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2014年02月01日

第171回:“Think rich, look poor.”―「考えは豊かに、見た目は質素に」(アンディ・ウォーホル)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉、日常会話でよく使う表現などをご紹介しています。

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第171回の今日はこの言葉です。
“Think rich, look poor.”
「考えは豊かに、見た目は質素に」
という意味です。
これはアメリカの芸術家でポップ・アート(Pop art)の第一人者だったアンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1987)の言葉です。
“look”は「〜を見る」という他動詞でもあり、「〜のように見える」という自動詞でもあります。そしてこの言葉では自動詞として使われています(と考えるのが一般的です)。
内面と思考は豊かである方がよいけれども、見た目は質素である方がよいということです。
一見派手に見えるアンディ・ウォーホルとその作品を考えると、なかなか奥深い言葉ですね。

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アンディ・ウォーホル(Andy Warhol, 1928-1987)
Photo by Jack Mitchell, Between 1966 and 1977 [CC-BY-SA-3.0-2.5-2.0-1.0], via Wikimedia Commons

アンディ・ウォーホルはペンシルベニア州のピッツバーグで、当時チェコスロバキアだったチェコからの移民の子として生まれます。体は虚弱でしたが、早い時期から芸術の才能が見られたそうです。地元のカーネギー工科大学(Carnegie Institute of Technology, 現在のカーネギー・メロン大学)で広告芸術を学んだウォーホルは卒業後ニューヨークへ移り、RCAレコードのレコードジャケットや『ヴォーグ(VOGUE)』、『ハーパース・バザー(Harper's BAZAAR)』などのファッション雑誌の広告やイラストを手がけます。

ポスター アンディ ウォーホル A Set of Six Self Portraits 1967
『6枚組の自画像(A Set of Six Self Portraits) 』 (1967年)
ポスター アンディ ウォーホル A Set of Six Self Portraits 1967

1960年、ウォーホルは画家に転向して『バットマン(Batman)』や『スーパーマン(Superman)』などのアメリカンコミックをモチーフにした作品を制作するようになります。しかし同じくアメリカン・コミックをモチーフにしたロイ・リキテンスタイン(Roy Lichtenstein, 1923-1997)の作品が大ヒットしたこともあってこの分野から離れます。
翌1961年、ウォーホルはキャンベル(Campbell's)のスープ缶やドル紙幣をモチーフにした作品を描きます。そしてさらに翌年の1962年、シルクスクリーンプリントを使って作品を量産するようになります。
リキテンスタインのコミックやウォーホルのスープ缶など、それまで芸術だと思われていなかった素材が芸術となるポップアートの誕生です。

ポスター アンディ ウォーホル キャンベルスープ缶 I(Tomato) 1968
『キャンベルスープ缶 I(Tomato)』(1968年)
ポスター アンディ ウォーホル キャンベルスープ缶 I(Tomato) 1968

ウォーホルはパステルカラーやネオンカラーの派手な色を使ったり、同じ絵柄を一枚の絵に並べたり、輪郭と色をわざとずらしたり、インク汚れをわざと使ったり、それまでの常識をくつがえす手法を次々と効果的に取り入れます。消費社会や大衆文化との相性もよく、ウォーホルの作品はたちまち大人気となります。
同年8月に女優マリリン・モンロー(Marilyn Monroe, 1926-1962)が亡くなった時には、ウォーホルはモンローの肖像写真を元にした作品を色違いで大量に発表します。

アートポスター アンディ・ウォーホル Andy Warhol: Shot Blue Marilyn, 1964
『マリリン・モンロー(Shot Blue Marilyn)』(1964年)
アートポスター アンディ・ウォーホル Andy Warhol: Shot Blue Marilyn, 1964

1964年にウォーホルはニューヨークにスタジオを構えます。従来のアトリエの概念を覆すようなアルミフォイルと銀色の絵具でおおわれた空間で、「ファクトリー(The Factory)」と呼ばれます。ウォーホルはアート・ワーカー(Art worker)を雇って、シルクスクリーンの作品を大量生産します。まさに「工場」です。
ファクトリーはアーティストたちが集うサロンのような場となり、ミュージシャンのミック・ジャガー(Mick Jagger, 1943-)やルー・リード(Lou Reed, 1942-2013)、作家のトルーマン・カポーティ(Truman Capote, 1924-1984)などが集まります。

ポスター アンディ ウォーホル フラワーズ 1970 (red、 yellow、 orange on blue)
『フラワーズ(Flowers)』(1970年)
ポスター アンディ ウォーホル フラワーズ 1970 (red、 yellow、 orange on blue)

ウォーホルの活動はポップアート作品に留まらず、映画や音楽の制作やプロデュースをも手がけます。ルー・リードのロックバンド「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(Velvet Underground)」にも積極的に関わり、女優兼モデルのニコ(Nico, 1938-1988)を加入させ、デビューアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(The Velvet Underground & Nico)』(1967)をプロデュースし、アルバムのジャケットのデザインも手がけます。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(45周年記念 ニュー・デラックス・エディション)
『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(The Velvet Underground & Nico)』(1967)のジャケット
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ(45周年記念 ニュー・デラックス・エディション)

