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2016年03月22日

第295回:“It is good to love many things.” ―「多くのものを愛するのはいいことだ」 (ゴッホ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第295回の今日はこの言葉です。
“It is good to love many things.”
「多くのものを愛するのはいいことだ」
という意味です。
これはオランダ出身の画家フィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-1890)の言葉です。
イギリスでは「ヴァン・ゴッホ」と呼ばれますが、アメリカでは末尾が英語式に無声化して「ヴァン・ゴウ」と呼ばれることが多いです。

0295-van_gogh_1887.jpg
フィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent van Gogh, 1853-1890)
『自画像』(1887年, シカゴ美術館蔵)
Vincent van Gogh [Public domain], via Wikimedia Commons

ゴッホの言葉と生涯については、以前もご紹介しましたね。
1853年にオランダに生まれたフィンセント・ファン・ゴッホは孤独を愛し、人付き合いは苦手でしたが弟テオとは信頼関係を築き、生涯に渡って手紙をやりとりしながら交流します。
ゴッホは画商で働いた後に聖職者を目指して伝道活動を行っているうちに、画家を目指すことを決意します。そして弟テオ(Theo)による金銭的援助を受けながら絵画の制作を続けます。
初期のゴッホの作品は暗い色調のものが多いですが、印象派や新印象派の影響をうけて次第に明るい色調に満ちた作品が多くなります。また日本の浮世絵にも影響を受け、収集や模写を行います。

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『タンギー爺さん(Le Pere Tanguy)』(1887年)
背景にゴッホによる浮世絵のコレクションが見えている
Vincent van Gogh [Public domain], via Wikimedia Commons

“I envy the Japanese the extreme clarity that everything in their work has.”
「日本人がどんな作品でも極めて明快であることがうらやましい」
弟テオへの手紙でもゴッホはそう語っています。
浮世絵の明快さを讃えた言葉です。浮世絵は明快ですが、日本人そのものは実際にはちっとも明快じゃないんですけどね。

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『ジャポネズリー:梅の開花(広重を模して)』(1887年)
Vincent van Gogh [Public domain], via Wikimedia Commons

“It is good to love many things.”
「多くのものを愛するのはいいことだ」
という今日の言葉も、唯一の理解者であるテオへの手紙に記されたものです。
この言葉には続きがあります。
“It is good to love many things, for therein lies the true strength, and whosoever loves much performs much, and can accomplish much, and what is done in love, is well done.”
「多くのものを愛するのはいいことだ。その中にこそ真の強さがあるからだ。より多く愛する者がより多くの業績を上げ、より多くを達成する。愛の中で行われたことは、出来もいいのだ。」
また、ゴッホは別の手紙で次のようにも書いています。
“The best way to know God is to love many things.”
「神を知る最善の方法は、多くの物を愛することだ」
ゴッホがどれほど愛を重要視していたかがわかります。

0295-starry_night_over_the_rhone.jpg
『ローヌ河の星月夜(Starry Night Over the Rhone)』(1888年)
Vincent van Gogh [Public domain], via Wikimedia Commons

ゴッホはパリから南仏アルル(Arles)へ移り住み、多くの作品を制作します。アルルではフランスの画家ポール・ゴーギャン(Eugène Henri Paul Gauguin, 1848-1903)と暮らしますが、二人の共同生活はわずか2ヶ月で破綻。ゴッホは自分の耳を切り落とす有名な事件を起こしてしまいます。そしてゴッホはアルルの病院に入退院を繰り返し、悪夢や幻覚にも悩まされます。その後も療養を受けながら多くの作品を制作します。
しかし37歳の若さで、ゴッホは謎の死をとげます。ゴッホ作品の評価が徐々に高まってきた矢先のことです。

0295-self_portrait.jpg
『包帯をしてパイプをくわえた自画像(Self-Portrait with Bandaged Ear and Pipe)』(1889年)
Vincent van Gogh [Public domain], via Wikimedia Commons

今でこそゴッホの作品の価値は世界が認め、その絵画はびっくりするほどの高値で取引されています。
あまりに高額なため美術館を狙う泥棒のターゲットにも何度もなっています。
しかしゴッホの生前に売れた絵は、友人の姉が400フランで買った『赤い葡萄畑(The Red Vineyard)』だけでした。1枚しか売れなかったのはウソだという説もありますが、商業画家として成功していなかったのは確かです。

