スポンサーリンク / Sponsored Link


2016年12月31日

第394回:“All's Well That Ends Well”―「終わりよければすべてよし」(ことわざ、シェイクスピア)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第394回の今日はこの言葉です。
“All's Well That Ends Well”
「終わりよければすべてよし」
という意味です。
物事は結果さえよければ、その過程で多少よくないことがあっても全体としてよいと判断される、判断しようという意味のことわざです。13世紀の中ごろから使われていることわざのようです。
イングランドの劇作家ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare, 1564-1616)の言葉でもあります。
シェイクスピアが1603年から1604年頃に書いたと考えられている戯曲『終わりよければすべてよし』のタイトルとして知られています。

0394-chandos3.jpg
ウィリアム・シェイクスピア
(1610年頃の肖像画)
By John Taylor (Unknown) [Public domain], via Wikimedia Commons

シェイクスピアの生涯やその作品については以前もご紹介しましたね。
その数々の作品はイギリスを代表する、いや世界を代表する優れた文学作品として親しまれ、愛されています。
初期の『ヘンリー六世(Henry VI)』三部作(1590-92年)、『リチャード三世(King Richard III)』(1591年)、『じゃじゃ馬ならし(The Taming of the Shrew)』(1594年)などは硬派な史劇や軽快な喜劇です。
世界で最も有名なラブストーリーと言われる悲劇『ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)』(1595年頃)も初期の作品です。
その後、シェイクスピアは『夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)』(1590年代中頃)、『ヴェニスの商人(The Merchant of Venice)』(1594-97年頃)、『お気に召すまま(As You Like It)』(1600年頃)、『十二夜(Twelfth Night, or What You Will)』(1599-1601年頃)などの喜劇を次々に発表します。一方で史劇『ヘンリー四世(Henry IV)』二部作(1597-1599年頃)は円熟味を増した複眼的な作品です。
そして1599年にシェイクスピアは『ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)』を発表します。この頃からシェイクスピアは人間の葛藤に着目した重いテーマを扱うようになります。
『ハムレット(Hamlet)』(1600-1602年頃)、『マクベス(Macbeth)』(1606年頃)、『オセロ(Othello)』(1602年)、『リア王(King Lear)』(1604-1606年頃)は四大悲劇と呼ばれます。
晩年はファンタジックな要素を持つ『冬物語(The Winter's Tale)』(1610年)や『テンペスト(The Tempest)』(1612年頃)などを発表します。これらは「ロマンス劇(The romances)」と呼ばれます。
これらの作品は舞台で繰り返し上演され、多くの作品が映画化もされています。



『ハムレット』や『オセロ』、『リア王』が書かれた同じ頃に書かれたのが、『終わりよければすべてよし(All's Well That Ends Well)』(1603-1604年頃)という作品です。
物語の舞台は王制下のフランス。
主人公の少女ヘレナ(Helena)は孤児で、ロシリヨン伯爵夫人(Countess of Rousillon)に養育されています。伯爵夫人の息子バートラム(Bertram)はロシリヨン伯爵の地位を継いだばかりの若者。フランス国王のもとで働くことになり、手柄をたてようと意気揚々とパリへ出発します。
ヘレナはバートラムに恋をしていますが、身分の違いからその想いを打ち明けることができません。

0394-helena_and_the_countess.jpg
ヘレナと伯爵夫人
(第1幕 第3場)
(19世紀の水彩画)
By John Masey Wright [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

ここまで聞くと、孤児のヘレナが数々の障害を乗り越えてバートラムとの恋を成就し、ハッピーエンドで結ばれるというシンデレラ・ストーリーを想像します。
ある意味それは正しいのです。本当に正しいのです。
しかしそこは円熟期のシェイクスピア、そんなに単純なストーリーではありません。
まずバートラムはヘレナのことを何とも思っていません。むしろ貧しい出自の娘と付き合い、ましてや結婚することは貴族の当主としては何としてでも避けたい行為です。
そこでヘレナは、あの手この手を総動員して周囲を味方につけ、愛するバートラムと結婚しようとするのです。

0394-helena_and_count_bertram_before_the_king_of_france.jpg
フランス王の前のヘレナとバートラム
(第2幕 第3場)
(1793年の油彩画)
By Francis Wheatley [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

これは今でも定番のラブストーリーとして語り継がれ、模倣されているシェイクスピアの不朽の名作『ロミオとジュリエット』の真逆を行く展開です。『ロミジュリ』では本人たちが熱烈に愛し合い、周囲が強硬に反対し、愛がさらに燃え上がるという話です。
『終わりよければ全てよし』は『ロミオとジュリエット』のアンチテーゼなのかもしれません。
作中ヘレナは自分を鼓舞するかのようにつぶやきます。
“All's well that ends well; still the fine's the crown;
 Whate'er the course, the end is the renown.”

「終わりよければすべてよし 終わりこそが肝心です
 途中はどうあろうとも 終わりに花が咲けばよい」
(第4幕 第4場)
はたしてヘレナは愛するバートナムと結ばれ、「終わりよければすべてよし」とすることができるのでしょうか。
それは作品をご覧になって下さい。


終わりよければすべてよし (白水Uブックス (25)) 新書

“All's Well That Ends Well”
終わりよければすべてよし。

激動だった2016年も今日で暮れようとしています。
みなさんはどんな一年を過ごされましたか。僕にとっては今年もあっという間の一年でした。
一人でも多くの方が「終わりよければすべてよし」と思われてこの一年を締めくくられることを祈ります。
そして来年もまた素晴らしい年となりますように。
それではよい年末年始をお過ごし下さい。


【動画】“National Theatre Live: All's Well That Ends Well Trailer (ナショナル・シアター『終わりよければすべてよし』予告)”, by NationalTheatre, YouTube, 2009/09/16

それでは今日はこのへんで。どうぞよい年末年始をお迎え下さい。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第193回:“O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?”−「おおロミオ、ロミオ!あなたはどうしてロミオなの?」(ジュリエット), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年03月08日
【関連記事】第194回:“To be, or not to be, ― that is the question.”−「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」(ハムレット), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年03月09日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“終わりよければすべてよし(All's well that ends well)シェイクスピアの喜劇”, by 壺齋散人(引地博信)さん, Shakespear's Plays
【参考】“『終わりよければすべてよし』 - All's Well That Ends Well”, by Hiroyuki Todokoroさん, シェイクスピア作品解説

【動画】“National Theatre Live: All's Well That Ends Well Trailer (ナショナル・シアター『終わりよければすべてよし』予告)”, by NationalTheatre, YouTube, 2009/09/16

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