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2015年12月21日

第266回:“War is over if you want it.”―「戦争は終わりだ。君が望めば」(ジョン・レノン&オノ・ヨーコ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。



第266回の今日はこの言葉です。
“War is over if you want it.”
「戦争は終わりだ。君が望めば」
という意味です。
これはジョン・レノン(John Lennon, 1940-1980)とオノ・ヨーコ(Yoko Ono, 小野洋子, 1933-)の言葉です。
二人のクリスマス・ソング“Happy Xmas (War is Over)”『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』(1971年)の歌詞にも使われています。

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ジョン・レノンとオノ・ヨーコ
Jack Mitchell [CC BY-SA 4.0-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

“Happy Christmas!”
「ハッピー・クリスマス!」
とはご存じのようにクリスマスの挨拶のひとつです。
“Merry Christmas!”
「メリー・クリスマス!」
とも言いますよね。もっとも、最近ではキリスト教信者ではない人にも配慮して、
“Happy Holidays!”
「よい祝日を!」
という挨拶がアメリカでは主流になっています。
これは以前もご紹介しましたよね。

0266-team_celebrating_christmas.jpg
Image courtesy of Ambro, published on 06 December 2011, FreeDigitalPhotos.net

アメリカではクリスマス・パーティーをホリデー・パーティ、クリスマス・カードをホリデー・カード、クリスマス・ツリーをホリデー・ツリーと言い換えるなど徹底しており、中には「行き過ぎている」と批判する声もあります。
一方、ここイギリスでは誰もがまったく遠慮せず、当たり前のように、
“Merry Christmas!”
「メリー・クリスマス!」
を使っています。

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By Malene Thyssen (Own work) [GFDL, CC-BY-SA-3.0 or CC BY-SA 2.5], via Wikimedia Commons

また、“Xmas”とは“Christmas”の文字を省略したものです。
“X-mas”と略される場合もあります。
日本では“X'mas”という表記をよく見ます。
よく「“X'mas”は和製英語で、間違った略し方だ」と言われますが、Wikipediaによると一概に間違いと決めつけなくてもよさそうです。また欧米の書籍やツイートなどに使われることもありますから、和製英語でもないようです。ただ欧米ではかなり少数派。なぜかアジアで多く使われているそうです。


4 X'mas: An Evening of Four One Act Plays: the Office Party, Santa's Clara, Balls, Santa Comes to the King David and the First Noel

ジョン・レノンの短い生涯については、以前にもご紹介したことがあります。
第二次世界大戦下の1940年、イギリスの港町リヴァプール(Liverpool)に生まれたジョン・レノン。
高校時代にポール・マッカートニー(James Paul McCartney, 1942-)やジョージ・ハリスン(George Harrison, 1943-)と出会い、バンドを組みます。
1960年にバンド名を「ザ・ビートルズ(The Beatles)」と命名。翌1961年にリンゴ・スター(Ringo Starr, 1940-)が加入します。そして1962年に初シングル「ラヴ・ミー・ドゥ(Love Me Do)」でデビュー。
ビートルズは個性的なルックスと高い音楽性でたちまち世界的な人気を集めます。

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アメリカ訪問時のビートルズ(1964年)
(向かって左端がジョン・レノン)
By United Press International, photographer unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

ジョンは学生時代に出会ったシンシア・パウエル(Cynthia Lillian Powell, 1939-)とデビューした翌年の1963年に結婚します。21歳の時です。翌1964年に息子ジュリアン(Julian Lennon, 1963-)が生まれます。
1966年、ジョンはロンドンで前衛芸術家だったオノ・ヨーコ(Yoko Ono, 小野洋子, 1933-)と出会い、強く惹かれます。ジョンは1968年にシンシアと離婚して翌1969年3月にヨーコと結婚します。

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新婚当時のジョンとヨーコ
Joost Evers/Anefo [CC BY-SA 3.0 nl], via Wikimedia Commons

時代はベトナム戦争の最中さなか。ジョンとヨーコは自分たちの新婚旅行がマスコミの注目を集めるならその機会を平和運動に活用しようと考えます。
二人は新婚旅行中「ベッド・イン(Bed-In)」と称して、アムステルダムのヒルトンホテルの702号室に一週間にわたって世界中の報道陣を招き入れ、朝9時から夜9時まで平和についてインタビューに答えます。
窓には大きく“HAIR PEACE”“BED PEACE”の文字。
「平和になるまで髪を伸ばそう」「戦争をする代わりにベッドで過ごそう」という意味です。
まさに「ラブ・アンド・ピース(Love and Peace)」です。