0295-van_gogh_red_vineyards.jpg
『赤い葡萄畑(The Red Vineyard)』(1888年)モスクワ/プーシキン美術館蔵
Vincent van Gogh, 1888 [Public domain], via Wikimedia Commons

ゴッホは独特の鮮やかな色彩や渦巻くような荒いタッチの厚塗りの作品で有名ですが、そんなゴッホの作風そのままのアニメーション映画が制作されています。しかもセル画やCGではなく、全編を油絵のアニメーションで制作するという意欲的な試みです。

0295-loving_vincent.jpg
【参考】“Loving Vincent (ラヴィング・フィンセント)”(公式サイト)

作品のタイトルは『ラヴィング・フィンセント (Loving Vincent)』。ゴッホの人生を描いた80分の映像には合計5万枚以上の絵が必要になるそうで、50〜100人もの画家や美術学生が参加しているそうです。最近ようやく予告映像が完成して公開されましたが、「動く油絵」の美しさが世界中で評判となっています。


【動画】“Loving Vincent - film brings the paintings of Van Gogh to life (ラヴィング・フィンセント - 映画がヴァン・ゴッホの絵画に命を吹き込む)”, by BreakThruPoland, YouTube, 2016/02/25

“It is good to love many things.”
多くのものを愛するのはいいことだ。

神。女性。南仏の陽光。日本。そして絵画。実に多くのものを愛したゴッホ。
その愛は時に溢れ出し、時に暴走します。そして素晴らしい作品に結実したのです。
わずか8年の間に、ゴッホは860の油絵と1026の素描を制作します。そして生涯で800通の手紙を残します。
ゴッホの絵のタッチそのままの映画『ラヴィング・フィンセント』も、映像の美しさはもちろん、内容的にもゴッホの死の謎に迫る作品と言われており、完成がとても楽しみです。


【動画】“Loving Vincent - Official Trailer 2016(ラヴィング・フィンセント - 公式予告編 2016年)”, by BreakThruPoland, YouTube, 2016/03/09

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。


【動画】““Loving Vincent”: Hand painted film celebrates Van Gogh (『ラヴィング・フィンセント』 - ヴァン・ゴッホを讃える手描き動画)”, by CCTV News, YouTube, 2015/01/29

【関連記事】第127回:“I dream my painting and I paint my dream.”―「絵を夢に見て、夢を絵に描く」(ゴッホ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月16日
【関連記事】第126回:“Where do we come from?”―「われわれはどこから来たのか?」(ポール・ゴーギャン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月14日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“まるでゴッホの絵が動いているような油彩画のアニメーション(動画)”, by 吉川慧, The Huffington Post, 2016年03月18日
【参考】“フィンセント・ファン・ゴッホさんの名言・格言・英語 一覧リスト”, イソラボ, 3/12/15
【参考】“ゴッホが生前に売れた絵はたった一枚”, by ノウプロさん, 知って得する知識サイト, 2015年10月05日
【参考】“「ゴッホは生涯1枚しか絵が売れなかった」というのはウソ。知られていない5つのこと”, by Todd Van Luling, The Huffington Post, 2015年10月05日
【参考】“Loving Vincent (ラヴィング・フィンセント)”
【参考】“まるでゴッホの絵が動いているような油彩画のアニメーション(動画)”, by 吉川慧, The Huffington Post, 2016年03月18日
【参考】“全編油絵! ゴッホの描いた風景がそのまま動きだす映画プロジェクト「Loving Vincent」が驚愕の映像美”, by Junさん, ねとらば, 2016年03月19日

【動画】“Loving Vincent - film brings the paintings of Van Gogh to life (『ラヴィング・フィンセント』 - 映画がヴァン・ゴッホの絵画に命を吹き込む)”, by BreakThruPoland, YouTube, 2016/02/25
【動画】“Loving Vincent - Official Trailer 2016(『ラヴィング・フィンセント』 - 公式予告編 2016年)”, by BreakThruPoland, YouTube, 2016/03/09
【動画】““Loving Vincent”: Hand painted film celebrates Van Gogh (『ラヴィング・フィンセント』 - ヴァン・ゴッホを讃える手描き動画)”, by CCTV News, YouTube, 2015/01/29

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | ロンドン ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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