スポンサーリンク / Sponsored Link


2013年08月17日

第75回:“One pen can change the world.”―「一本のペンが世界を変えられる」(パキスタンの少女マララ)

(本文2144文字、読み終わるまでの目安:5分22秒)


こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

0075-business_woman.jpg
Image courtesy of arztsamui, published on 13 June 2013 / FreeDigitalPhotos.net

第75回の今日はこの言葉です。
“One pen can change the world.”
「一本のペンが世界を変えられる。」
という意味です。
これはパキスタン人の少女マララ・ユサフザイ(Malala Yousafzai, 1997-)の言葉です。
彼女はまだあどけなさが残る16歳ですが、ノーベル平和賞(Novel Peace Prize)の候補にも上がっている人物です。
なぜ彼女はここまで注目されているのでしょうか。


マララ・ユサフザイ(Malala Yousafzai, 1997-)
Newsweek Asia October 29, 2012 (単号), DIP; 週刊版 (2012/10/25)

マララの活動の始まりは2009年、彼女が11歳の時にさかのぼります。
アフガニスタンに国境を接するパキスタンのスワート渓谷(Swat Valley)は、当時武装勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP, Tehrik-i-Taliban Pakistan)」の支配下にありました。
タリバンは女性に教育は必要ないと考えており、女性が学校へ行くことを禁止。女子校は宗教学校へと変えられました。

マララはBBC放送のウルドゥー語のブログにこの状況をペンネームで投稿し、タリバンによる女子校の破壊活動を批判しました。
彼女はさらに女性への教育の必要性や平和を訴える活動を続け、欧米から注目されました。

0075-bbc_malala_yousafzai-2.jpg
“Diary of a Pakistani schoolgirl(パキスタンの女子生徒の日記)”, BBC NEWS, Published on 19 January 2009

その後、パキスタン軍の大規模な軍事作戦がタリバン勢力をスワート渓谷から一掃します。
パキスタン政府は彼女の本名を公表して、「勇気ある少女」として表彰しました。
これがきっかけで、マララは皮肉にもタリバンから命を狙われることになるのです。

2012年10月、マララは中学校から帰宅するためスクールバスに乗っていたところを複数のタリバン兵に銃撃されます。
彼女は頭部と首に計2発の銃弾を受け、意識不明の重体となります。
一時は危険な状態で、人工呼吸器もつけられたそうです。
一緒にいた女子生徒2人も巻き添えで負傷します。

0075-reuter_malala_yousafzai_shot-2.jpg
『パキスタンでタリバン批判の14歳少女、下校途中に銃撃され重傷』, Reuters.com, 2012年10月10日

タリバンは犯行声明を発表し、「われわれを邪魔する女はすべて殺す」と犯行を正当化します。
さらに、マララのことを再び狙うと宣言します。

事件の4日後、容疑者とみられる5人が逮捕されます。

マララは軍の病院で救命治療を受けた後、さらなる治療と身の安全確保のため、イギリスのバーミンガムの病院へ移送されます。
銃弾は頭部から入り、あごと首の間あたりで止まっていました。
銃弾は外科手術により摘出されたものの、頭部に感染症の兆候がありました。
しかしマララは奇跡的に回復し、3ヶ月後の今年1月に退院します。
家族とともにイギリス国内の仮の住まいでリハビリをしながら通院を続け、2月に再手術を受けます。


【動画】“Malala Yousafzai, 16, and Her Miraculous Story of Surviving Being Shot by the Taliban (マララ・ユサフザイ(16歳)がタリバンによる銃撃から生還した奇跡的な物語)”, by ABC News, YouTube, 2013/10/11

わずか15歳の少女が命を狙われ銃撃されるという前代未聞の暗殺未遂事件(事件当時は14歳と報道されました)にパキスタンの国民は大きな衝撃を受けました。
パキスタンでは政府やメディアがタリバンを非難しただけでなく、反タリバンの抗議デモも各地で起きました。

国際連合(United Nations)の事務総長・潘基文(バン・キムン, Ban Ki-moon, 1944-)やアメリカのオバマ大統領(Barack Hussein Obama II, 1961-)、ヒラリー・クリントン国務長官(Hillary Rodham Clinton, 1947)、イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣(William Jefferson Hague, FRSL MP, 1961-)など、世界各国からも非難の声があがりました。

女優のアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie, 1975-)は、
“We All Are Malala”(私たちすべてがマララだ)
という記事を「デイリー・ビースト(The Daily Beast)」というニュースブログサイトに寄稿しました。
記事によると、アンジェリーナ・ジョリーはパキスタンとアフガニスタンで女性の教育が危機に瀕している問題がこの事件の背景にあると、彼女自身の子供たちに説明したそうです。
そして彼女はパキスタンとアフガニスタンの少女たちの教育のために5万ドル(約400万円)を寄付しました。

0075-the_daily_beast.jpg
“Angelina Jolie: We All Are Malala(アンジェリーナ・ジョリー:私たちはみなマララだ)”, by Angelina Jolie, Oct 16, 2012, THE DAILY BEAST

そして7月12日、マララ・ユサフザイはニューヨークの国際連合本部で英語で演説しました。
“They thought that the bullet would silence us, but they failed.”
「彼らは銃弾で私たちを沈黙させようとしましたが、それは失敗しました。」
“Weakness, fear and hopelessness died. Strength, power and courage was born!”
「弱さや恐怖や絶望は死に、強さと力と勇気が生まれたのです!」

そしてマララは言います。
“One child, one teacher, one book, and one pen can change the world.
 Education is the only solution.”

