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2016年11月01日

第374回:“I'll never be able to make this kind of album ever again.” ―「俺、こんな作品二度と作れねーよ」(宇多田ヒカル)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第374回の今日はこの言葉です。
“I'll never be able to make this kind of album ever again.”

「私はこのようなアルバムを二度と作れないだろう」
というのが文字通りの意味です。
これは日本のミュージシャン宇多田ヒカル(Hikaru Utada, 1983-)の言葉です。
もともとは宇多田ヒカルが自らの公式サイトで語った
「俺、こんな作品二度と作れねーよ」
という言葉で、英語はそれを紹介した英文記事の中に出てきたものです。

0374-utada_hikaru.jpg
宇多田ヒカル(2008年撮影)
By Pikachusoup [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons

1983年、宇多田ヒカルはアメリカのニューヨークで生まれます。本名では漢字で光と表記しますが、堅い感じがするとして同じ画数のカタカナで「ヒカル」と名乗っています。
父は音楽プロデューサーの宇多田照實てるざね、母は歌手のふじ圭子という音楽一家です。ヒカルはニューヨークの小学校に通った後に日本に帰国してインターナショナルスクールとアメリカンスクールに通います。小学校とアメリカンスクールで2回飛び級したそうです。
ヒカルは7歳の頃に両親と家族3人の音楽ユニット「U3を結成し、10歳の頃にアルバム『STAR』を発売して日本デビューします。12歳の頃に父のかわりにヴォーカル担当となり、「Cubic U」名義でアメリカやヨーロッパのインディーズレーベルからアルバムやシングルを発売、日本でも「藤圭子 with cubic U」としてシングルを発売した後に「cubit U」としても日本語のシングルとアルバムを発売します。


Precious Extra tracks - Cubic U キュービック・ユー

1998年、宇多田ヒカルはソロとしてのデビューシングル『Automatic/time will tell』をリリースします。曲やプロモーションビデオのレベルの高さと、藤恵子の娘である帰国子女にして弱冠15歳の女子高生のデビュー曲という話題性でたちまち人気となり、合計200万枚を超える大ヒットとなります。
また翌1999年に発売されたファーストアルバム『First Love』は第一週の売上だけで200万枚を突破、発売後5ヶ月で800万枚を売上げるという驚異的なヒットとなります。
この記録は日本で史上最も売れたアルバムとして今でも破られていません。ダウンロード販売が主流となりつつある今後も破られることはないでしょう。


【動画】“宇多田ヒカル - Automatic”, by Utada Hikaru, 2010/11/07

宇多田は学業を優先するためテレビなどのメディアに登場する機会が限られていたため、『ミュージックステーション』や『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』、『SMAP×SMAP』などに出演した時にはいずれも番組最高視聴率を記録します。
翌2000年にはNHK放送文化研究所の『好きなタレント調査』で女性部門で1位となります。またこの年の甲子園での『第72回選抜高等学校野球大会』ではシングル『First Love』が入場行進曲に使われます。


【動画】“宇多田ヒカル - First Love”, by Utada Hikaru, 2010/11/07

2000年の9月に宇多田はニューヨークシティの名門コロンビア大学のバーナードカレッジに入学し、その後も日本やアメリカで活躍を続けます。2001年3月にリリースされたセカンドアルバム『Distance』は第一週の売上が300万枚を超えるオリコン歴代1位の記録となります。しかし翌2001年から大学を休学していることが後に明らかになります。
2002年4月、宇多田は卵巣腫瘍(良性)の摘出手術を行います。シングル『光』『SAKURAドロップス/Letters』を発売した直後のことです。手術の副作用が予想以上にあったことから音楽のプロモーション活動を一時停止しますが、それにもかかわらず9月に発売されたサードアルバム『DEEP RIVER』は第一週の売上が235万枚の大ヒットとなります。
同年9月、宇多田はビデオ製作やアルバムジャケットの写真撮影を担当した映像監督の紀里谷きりや和明との結婚を発表します。19歳の時です。


【動画】“宇多田ヒカル - SAKURAドロップス”, by UtadaHikaruVEVO, 2015/02/05

2003年1月19日、宇多田は20歳の誕生日にライヴ・ストリーミング『20代はイケイケ!』を開催してトークとミニライヴを行います。この時のアクセスは100万件を記録し、後にDVD化されます。
2004年には夫の紀里谷和明が監督した映画『CASSHERN(キャシャーン)』の主題歌『誰かの願いが叶うころ』を担当します。しかし2007年に宇多田は紀里谷との離婚を発表します。24歳の時です。
2009年、庵野あんの秀明が監督したアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の主題歌『Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-』を担当します。
2010年に宇多田は翌年から派手な「アーティスト活動」を止めて、「人間活動」に専念することを発表します。「引退」ではなく、「休養」や「充電期間」でもないと本人が説明した通り、2011年には映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の主題歌『桜流し』を担当します。


