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2014年03月02日

第190回:“Everyone talks about rock these days; the problem is they forget about the roll.”−「ロックロックって、ロールはどうしちまったんだよ?」(キース・リチャーズ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。

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ライヴ・イン・ロンドン・ハイド・パーク(2013年)にて
By Gorupdebesanez (Own work), 13 July 2013 [CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

第190回の今日はこの言葉です。
“Everyone talks about rock these days; the problem is they forget about the roll.”
「最近みんなロックのことを口にするが、問題はみんなロールのことを忘れていることだ。」
というのが文字どおりの意味です。
あえて省略して口語的に訳すと、
「ロックロックって、ロールはどうしちまったんだよ?」
となります。
これはイギリスのロック・バンド「ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)」のギタリストであるキース・リチャーズ(Keith Richards, 1943-)の言葉です。
先日はボーカルのミック・ジャガー(Sir Michael Philip "Mick" Jagger, 1943-)をご紹介しましたが、今日はキース・リチャーズの言葉をご紹介します。

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キース・リチャーズ(Keith Richards, 1943-)
1995年ワールド・ツアー、ブラジル・リオデジャネイロ公演にて
By Machocarioca (Own work), 1995 [Public domain], via Wikimedia Commons

【関連記事】第188回:“I'd rather be dead than singing 'Satisfaction' when I'm 45.”−「45にもなってサティスファクション歌ってるぐらいなら死んだほうがマシだ」(ミック・ジャガー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2014年02月27日

キース・リチャーズは1943年にイングランド南東部のケント州にあるダートフォード(Dartford)という町に生まれました。父親は第二次大戦で連合軍のノルマンディー上陸作戦(Normandy invasion, 1944)で負傷し、退役後は工場で働きます。
ミック・ジャガーとは同郷の同い年で、小学校も同じクラスの幼馴染となります。
キースは13歳の時に母親からギターをプレゼントされ、ギターに熱中するようになります。16歳の時にミック・ジャガーと再会し、音楽性が一致して意気投合した二人はバンドを組みます。
そして18歳の時にザ・ローリング・ストーンズ(以後「ストーンズ」)を結成するのです。1962年のことです。

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若き日のキース・リチャーズ(1965年撮影)
By Kevin Delaney, 4 May 1965 [CC-BY-SA-2.0], via Wikimedia Commons

ストーンズの音楽的ルーツは黒人音楽のブルースにあります。デビュー曲『カム・オン(Come On)』はチャック・ベリー(Charles Edward Anderson "Chuck" Berry, 1926-)の名曲のカバーです。ストーンズがデビューした1960年代は、アメリカではまだまだ黒人に対する差別が強く、ブルースのレコード・ジャケットには歌手本人ですら黒人の顔写真を載せてはならなかったそうです。そんな時にストーンズはリズム・アンド・ブルース(R&B)を心から愛して尊敬し、黒人になりきって歌や演奏に表現しようとしたのです。

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チャック・ベリー(Charles Edward Anderson "Chuck" Berry, 1926-)
By Universal Attractions (management) (eBay item photo front photo back), c. 1957 [Public domain], via Wikimedia Commons

やがてR&Bやブルース・ジャズはエレキ・ギターやエレキ・ベースを用いたたロックンロール(Rock and Roll, Rock 'n' Roll)へと発展します。
ロック(Rock)は「揺れる」、ロール(Roll)は「転がる」という意味があります。
8ビート(エイトビート)の「ズンチャカズンチャッ」という心地よいリズムに乗せて「揺れて」「転がる」ようなメロディーを奏でるのです。連続する二つの音の前の音を長くする「スウィング(Swing)」というリズム感。そしてそこから生じる「グルーヴ(Groove)」(波、うねり)という言葉でも表現されます。それがロックンロール。R&Bやブルース・ジャズは兄のような存在です。

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若き日のキース・リチャーズ(撮影時期未詳)
By Dina Regine [CC-BY-SA-2.0], via Wikimedia Commons

これに関するキースの言葉が残っています。自伝「ライフ(Life)」に書かれた言葉です。

“Rock and roll ain't nothing but jazz with a hard backbeat.”
「ロックンロールは激しいバックビートのあるジャズに過ぎないんだ。」

“nothing but ...”は「...に過ぎない」という意味です。
“ain't”“am not”の短縮形で、英語の古語なのですが、“are not”“is not”“has not”“have not”などをひっくるめて“ain't”というやや下品なスラングです。
“ain't no...”と形式上は二重否定になっていますが、この場合は肯定ではなく強い否定を表し、結果的に「...に過ぎない」という意味が強調されているのです。