この頃ウォーホルが言った言葉をご紹介します。1968年にスウェーデンのストックホルムで開催されたウォーホル展のプログラムにウォーホル自身が寄せた言葉です。

“In the future, everyone will be world-famous for 15 minutes.”
「将来は、誰もが15分の間は世界的な有名人になれるだろう。」

間もなくテレビの発達によって、本当に誰でも有名人になれる時代がやってきました。「15分の間は」という但し書きをつけて、人々の関心が長続きしないこともズバリ言い当てているところも凄いです。
今やネットの発達で、その傾向はさらに強まりました。
消費社会と大衆文化の特徴とコミュニケーションの発達を見事にとらえた言葉です。

Andy Warhol
ウォーホルの大判ポスター
Andy Warhol "Giant" Size, Large Format

同じ1968年、ウォーホルはファクトリーの常連だった女性に拳銃で撃たれます。撃った女性は過激なフェミニスト団体の一員だったそうです。一発が肺と胃、脾臓と肝臓を貫通してウォーホルは重体になりますが、なんとか一命をとりとめます。
1969年にウォーホルは『Interview(インタビュー)』という雑誌を創刊します。これは映画や音楽、アート、文学、ファッションなどの中心人物へのインタビューからなる雑誌で、現在でも刊行されています。

ポスター アンディ ウォーホル Gun c. 1982 (many/rainbow)
『ガンズ(Guns)』(1982年頃)
ポスター アンディ ウォーホル Gun c. 1982 (many/rainbow)

1970年代には芸能人などの肖像画アートを多数制作します。ウォーホルが自主的に制作することも、有名人から依頼されて制作することもあったそうです。依頼制作料が高騰したため、ウォーホルが描いた自分の肖像画を持つことは有名人のステータスとなったそうです。

【大きなポストカード】 ≪ウォーホル ≫Elvis 2 Up 20.3x25.4cm 封筒付き
『ダブル・エルヴィス(Elvis 2 Up)』(1963年)
【大きなポストカード】 ≪ウォーホル ≫Elvis 2 Up 20.3x25.4cm 封筒付き

マリリン・モンローのほかに、ジョン・F・ケネディ、ジャクリーン・ケネディ、ジミー・カーター、ミック・ジャガー、ジョン・レノン、マイケル・ジャクソン、坂本龍一、ダイアナ・ロス、ブリジット・バルドー、モハメド・アリ、チェ・ゲバラ、毛沢東、アインシュタイン、ウラジーミル・レーニンなどの肖像がウォーホルによって描かれました。

ポスター アンディ ウォーホル レッドレーニン 1987年 額装品 ウッドベーシックフレーム(オフホワイト)
『レッドレーニン(Red Lenin)』(1987年)
ポスター アンディ ウォーホル レッドレーニン 1987年 額装品 ウッドベーシックフレーム(オフホワイト)

1983年には日本のテレビコマーシャルに出演します。TDKのビデオテープのコマーシャルです。テレビのテストパターン(カラーバー)を持ちながら「アカ、ミドリ、アオ、グンジョウイロ、…キデイ(綺麗)」とたどたどしい日本語を話すウォーホルの姿は日本の人たちに強烈な印象を残します。


【動画】“TDKビデオテープCM アンディ・ウォーホル”, by callfromthepast3, YouTube, 2009/12/26

1985年からMTVで『アンディ・ウォーホルの15分間(Andy Warhol's Fifteen Minutes)』という番組が始まります。新進のミュージシャンや俳優、モデル、アーティストなどを招いてインタビューするという番組です。ジョン・オーツやブライアン・アダムス、コートニー・ラブなどが出演します。
1987年、ウォーホルはニューヨークの病院で胆嚢の手術を受けた翌日に容体が急変し、心臓発作で息を引き取ります。58の若さでした。レーニンの肖像などが最後の作品となりました。

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ウォーホルの墓。キャンベルのスープ缶が供(そな)えられている
By Allie Caulfield (http://www.flickr.com/photos/wm_archiv/2672219430/), 25 May 2008 [CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons

“Think rich, look poor.”
考えは豊かに、見た目は質素に。

確かにその通りですね。
ただウォーホル自身は銀髪のカツラがトレードマークで、ニューヨークのセレブな芸能人に友人を多く持っていました。わりと派手な見た目だったように思います。
しかしその作品は鮮やかで、見ていて明るい気持ちになります。僕も彼の作品が大好きです。ウォーホルのおかげで20世紀の美術シーンがどれだけ明るくなったことでしょう。
そのウォーホルの「考え」の豊かさに比べたら、彼の「見た目」はじゅうぶん質素だったのかもしれませんね。

今日2月1日から、六本木ヒルズ森タワー内の森美術館で「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」が始まります。国内最大の回顧展だそうです。興味のある方は足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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【参考】“森美術館10周年記念展 アンディー・ウォーホル展 永遠の15分”, 森美術館, 会期:2014年2月1日(土)〜5月6日(火)

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第131回:“Ask what you can do for your country.”―「君たちが国のために何ができるのかを問うて欲しい」(ケネディ大統領), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月24日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】“森美術館10周年記念展 アンディー・ウォーホル展 永遠の15分”, 森美術館, 会期:2014年2月1日(土)〜5月6日(火)

【動画】“TDKビデオテープCM アンディ・ウォーホル”, by callfromthepast3, YouTube, 2009/12/26

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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