【動画】“宇多田ヒカル - 「桜流し」(ヱヴァQバージョン)”, by Utada Hikaru, 2016/09/19

2013年8月、宇多田の母である藤圭子が急死します。精神の病に苦しめられた末の自殺であると推定されています。生前から母の病状の悪化に翻弄されていたという宇多田は突然の母の死を悲みますが、「母の娘であることを誇りに思います」と語ります。
翌2014年の5月、悲しみを乗り越えた宇多田はイタリア人男性と再婚します。そして2015年の7月に男の子を出産します。
今年(2016年)の4月、宇多田はNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌『花束を君に』と、日本テレビのニュース番組『ZERO』のエンディングテーマ『真夏の通り雨』を担当します。そして両曲が披露される4月4日から本格的なアーティスト活動を再開します。


【動画】“宇多田ヒカル「花束を君に」「真夏の通り雨」SPOT”, by Utada Hikaru, 2016/05/12

そして9月28日、宇多田はおよそ8年ぶりとなる6枚目のアルバム『Fantôme』を発売します。アルバムには椎名林檎も参加します。
宇多田はこの作品についての質問をツイッターで受け付ける特別企画『#ヒカルパイセンに聞け』を行い、多くのファンからの質問に答えます。その中に次のようなやりとりがあります。
すんすんらんどさんの質問
「ヒカルパイセン!次のアルバムはどんなアルバムですか?」
ヒカルパイセンの回答
「俺、こんな作品二度と作れねーよ。」
英字紙『ジャパンタイムズ(Japan Times)』はこの言葉を
“I'll never be able to make this kind of album ever again.”
と紹介しています。
このアルバムは発売第一週で24万枚を売り上げてチャート1位となります。このアルバムは全米のiTunes Storeのアルバムチャートでも3位、ビルボート(Billboard)の週間ワールドアルバムでも2位に入ります。ほとんどの歌詞が日本語で、アメリカでの販売をあまり意識しなかったアルバムですが大きな快挙だと思います。


【動画】“「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」(アルバム「Fantôme」TV-SPOT)”, by Utada Hikaru, 2016/09/15

“I'll never be able to make this kind of album ever again.”
俺、こんな作品二度と作れねーよ。

「人間活動」中に突然の母の死という悲劇に襲われ、その悲しみを乗り越えて再婚、出産をした宇多田ヒカル。
「二度と作れない」と名言するあたり、いかにこのアルバムが入魂の作品で、その出来に自信があるかがわかります。
本格的な音楽活動を再開した宇多田ヒカル、今後もますますの活躍に期待しましょう。


【動画】“宇多田ヒカル「真夏の通り雨」(Short Version)”, by Utada Hikaru, 2016/05/12

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第304回:“Put your Kitsune up!” ―「プッチャきつねアップ!」(BABYMETAL), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2016年04月22日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“[2000/09/06] セ〜ェ〜ラァふっくっをっ♪”, by 宇多田ヒカル, Hikki's WEBSITE, 2000/09/06
【参考】“[2002/09/06] 大事なお知らせ”, by 宇多田ヒカル, Hikki's WEBSITE, 2002/09/06
【参考】“[2007/03/03] 大事なお知らせ”, by 宇多田ヒカル, Hikki's WEBSITE, 2007/03/03
【参考】“[2010/08/09] 久しぶりの大事なお知らせ”, by 宇多田ヒカル, Hikki's WEBSITE, 2010/08/09
【参考】“宇多田ヒカル、亡き母への思い告白「娘であることを誇りに思う」”, ORICON STYLE, 2013-08-26
【参考】“宇多田ヒカルが再婚、相手は一般のイタリア人男性”, ORICON STYLE, 2014年2月3日
【参考】“#ヒカルパイセンに聞け”, Hikki's WEBSITE
【参考】“Will Hikaru Utada’s new album ‘Fantome’ change the rules of modern J-pop? (宇多田ヒカルのニューアルバム『Fantôme』は現代Jポップのルールを変えるか?)”, By Ryotaro Aoki, The Japan Times, SEP 25, 2016
【参考】“宇多田ヒカルの「Fantôme」全米6位が、どれくらいすごいのかわかりやすく説明する”, By 谷澤 千尋さん, BASEMENT-TIMES, 2016/09/30
【参考】“宇多田ヒカル「Fantôme」がCD販売モデルに止めを刺した? 音楽ジャーナリスト・宇野維正氏が語る日本の音楽業界復活のカギとは”, By BLOGOS編集部, BLOGOS, 2016年10月21日

【動画】“宇多田ヒカル - Automatic”, by Utada Hikaru, 2010/11/07
【動画】“宇多田ヒカル - First Love”, by Utada Hikaru, 2010/11/07
【動画】“宇多田ヒカル - SAKURAドロップス”, by UtadaHikaruVEVO, 2015/02/05
【動画】“宇多田ヒカル - 「桜流し」(ヱヴァQバージョン)”, by Utada Hikaru, 2016/09/19
【動画】“「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」(アルバム「Fantôme」TV-SPOT)”, by Utada Hikaru, 2016/09/15
【動画】“宇多田ヒカル「真夏の通り雨」(Short Version)”, by Utada Hikaru, 2016/05/12

タグ:音楽 歌手 日本
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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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