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1981年全米ツアー、ケンタッキー州レキシントン公演にて
向かって左はミック・ジャガー、右の後方はロン・ウッド
By Michael Conen, 11 December 1981 [CC-BY-SA-2.0], via Wikimedia Commons

ストーンズのサウンドの特徴に、その独特のリズムがあります。多くのバンドはドラムとベースがリズムの中心になっていますが、ストーンズはキースが奏でるリズム・ギターとチャーリー・ワッツ(Charles Robert "Charlie" Watts, 1941-)が刻むドラムスが絡んで独特のリズムを生み出しています。これがストーンズのサウンドをオンリーワンにしているのです。
さらにキースは流行の音に流されることなく、あくまでブルースやレゲエといった「生身の人間によるグルーヴ」にこだわる姿勢を見せており、それは今でも変わっていません。

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2006年全米ツアー、メリーランド州ボルチモア公演にて
By Kelseytracey (Own work), February 2006 [CC-BY-SA-3.0 or GFDL], via Wikimedia Commons

ロックンロールは1960年代に幅広く多様化し、ロック(Rock)へと発展します。
ロックは最初はロックンロールの略語でしたが、今ではロックンロールが発展した音楽ジャンルとして認識されています。ただロックンロール発祥の地であるアメリカでは、あまり区別せずにどちらもロックンロールと呼ぶ人も多いです。
ロックンロールとロックの違いを説明するのは難しいです。
「ロックンロールはグルーヴ重視、ロックはテクニック重視」
「ロックンロールは8ビートで12小節縛り、ロックは8ビートで縛りのない縦ノリサウンド」
「ロックンロールはダンスミュージック、ロックはダンスの枠をはずれた楽曲」
「ロックはビートルズ(The Beatles)から始まった」
「ロックは激しい」
「ロックは新しい」
どれも当っていますが、すべてを説明しきれていません。
確実に言えるのは、ロックンロールがそのルーツであるR&Bやジャズにより近く、ロックはそこから多くの音楽の要素をとりいれてさらに羽根を広げて飛びたったものだということです。

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2006年全欧ツアー、フランスのサン・ドニ公演にて
By greg varinot from alencon (Keith Richards), 28 July 2006 [CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons

そこで今日のキースの言葉です。

“Everyone talks about rock these days; the problem is they forget about the roll.”
「ロックロックって、ロールはどうしちまったんだよ?」

ははーっ! その通りでございます!
ここまで読まれてきた皆さんにはしっくりとわかって頂けるものと思います。
あくまでロックンロールにこだわるキースなのです。
この言葉には続きがあります。

「ロックンロールにはそもそもスウィングがあったからロックとロールなんだよ。」

ははーっ! その通りでございます!
なるほど。これもよくわかります。ストーンズのサウンドはあくまでもR&Bやジャズの発展形としてのロックンロールが原点なのです。
この後半の言葉の英語原文は残念ながら見つけることができませんでした。ご存じの方はコメントかメールで教えて下さい。

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ライヴ・イン・ロンドン・ハイド・パーク(2013年)にて
向かって左は元メンバーのミック・テイラー(Mick Taylor, 1949-)
By Andrea Sartorati, 6 July 2013 [CC-BY-2.0 or CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons

“Everyone talks about rock these days; the problem is they forget about the roll.”
ロックロックって、ロールはどうしちまったんだよ?

ロックの代名詞のような伝説的な巨大な存在になりながら、ロックンロールへのこだわりを忘れないキース。矛盾するかもしれませんが、ロックンロールにこだわるキースの生き方そのものがロックなんだと思います。
僕も2月26日の来日公演に行きましたが、あいかわらず素晴らしいサウンドでした。
3月4日と6日にも公演がありますので、行きたい方は迷わず行きましょう。今でもチケット屋さんで在庫が入手できるはずです。
ありがとうキース・リチャーズ! ありがとうミック・ジャガー!
そしてありがとうザ・ローリング・ストーンズ!
何よりも、幼馴染の2人が16歳の時に再会して意気投合してくれてありがとう!

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【参考】“ザ・ローリング・ストーンズ 14 オン・ファイアー ジャパン・ツアー 日本公式アカウント”

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

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【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“ロックを哲学する。キース・リチャーズ(ローリングストーンズ)名言集”, by webtamoriさん, NAVERまとめ, 2013年12月11日
【参考】“明日から使えるローリング・ストーンズのキース・リチャーズ名言集”, by 加藤広大, エンタメウス, 2014年01月13日
【参考】“Keith Richards Quotes (キース・リチャーズ名言集)”, BrainyQuote
【参考】“ザ・ローリング・ストーンズ 14 オン・ファイアー ジャパン・ツアー 日本公式アカウント”

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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