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アムステルダムでの「ベッド・イン」初日
By Nationaal Archief, Den Haag, Rijksfotoarchief: Fotocollectie Algemeen Nederlands Fotopersbureau (ANEFO), 1945-1989 - negatiefstroken zwart/wit, nummer toegang 2.24.01.05, bestanddeelnummer 922-2302 (Nationaal Archief) [CC BY-SA 3.0 nl], via Wikimedia Commons

ジョンはこの時のことをビートルズの曲『ジョンとヨーコのバラード(The Ballad of John and Yoko)』(1969年)に書いています。
 Drove from Paris to the Amsterdam Hilton
 Talking in our beds for a week
 The newspapers said, “Say, what're you doing in bed”
 I said, “We're only trying to get us some peace”


 パリからアムステルダム・ヒルトンへ車をとばし
 一週間ベッドの中で話すのさ
 新聞記者が訊いた 「ベッドで何をしてるんですか?」
 僕は答えた 「平和を手に入れたいだけさ」
この大胆な試みは世間を驚かせ、若者たちの反戦運動は大きく盛り上がります。


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一方で、この政治的な行動に戸惑いや疑問を感じたファンもいたそうです。ビートルズやジョン・レノンの音楽を純粋に楽しみたいのであって、政治活動には興味がないというのです。
新聞や雑誌などのメディアも興味本位でいろんなことを書きたてます。
『ジョンとヨーコのバラード』にも次のようなくだりがあります。
 The newspapers said, “She's gone to his head
 They look just like two Gurus in drag”


 新聞は書きたてた 「彼は彼女のせいでいかれてしまった
 二人とも女の格好した導師みたいだ」
同年5月、二人はカナダのモントリオールのクイーン・エリザベス・ホテルで2度目の「ベッド・イン」を行います。ここでは『平和を我等われらに(Give Peace a Chance)』という曲がレコーディングされ、「プラスティック・オノ・バンド(Plastic Ono Band)」名義で発売されます。ジョンのソロ・デビュー曲です。

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モントリオールでの「ベッド・イン」
By Roy Kerwood, 1969 [CC-BY-2.5], via Wikimedia Commons

同1969年の年末、ジョンとヨーコはさらなる平和運動を展開します。
12月15日から世界の主要都市に巨大な意見広告を掲げたのです。
ニューヨーク、ロスアンゼルス、トロント、ローマ、アテネ、アムステルダム、ベルリン、パリ、ロンドン、東京、香港、ヘルシンキの街角で、巨大な白い看板に黒い文字で、
 WAR IS OVER!
 If You Want It
 Happy Christmas from John & Yoko”


 戦争は終わりだ!
 君が望めば
 ハッピー・クリスマス ジョンとヨーコより
というメッセージが掲げられます。
例えばトロントでは、30枚の看板と何千枚ものポスター・チラシが配布されます。
このキャンペーンは日本を含めた世界中の若者の反戦平和活動をさらに盛り上げます。

WAR IS OVER! (If You Want It)
ニューヨークのタイムズ・スクエアに掲げられた看板(1969年)
WAR IS OVER! (If You Want It), by Yoko Ono, Frickr, September 27, 2008

翌1970年、ビートルズは解散します。
メンバー間の不和、特にジョン・レノンとポール・マッカートニーの確執があったと言われています。
音楽の方向性での意見の相違、ジョンの反戦平和運動やヘロイン中毒、オノ・ヨーコの存在など、いろいろ原因が想像されています。
ビートルズの活動期間はわずか8年間だったのです。
翌年、ジョンは平和を願う名曲『イマジン(Imagine)』(1971年)を発表します。
この曲はアメリカ、イギリス、日本などでシングルチャート1位となり、世界中で大ヒットします。


【動画】“Imagine - John Lennon (イマジン - ジョン・レノン)”, by NAO7035 , YouTube, 2009/12/05

1971年、ジョンとヨーコはニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで暮らし始めます。ここでジョンは多くの反体制活動家やミュージシャンと知り合い、反戦平和運動に積極的に参加します。
そしてその年の暮れ、二人は『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』をリリースします。
2年前に行ったポスター・キャンペーンとおなじコンセプトです。

0266-warisover_billboardslogan_1969.jpg
ポスター・キャンペーンに使われたメッセージ(1969年)
By John Lennon and Yoko Ono (Internet) [Public domain], via Wikimedia Commons
 Happy Christmas, Kyoko
 Happy christmas, Julian

 ハッピー・クリスマス、キョウコ
 ハッピー・クリスマス、ジュリアン
歌はこんなささやき声から始まります。
キョウコはヨーコと前夫との娘、ジュリアンはジョンと前妻との息子の名前です。
 So This is Xmas
 And what have you done?


