけられて情報を密かに収集されたら、あなたはあなたのことをあなた自身よりも詳しく他人に知られてしまうのです。怖いですね。

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Image courtesy of watcharakun, published on 15 August 2013 / FreeDigitalPhotos.net

また、コジンスキーの手法は「人のサーチエンジン」としても使えます。
「心配性の父親」や「怒っている内向的な人」、そして「誰に投票するか決めていない民主党支持者」などを簡単に探すことができるのです。そうしてピンポイントで人それぞれに最適化された広告やメッセージを流すことによって何パーセントかの人の行動を変えることができたら、結果として世論をある程度は操作することができるのです。
“My approach could pose a threat to an individual's well-being, freedom, or even life.”
「私のアプローチは人の幸福や自由、あるいは命でさえも危険に晒す恐れがある」
とコジンスキーは警告します。怖いですね。

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Image courtesy of Nutdanai Apikhomboonwaroot, published on 07 September 2012 / FreeDigitalPhotos.net

2014年の前半、コジンスキーはケンブリッジ大学の心理学科の准教授アレクサンドル・コーガン(Aleksandr Kogan)から連絡を受けます。ある会社に頼まれたので「マイパーソナリティー」のデータを使わせて欲しいと言うのです。その会社こそがあのSCL社です。当初コジンスキーは大金を手にするチャンスと考えますが、SCL社が「選挙管理代理店」だと知って躊躇します。
そして2015年の暮れ、イギリスの大手紙ガーディアン(The Guardian)がある記事を発表します。ケンブリッジ・アナリティカがアメリカの大統領予備選で共和党候補のテッド・クルーズ(Ted Cruz)の選挙キャンペーンを担当したというのです。

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テッド・クルーズ
Gage Skidmore [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

ケンブリッジ・アナリティカはFacebookのデータを使ってクルーズの予備選を支援し、無名だったテッド・クルーズを共和党の大本命にまで躍進させます。同社がイギリスSCL社のスピンオフであること、ケンブリッジ大学のコーガンがSCL社との取引会社を設立したこと、SCL社がFacebookの「いいね!」データを活用していることなども記事には書かれています。
これはコジンスキーの手法のほぼパクリです。コジンスキーはコーガンと対立して絶縁し、大学にも通報していろいろ揉めたらしいです。コーガンは今もケンブリッジ大の心理学科にいますが、結婚してアレクサンドル・スペクター(Aleksandr Spectre)と名前が変わっています。

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【参考】“Dr Aleksandr Spectre”, University of Cambridge (ケンブリッジ大学のスペクター(旧姓コーガン)のサイト)

翌年の2016年5月、テッド・クルーズは善戦したものの共和党の大統領予備選から撤退します。そして共和党候補は泡沫候補だったまさかのドナルド・トランプに決まります。
一方イギリスではEU離脱の議論が盛んになります。日本ではなぜか「ブレグジット」と呼ばれますが、英語では「ブレクシット(Brexit)」と呼ばれます。そして2016年6月に行われた国民投票では、なんとEU離脱が多数を獲得します。多くの人が残留派の勝利を予想した中、それをくつがえしての離脱派勝利です。
実は急進的な離脱派である「リーヴ・EU(Leave.EU)」は、初期の離脱キャンペーンをケンブリッジ・アナリティカに担当させたことを発表しています。同社がどこまでこの国民投票にかかわったかは明らかにはなっていませんが、離脱派のために動いたのは確かなようです。

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By DAVID HOLT from London, England [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons

この頃、EU離脱の多数が決まった過程とトランプ躍進の状況の類似性が一部の専門家に指摘されます。皆さんも何となく感じられたのではないでしょうか。僕も何となく思いました。
そんな中、トランプはツイッターで謎のツイートをしています。
“They will soon be calling me MR. BREXIT!”
「もうすぐ彼らは私のことをミスター・ブレクシットと呼ぶことになるだろう」
というものです。
確かにトランプはEU離脱を支持しています。しかしこのツイートは単にそれだけではなさそうな言い方です。

【twitter】“They will soon be calling me MR. BREXIT!”, by Donald J. Trump, @realDonaldTrump, twitter, 2016年8月18日

そしてさらに数週間後の2016年9月、ケンブリッジ・アナリティカのCEOであるアレクサンダー・ニックスがニューヨークシティで講演を行います。
その講演で、ニックスは同社がテッド・クルーズの大統領予備選にいかに貢献したかを明らかにします。そして講演の最後でニックスは、テッド・クルーズが選挙戦から撤退した後は残った候補者をサポートしていると発表します。
トランプのツイートの真意はこれだったのです。

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By Michael Vadon (Own work) [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

ケンブリッジ・アナリティカはまず様々な情報源から個人情報を買い集めます。アメリカではほとんどすべての個人情報のデータは名前や住所や電話番号つきで専門の業者から買うことができます。同社はさらにFacebookなどのソーシャルメディアも活用します。そしてサイコグラフィックスの手法を活用して個人のパーソナリティーを診断します。
“We have profiled the personality of every adult in the United States of America−220 million people.”
「我々はアメリカの有権者2億2000万人のすべてのパーソナリティーを診断しました」
すごいですね。「有権者すべて」と言っています。怖いですね。
そしてその一人一人に対して最も有効と思われる選挙キャンペーンを実施したのです。
どちらに投票するかを決めかねている人に対しては、個人個人にカスタマイズされたヒラリーが不利になるニュースを流します。例えばハイチ出身者にはクリントン財団がハイチ地震の支援に貢献できていないというニュースを流し、アフリカ系黒人にはヒラリーが過去に黒人に対して人種差別発言をした時のニュースを流します。
また明らかに民主党とヒラリーを支持している人に対しては、「ヒラリー有利」のニュースをタイムラインに数多く表示させます。「どうせ勝つのだからわざわざ投票に行かなくても大丈夫だ」と思わせて投票行動から遠ざけるのです。
決して嘘のニュースを流すわけではありませんが、見せるニュースを個人個人で選別するのです。
その結果、人によって世界はまったく違うものに見えてしまうのです。
そして人によって考え方や行動をある程度はコントロールすることができるのです。怖いですね。