「一人の子供、一人の先生、一冊の本、一本のペンが世界を変えることができるのです。
 教育こそが唯一の解決法なのです。」

英語もとても上手で、堂々とした見事な演説だったと思います。

0075-reuters_malala_un_speech-2.jpg
“Pakistan's Malala, shot by Taliban, takes education plea to U.N.(タリバンに銃撃されたパキスタンの少女マララ、国連で教育について陳述)”, By Michelle Nichols, reuters, Jul 12, 2013


【動画】“タリバンに銃撃されたマララさん、国連で演説”, by AFPBB News, YouTube, 2013/07/14

【動画】“Girl Shot in Head by Taliban, Speaks at UN: Malala Yousafzai United Nations Speech 2013 (タリバンに頭部を撃たれた少女が国連で演説:マララ・ユサフザイ国連演説 2013年)”, by ABC News, YouTube, 2013/07/12

かつて南アフリカ共和国の大統領だったネルソン・マンデラ(Nelson Mandela, 1918-)も次のような言葉を残しています。
“Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.”
「教育は世界を変える最も強力な武器である。」

自分の目標としてお手本にする相手を“role model”(ロール・モデル)と言います。
マララはネルソン・マンデラをロール・モデルの一人にしているそうですので、彼のこの言葉を意識した可能性は高いと思います。
ネルソン・マンデラをロール・モデルにするとは、志(こころざし)が高いものです。

0046-nelson_mandela.jpg
ネルソン・ホリシャシャ・マンデラ(Nelson Rolihlahla Mandela, 1918-)
Attribution: South Africa The Good News , 2008, licensed under the Creative Commons Attribution 2.0 Generic license, via Wikimedia Commons

“One pen can change the world.”
一本のペンが世界を変えられる。

まさにその通りです。パキスタンの少女マララは世界を変えるかもしれません。
国連で演説をした7月12日、マララは16歳の誕生日を迎えました。
国連はこの日を「マララの日(Malala Day)」と名づけたそうです。

0075-teenagers_in_classroom.jpg
Image courtesy of Ambro, published on 26 September 2012 / FreeDigitalPhotos.net

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。


【2015年9月19日追記】
マララさん、2014年のノーベル平和賞を受賞し、マララさんの半生が映画にもなりました。すごいですね。

 

 【動画】映画『わたしはマララ』予告編, by シネマトゥデイ, YouTube, 2015/09/06



【関連記事】第55回:“Life comes with many challenges.”―「人生に困難はつきものだ」(アンジェリーナ・ジョリー), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年07月13日
【関連記事】第46回:“A winner is a dreamer who never gives up.”―「勝者とは決して夢を諦めない人のことだ」(ネルソン・マンデラ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年06月27日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】『マララさん タリバン銃撃乗り越え国連演説全文「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、1本のペンでも世界を変えられる」』, The Huffington Post, 2013年07月13日
【参考】『パキスタン タリバンに立ち向かった少女』, ピックアップ@アジア, 山内聡彦 解説委員, NHK解説アーカイブ, 2012年10月16日
【参考】『2013年07月25日(木)の放送内容 MALALA ADDRESSES UNITED NATIONS』, NHK E-NEWS ニュースで英会話, 2013年07月25日
【参考】“Diary of a Pakistani schoolgirl(パキスタンの女子高生の日記)”, BBC NEWS, Published on 19 January 2009
【参考】『パキスタンでタリバン批判の14歳少女、下校途中に銃撃され重傷』, Reuters.com, 2012年10月10日
【参考】“Angelina Jolie: We All Are Malala(アンジェリーナ・ジョリー:私たちはみなマララだ)”, by Angelina Jolie, Oct 16, 2012, THE DAILY BEAST
【参考】“Pakistan's Malala, shot by Taliban, takes education plea to U.N.(タリバンに銃撃されたパキスタンの少女マララ、国連で教育について陳述)”, By Michelle Nichols, reuters, Jul 12, 2013

【動画】“Malala Yousafzai, 16, and Her Miraculous Story of Surviving Being Shot by the Taliban (マララ・ユサフザイ(16歳)がタリバンによる銃撃から生還した奇跡的な物語)”, by ABC News, YouTube, 2013/10/11
【動画】“タリバンに銃撃されたマララさん、国連で演説”, by AFPBB News, YouTube, 2013/07/14
【動画】“Girl Shot in Head by Taliban, Speaks at UN: Malala Yousafzai United Nations Speech 2013 (タリバンに頭部を撃たれた少女が国連で演説:マララ・ユサフザイ国連演説 2013年)”, by ABC News, YouTube, 2013/07/12

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争と平和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