 さぁ、クリスマスだ
 この一年何をしたかい?
ジョンは皆に問いかけます。
そしてすべての人がクリスマスを楽しんでほしいこと、争いをやめることを呼びかけるのです。


忘れがたき日々 ジョン・レノン、オノ・ヨーコと過ごして
 War is over, if you want it
 War is over, now


 戦争は終わりだ、もし君が望むなら
 戦争は終わりだ、今すぐに
こんな子供たちのコーラスで歌は終わります。そして曲がフェードアウトする中で子供たちがクリスマスの挨拶をします。
 Happy Xmas

 ハッピー・クリスマス


ダブル・ファンタジー 〜ミレニアム・エディション〜

ジョンは、ただのクリスマス・ソングではなく、永遠に残るクリスマス・ソングを作りたいと考えていたそうです。
その思いの通り、メロディーも歌詞も感動的な名曲に仕上がってします。
「争いをやめよう」「望めば戦争は終わる」という平和的なメッセージはクリスマスにぴったりです。
しかし当時はベトナム戦争まっただ中。アメリカのニクソン政権やベトナム戦争推進派はジョン・レノンを危険視します。
ジョンとヨーコは監視や盗聴をされたり、批判の声にさらされたりします。アメリカ永住権の申請を拒否されたり、国外退去の勧告を受けたりもします。
ジョンとヨーコはたった二人でアメリカという超大国と対峙したのです。



“War is over, if you want it”
戦争は終わりだ。君が望めば。

様々な圧力を受けながらも反戦・平和のメッセージを発表し続けたジョンとヨーコ。
『イマジン』も平和の歌として抜群に有名で僕も大好きですが、僕はこの『ハッピー・クリスマス』がジョン・レノンの平和メッセージの頂点で、クリスマス・ソングとしても不朽の名曲だと思います。
“War Is Over”
「戦争は終わりだ」
僕たちが心からそう言いきれる時が早く来ることを祈ります。

そして、すべての子供たちとかつての子供たちに、
“Happy Xmas!”
ハッピー・クリスマス!


【動画】“John Lennon -"Happy Xmas (War Is Over)"-Offical Video-HQ (ジョン・レノン - 『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』 - 公式ビデオ)”, by Love&Peace To Everbody :-) , YouTube, 2011/10/28

それでは今日はこのへんで。どうぞよいクリスマス・シーズンをお過ごし下さい。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第205回:“Imagine all the people living life in peace.”−「想像してごらん、みんなが平和に暮らしていると」(ジョン・レノン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年03月27日
【関連記事】第204回:“Let it be.”−「なすがままに」(ビートルズ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年03月25日
【関連記事】第146回:“Happy Holidays!”―「楽しい祝日を!」(アメリカの年末祝日の挨拶), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年12月21日
【関連記事】第265回:“Last Christmas I gave you my heart”―「去年のクリスマス、僕は君に心を捧げた」(ワム!), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2015年12月17日
【関連記事】第264回:“All I Want for Christmas Is You”―「クリスマスに欲しいのはあなただけ」(マライア・キャリー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2015年12月16日
【関連記事】第180回:“Let it snow ! Let it snow ! Let it snow !”―「雪よ降れ!雪よ降れ!雪よ降れ!」(ヴォーン・モンロー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年02月14日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“John Lennon and Yoko Ono’s ‘War Is Over’ poster campaign is launched (ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「戦争は終わる」ポスター・キャンペーン開始)”, by Mario, The Beatles Bible, 30 October 2015
【参考】“ジョン・レノン歌うXマス名曲が感動的”, Yahoo!映像トピックス
【参考】“Happy Xmas (War Is Over) (John Lennon)”, by ノアさん, 英語日常会話マスターブログ, 2012年12月25日
【参考】“ハッピー・クリスマス(戦争は終った)(ジョン・レノン)/年代流行”, 年代流行
【参考】“ハッピー・クリスマス(戦争は終わった) “Happy Christmas (War is Over)” John Lennon & Yoko Ono”, qualche cosa, 2012年10月9日

【動画】“Imagine - John Lennon (イマジン - ジョン・レノン)”, by NAO7035 , YouTube, 2009/12/05
【動画】“John Lennon -"Happy Xmas (War Is Over)"-Offical Video-HQ (ジョン・レノン - 『ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)』 - 公式ビデオ)”, by Love&Peace To Everbody :-) , YouTube, 2011/10/28

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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