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2016年05月22日

第319回:“God is in the detail.” ―「神は細部に宿る」(ミース・ファン・デル・ローエほか)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。

0319-farnsworthhouse-mies-6.jpg
By colros [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

第319回の今日はこの言葉です。
“God is in the detail.”
「神は細部に宿る」
という意味です。
優れた芸術は良い仕事は細部にこだわりぬいており、何事も細部まで心をこめて行わなければいけないということです。
これはドイツ出身の建築家ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe, 1886-1969)の言葉です。
建築だけでなく、映画や音楽、絵画、服飾、文学、仕事、人付き合いなど、いろいろなことにあてはまりますね。

Ludwig Mies van der Rohe.jpg
ミース・ファン・デル・ローエ
By Found on web here but this is likely not the sources and no information is provided., Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=8814498

ミース・ファン・デル・ローエは20世紀のモダニズム建築を代表する建築家です。アメリカのフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright, 1867-1959)やフランスのル・コルビュジエ(Le Corbusier, 1887-1965)と共に近代建築の三大巨匠と言われています。
大学での建築教育を受けることはありませんでしたが、煉瓦職人、家具職人などを経て建築事務所で建築を学び、45歳の頃に独立して建築事務所を開きます。
独立当初ミースはベルリン近郊の富裕層の住宅の設計を手がけ、ブルーノ・タウト(Bruno Taut, 1880-1938)らと共に実験的な集合住宅を建設します。



ミースは柱と梁によって繰り返される均質な構造体を徹底的に追及した上で、その内部空間を限定せずにあらゆる機能を許容して自由に使えるようにするという「ユニヴァーサル・スペース(Universal space)」を提唱します。
ここイギリスでもそうですが、ヨーロッパの古い建物は石やレンガ造りで、狭い部屋と部屋の間は厚い壁で仕切られています。これでは自由に使うことはできません。しかし近代建築では柱や壁の少ない広い空間がとれますので、用途に応じて薄い仕切り(パーティション, Partition)などで仕切って自由に使うようにしようということです。これ、今ではオフィスビルの基本となっていますよね。

0319-the_mies_van_der_rohes_pavilion.jpg
バルセロナ・パヴィリオン(復元建築)
現在はミース・ファン・デル・ローエ記念館として公開
By No machine-readable author provided. Marb~commonswiki assumed (based on copyright claims). [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

1929年にバルセロナ万国博覧会でミースがドイツ館として設計した「バルセロナ・パヴィリオン(Barcelona Pavilion)」は鉄とガラスで構成され、大理石の壁を配したもので、モダニズムの空間を実現したものとして建築史上有名です。
ミースは1930年からドイツ中部のヴァイマール(Weimar)にある「バウハウス(Bauhaus)」という建築・美術を総合的に教育する現在美術の学校の校長となります。
しかし1933年にナチス・ドイツがバウハウスを閉鎖したため、ミースはアメリカへ亡命し、後に市民権を獲得します。


ファーンズワース邸/ミース・ファン・デル・ローエ (ヘヴンリーハウス 20世紀名作住宅をめぐる旅)

1950年にミースが設計したファンズワース邸(Farnsworth House)も有名です。四方をガラスの壁で囲んだモダンな建築は、ミースの特徴がよくあらわれています。
また、ミースの設計でニューヨークのマンハッタンに建設された38階建ての超高層ビル「シーグラム・ビルディング(Seagram Building)」(1958年竣工)はモダニズムの超高層ビルとして最も優れたデザインの一つだと言われています。

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シーグラム・ビルディング(2008年撮影)
By Noroton (talk) 03:19, 1 May 2008 (UTC) (Own Work) [Public domain], via Wikimedia Commons

そんなミースが好んで使った言葉が、
“God is in the detail.”
「神は細部に宿る」
です。
ただこれはもともと誰の言葉だったのかは、あまりはっきりしていません。
古くからユダヤ教にあった言葉をミースが使ったのだという説もあります。
また、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルク(Aby Warburg, 1866-1929)が1925年のハンブルク大学のセミナーで、
“Der liebe Gott steckt im Detail.”
(デア・リーベ・ゴット・シュテックト・イン・デタイル)
「良い神は細部に宿る」
と語っていたと言われてます。

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アビ・ヴァールブルク(1900年頃撮影)
Photo by Unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

ほかにも、小説『ボヴァリー夫人(Madame Bovary)』(1856年)で有名なフランスの小説家ギュスターヴ・フローベール(Gustave Flaubert, 1821-1880)が、
“Le bon Dieu est dans le détail.”
(ル・ボン・ジュ・エドン・ル・デタイユ)
「良い神は細部に宿る」
と語ったのが最初だという説もあります。
イギリスの著名な評論家ジョン・ラスキン(John Ruskin, 1819-1900)であるという説や、ドイツの哲学者フリードリッヒ・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche, 1844-1900)だという説もあります。

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ギュスターヴ・フローベール(1880年以前撮影)
By Unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

“God is in the detail.”
神は細部に宿る。

細部にとことんこだわりぬいた素晴らしい建築を残したミース。
いい映画を見た時、素晴らしい小説を読んだ時、完璧な絵画を見て感動した時、驚くようなデジタル製品に触れた時、心を奪われるような文化財を前にした時、夢中になってしまう音楽を聴いている時などなど、僕はいつもこの言葉を思い出します。
細部へのこだわりこそが仕事の素晴らしさなのです。
いったい誰が最初に言い始めた言葉なのか、はっきりしたことはわかりません。
それでもいいじゃないですか。これが素晴らしい言葉であることには変わりないのですから。
そのあたりは、いつものように僕は細部にはこだわりません。

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By Pang Kakit (Own work) [Apache License 2.0, GPL, GFDL or CC BY-SA 4.0-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。



【関連記事】第79回:“Stay hungry. Stay foolish.”―「貪欲であれ。愚直であれ」(スティーブ・ジョブズ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年08月24日
【関連記事】第238回:“I have love.”―「私には愛があります」(青豆)(村上春樹『1Q84』より), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2015年09月17日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“神は細部に宿る”, by hatano_naokiさん, stowaway blog: 神は細部に宿る, 2006-12-19
【参考】“「神は細部に宿りたまう」 Der liebe Gott steckt in Detail”, Warburg研究所, 唐草図鑑, 2007/12/02
【参考】“[1978] ほんとの空・ちがった空”, by デジタルクリエイターズ編集部, DGCR 日刊デジタルクリエイターズ, 2006年05月26日
【参考】“ことばの話1679「神は細部に宿る」”, by 道浦俊彦さん, とっておきの話, 2004/4/16
【参考】“「神は細部に宿る」は正しく使おう −「言葉」の持つ誤ったことを正当化してしまう怖さ−”, by sh0tkさん, マーケターのメモ帳, 2012年2月23日

タグ:建築 ドイツ
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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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