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Image courtesy of arztsamui, published on 03 August 2011 / FreeDigitalPhotos.net

トランプの発言もデータに基づいて綿密に計算されたものだったといいます。
“Pretty much every message that Trump put out was data-driven.”
「トランプが発したメッセージの大部分はデータドリブンだった」
というニックスの言葉がそれを物語っています。
選挙直前までの支持率の推移もリアルタイムで把握し、そのデータに基づいてトランプは遊説する州や都市を決めたそうです。選挙直前のトランプの訪問先が驚くほど適切だったと当時も報道されましたが、正確に票読みができていたからの行動だったのです。
その結果トランプは選挙人の数が多い上に接戦だった州で次々と逆転勝利を飾り、得票数ではヒラリーを下回りながらも選挙人の数で大統領の座を手にしたのです。

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By 内閣官房内閣広報室 (平成29年02月10日 米国訪問 -1日目 -) [CC BY 4.0], via Wikimedia Commons

僕はトランプの発言は、そこまで計算ずくではないと思います。わりと言いたいことは言っていると思います。しかし世間で思われているほど無秩序ではなく、かなり考えられたものだということです。
もちろんヒラリー陣営もデータドリブンの手法をとらないわけはありません。むしろオバマ前大統領が「ソーシャル・メディア・プレジデント(Social Media President)」と呼ばれたように、ITを駆使した選挙活動は民主党のお家芸です。しかしトランプ陣営ほど個人単位の狙い撃ちまではやらかなった、いやできなかったものと思われます。
そして結果はトランプの勝利。
大手メディアのほとんどが予測できませんでした。
直前までの票読みを最も正確にできていたのはメディアではなくトランプ陣営だったのかもしれません。


【動画】“The Power of Big Data and Psychographics (ビッグデータとサイコグラフィクスの威力)”, by Concordia, YouTube, 2016/09/27

“Pretty much every message that Trump put out was data-driven.”
トランプの言葉のほとんどは計算ずくだった。

イギリスのEU離脱やアメリカの大統領選挙の結果を左右するまでになったビッグデータ分析。
本当に怖い世界になったものです。
しかしうまく使うと非常に有効で強力な武器となるのは確かです。
「情報を制するものは世界を制する」ということですね。
ビッグデータの分析と活用は今後ますます注目されていくことでしょう。



それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第400回:“Why ice cream sellers stand next to each other?”―「アイス売りのスタンドはなぜ隣り合うのか」(ゲーム理論、ホテリングの法則), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年01月18日
【関連記事】第377回:“I will be president for all Americans.” ―「私はすべてのアメリカ人の大統領になる」(ドナルド・トランプ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年11月10日
【関連記事】第285回:“You're fired!” ―「お前はクビだ!」 (ドナルド・トランプ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年02月20日
【関連記事】第333回:“Brexit!” ―「ブレグジット!」(イギリスのEU離脱), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年06月25日
【関連記事】第405回:“History repeats itself.”―「歴史は繰り返す」(ことわざ、クルティウスほか), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2017年02月06日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“Ted Cruz using firm that harvested data on millions of unwitting Facebook users (何百万人の無意識なFacebookユーザのデータを活用した会社をテッド・クルーズが使う)”, by Harry Davies, 11 December 2015
【参考】“The Data That Turned the World Upside Down (世界をひっくり返したデータ)”, by Hannes Grassegger and Mikael Krogerus, Jan 28 2017
【参考】“英国離脱とトランプ当選。世界をひっくり返したビッグデータ会社を畏怖せよ”, by satomi, GIZMODO Japan, 2017.02.13
【参考】“Donald Trump Won Because of Facebook (ドナルド・トランプが勝った理由はFacebook)”, by Max Read, select/all, New York Magazine, November 9, 2016
【参考】“フェイスブックはドナルド・トランプ潰そうと思えば潰せる。法的には無問題”, by satomi, GIZMODO Japan, 2016.04.19
【参考】“ドナルド・トランプ勝利はFacebookのせい? 米メディアが猛攻撃”, by 福田ミホ, GIZMODO Japan, 2016.11.14
【参考】“ヒラリーを心底嫌ったアメリカの本音”, by iRONNA編集部, iRONNA, 2016.11.14
【参考】“トランプ氏は計算ずくの暴言王 88年取材植山さん”, By 三須一紀, 日刊スポーツ, 2016年11月11日
【参考】“Dr.MichalKosinski”, Stanford University (スタンフォード大学のコジンスキーのサイト)
【参考】マイカル・コジンスキーの公式ツイッター
【参考】“Dr Aleksandr Spectre”, University of Cambridge (ケンブリッジ大学のスペクター(旧姓コーガン)のサイト)

【twitter】“They will soon be calling me MR. BREXIT!”, by Donald J. Trump, @realDonaldTrump, twitter, 2016年8月18日

【動画】“Cambridge Analytica - What We Do (ケンブリッジ・アナリティカ - 私たちがしていること)”, by Cambridge Analytica, YouTube, 2016/07/25
【動画】“Do Facebook Likes Predict Personality? (Facebookの「いいね!」で人格を当てられるか)”, by Michal Kosinski, YouTube, 2013/08/28
【動画】“The Power of Big Data and Psychographics (ビッグデータとサイコグラフィクスの威力)”, by Concordia, YouTube, 2016/09/27

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