スポンサーリンク / Sponsored Link


2013年12月07日

第138回:“Color is my day-long obsession.”―「私は色に一日中とりつかれている」(クロード・モネ)

こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

0138-monet_water_lilies_1906.jpg
『睡蓮』(1906年)シカゴ美術館蔵
Claude Monet, 1906 [Public domain], via Wikimedia Commons

第138回の今日はこの言葉です。
“Color is my day-long obsession.”
「色は私に一日中とりついて離れないものだ。」
“obsession”とは考えや感情がとりついて離れないことやものをあらわす言葉で、妄想や執着、強迫観念などといった意味にもなります。
「私は色に一日中とりつかれている。」
と意訳してもよいでしょう。
これは、フランスの画家クロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)の言葉です。

0138-claude_monet_1899.jpg
クロード・モネ(Claude Monet, 1840-1926)
Nadar, 1899 [Public domain], via Wikimedia Commons

モネは19世紀後半から花開いた印象派(impressionist)を代表する画家の一人です。
それまでの西洋絵画は写実主義(realism)といって、肖像画や風景など、いかに対象に忠実に描くかが重要視されていました。聖書などに書かれたキリスト教関係のエピソードを描いた宗教画も、写実的に描かれていました。
1874年にモネと仲間の画家たちが私的に開催した展覧会に出された絵は、それまでの絵画とはまったく違ったものでした。
彼らの絵画の大きな特徴は、それまでの絵画と比べて絵全体が明るく、色彩に満ちていることです。筆のあとがはっきりわかるような荒々しいタッチの絵画も多く、明確な線ではなく色彩の変化で形を表すという特徴があります。世界を光と色彩の輝きだけでとらえることを目指し、自然にある虹の七色をあまり混ぜずに、例えば人物の肌の陰影を青く表現することもしばしばみられました。もちろん人によって作風は違いますが。

0138-monet_impression_sunrise.jpg
『印象、日の出』(1872年)パリ/マルモッタン美術館蔵
Claude Monet, 1872 [Public domain], via Wikimedia Commons

しかしこの新しい試みは、当時の社会にはまったく受け入れられませんでした。新聞はモネが出展した作品『印象、日の出(Impression, Sunrise, フランス語原題:Impression, soleil levant)』(1872年)を「なるほど印象的にヘタクソだ」と揶揄して、この展覧会を『印象派展(The Exhibition of the Impressionists)』と名付けました。このようにして『印象派』という言葉が生まれました。揶揄から始まった名前だったのです。
この展覧会に作品を出展した画家はほかにドガルノワールセザンヌピサロなどです。第8回まで開かれた印象派展にはほかにゴーギャンなども出品しています。
今から見たら実に錚々たる顔ぶれですね。

0138-monet_self_portrait.jpg
『自画像』(1886年)個人蔵
Claude Monet, 1886 [Public domain], via Wikimedia Commons

それまでの西洋絵画は写実主義で、はっきり言って誰が描いても同じに見えるような絵が多いです。それに対して印象派の絵画は明らかに異なります。
画材道具の発達で、屋外でも絵を描けるようになったことも関係しています。写真の発明により肖像画が肖像写真にとって代わられたことで、写真との違いを出す「差別化」が必要だったこともあります。また逆に、瞬間を切り取る写真の映像は、画家たちに新たなインスピレーションを与えました。パリ万博などで話題を呼んだ着物や浮世絵など日本の美術にも大きな影響を受けたと言われます。

0138-monet_la_japonaise.jpg
『ラ・ジャポネーズ』(1876年)ボストン美術館蔵
第2回印象派展に出品。妻カミーユがモデルとされる。
Claude Monet, 1876 [Public domain], via Wikimedia Commons

一つの題材をさまざまに異なる天候や季節や時間で何度も描く「連作」が多いのもモネの作品の特徴です。ジヴェルニーの自宅の近くの農園で描いた『積みわら』の連作は話題を呼び、モネの名声を決定づけます。
ほかにも『ルーアン大聖堂』やロンドンの『国会議事堂』、ヴェルニーの自宅の庭の池を描いた『睡蓮』の連作などが有名です。

0138-wheatstacks_white_frost_sunrise.jpg
『積みわら、霜の朝』(1888-89年)米コネチカット州/ヒル・ステッド美術館蔵
Claude Monet, 1888-89 [Public domain], via Wikimedia Commons

0138-wheatstacks_sunset_snow_effect.jpg
『積みわら、日没、雪の効果』(1891年)シカゴ美術館蔵
Claude Monet, 1891 [Public domain], via Wikimedia Commons

0138-wheatstacks_end_of_summer.jpg
『積みわら、夏の終わり』(シカゴ美術館蔵)
Claude Monet, 1897 [Public domain], via Wikimedia Commons

フランスの政治家ジョルジュ・クレマンソー(Georges Clemenceau, 1841-1929)はモネと親友で、モネについて短い伝記『クロード・モネ ― 睡蓮(Claude Monet: Les Nymphéas)』(1926年)を書いています。
その中で紹介されているのが今日の言葉です。
“Color is my day-long obsession.”
「私は色に一日中とりつかれている」
この言葉には続きがあります。
“Color is my daylong obsession, joy, and torment.”
「私は色に一日中とりつかれている。色は喜びであり、苦痛である」
いかにも色彩にこだわったモネらしい言葉です。

0138-monet_water_lilies_1920-26.jpg
『睡蓮』(1920-26年)パリ/オランジュリー美術館蔵
Claude Monet, 1920-26 [Public domain], via Wikimedia Commons

“Color is my day-long obsession.”
私は色に一日中とりつかれている。

印象派展は8回で終わりました。
人気がなくなったわけではなく、一人一人が新たな道を切り開き始めたのです。
今では西洋絵画で最も人気のあるのが印象派であり、印象派の画家たちの作品は莫大な金額で売買されています。
モネたちがやろうとしたのは、西洋絵画の大きなイノベーションだったのです。
そしてそのイノベーションは、破壊的なほどに成功したのです。

0138-monet_water_lillies_1926.jpg
『睡蓮』(1920年代)香川/地中美術館蔵
Claude Monet, 1920s [Public domain], via Wikimedia Commons

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第126回:“Where do we come from?”―「われわれはどこから来たのか?」(ポール・ゴーギャン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月14日
【関連記事】第127回:“I dream my painting and I paint my dream.”―「絵を夢に見て、夢を絵に描く」(ゴッホ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年11月16日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