スポンサーリンク / Sponsored Link


2013年06月30日

第48回:“It's a chicken-and-egg situation.”―「これは鶏と卵の状態だ」(日常会話)

(本文2873文字、読み終わるまでの目安:7分11秒)


こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

0048-chick_and_egg.jpg
Image Copyright by Anatolii, Used under license from Links Co., Ltd.

第48回の今日はこの言葉です。
“It's a chicken-and-egg situation.”
「これは鶏と卵の状態だ。」

昨日は自己矛盾のため八方ふさがりな状態をあらわす、
“Catch-22 situation”
をご紹介しました。
“Chicken-and-egg situation”
とはどんな状況なのでしょうか。

親子丼ではありませんよ。親子丼は
“Chiken and egg bowl”
と表現されることが多いようです。親子丼、美味しいですよね。僕も大好きです。

話をもとに戻します。
“Chicken-and-egg situation”
とは、「鶏が先か、卵が先かというジレンマの状態」ということです。
日常会話でもビジネス会話でもよく使われます。
“Catch-22”のような自己矛盾ではないのですが、原因と結果が循環してしまうことによるジレンマです。

例えば、
“You need relevant experience to get a good job,
 you need a good job to get relevant experience.”

「仕事を得るためには経験が必要。経験を積むためには仕事が必要。」
という状況ってありますよね。
“It's a chicken-and-egg situation.”
「これは鶏と卵の状態だよ。」
どないすんねん、と続くわけです。
困り具合としては、
“Catch-22 situation”
に勝るとも劣りませんよね。

0048-stressed.jpg
Image courtesy of Stuart Miles, published on 09 August 2011 / FreeDigitalPhotos.net

仕事でも日常生活でも、こういうことってよくあります。
“Chicken-and-egg situation” 「鶏と卵の状況」
のほかにも、
“Chicken-and-egg problem” 「鶏と卵の問題」
“Chicken-and-egg dilemma” 「鶏と卵のジレンマ」
などと言われます。
“It's a chicken-and-egg.”
というだけでも通じます。
「チキナネッグ」とリズミカルに言いましょう。

0048-girl_screaming.jpg
Image courtesy of stockimages, published on 29 April 2013 / FreeDigitalPhotos.net

語源となった「鶏が先か卵が先か」という議論は、
“What came first, the chicken or the egg?”
と表現されます。
これ、考え出すと眠れなくなりますよね。昔からみんな悩んでいたようです。

古代ギリシアの哲学者アリストテレス(Aristotle, 384-322 BC)も、悩みに悩んだ末に「鶏も卵もずっと存在した」と結論づけたそうです。そんな無茶な。
アリストテレスは師匠のプラトン(Plato, 427-347 BC)と共にその問題をすべての生物にあてはめて考えました。その結果、すべての生物は地球上に現れる前は霊魂のような存在だったと信じるようになりました。これまた無茶な。しかも問題の答になってないし。

0020-aristotle.jpg
アリストテレス(Aristotle, 384-322 BC)
Bust of Aristotle. Marble, Roman copy after a Greek bronze original by Lysippos from 330 BC; the alabaster mantle is a modern addition.
By Copy of Lysippus (Jastrow (2006)) [Public domain], via Wikimedia Commons


神がこの世界と人を創造したとするキリスト教の創造論(Creationism)や、神の創造を含む何らかの知性ある存在が創造したとするインテリジェント・デザイン(Intelligent Design)説によると、創造主はおそらく卵ではなく成体を創造したでしょう。したがって「鶏が先」ということになります。

0048-brown_hen.jpg
Image courtesy of Simon Howden, published on 20 May 2013 / FreeDigitalPhotos.net

一方、イギリスの自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809-1882)の『種の起源(On the Origin of Species )』(1859)から始まる、生物は進化するものだとする進化論(Evolution theory)によると、ニワトリは「ニワトリではない何か」から進化したことになります。

0048-charles_darwin.jpg
チャールズ・ダーウィン(Charles Robert Darwin, 1809-1882)(『種の起源』を出版した頃)
Scanned from Karl Pearson, The Life, Letters, and Labours of Francis Galton. Photo originally from 1859 or 1860 [Public domain], via Wikimedia Commons

現代の理論では、進化とは「生物の遺伝的形質が世代を経る中で変化していく現象」だと考えられています。卵から鶏のひながかえる過程では遺伝的形質は変化しないとされていますので、「鶏ではない何か」が遺伝子変異によって鶏の卵を産んだことになります。したがって「卵が先」ということになります。
アメリカの大衆科学雑誌『ポピュラーサイエンス(Popular Science)』は、この説が正しいと主張しています。

0048-chicken_eggs.jpg
Image courtesy of sritangphoto, published on 26 June 2012 / FreeDigitalPhotos.net

皆さんは「じゃあ卵が先でいいじゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、アメリカではちょっと事情が違ってくるのです。

アメリカの世論調査会社ギャラップ社(Gallup)が2012年に行った調査では、アメリカ人の46%が創造論を信じており、何らかの進化論を信じる人の47%とほぼ拮抗しているのだそうです。進化論も、純粋な進化論を信じる人は15%に留まり、神の導きの下で進化したと考える人が32%にのぼるそうです。
同社は何度もこの調査を行ってきましたが、基本的な傾向はこの30年変わっていないそうです。

どうでしょうか。わりとびっくりな話ですよね。
アメリカでのキリスト教の影響の強さがうかがえます。
アメリカ国勢調査庁(U.S. Census Bereau)の2008年の調査によると、アメリカの成人でキリスト教を信じる人は76%にのぼります。
聖書には天地創造の記述がありますから、信仰の強い人には創造論も真実として受け入れられているのです。

0048-the_creation_of_adam.jpg
The Creation of Adam, painted by Michelangelo Buonarroti, circa 1511 [Public domain], via Wikimedia Commons

学校でも、進化論はキリスト教の教えに反するものだとして、1920年代には公立の学校で進化論を教えることを禁じる法律が各州で制定されたそうです。
アメリカでは教育は州の管轄ですので、進化論と創造論の扱いは今でも各州に任されています。
しかし米国科学アカデミー(National Academy of Science)は、学校教育で進化論を教えることを強く推奨しています。

2011年にペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)が高校の生物学教師を対象とした調査結果を発表しました。その結果によると、進化論を明確に教える教師は28%にとどまっているそうです。一方で、13%もの教師が創造論だけを授業で教えているそうです。残りの約6割の先生たちは、進化論と創造論の両方を説明して、「どちらを信じるかは個人が決めること」「各種試験には進化論が出る」と教えているそうです。
学研出版サイト:子どもの可能性を引き出す アメリカ最新教育事情/第32回 アメリカ人と進化論より)

今日は、
“Chicken-and-egg situation” (鶏と卵の状態)
という話から、
“What came first, the chicken or the egg?” (鶏が先か卵が先か?)
という疑問、そして、
“Creation-evolution controversy” (創造論と進化論の論争)
につながり、アメリカでの宗教観や科学教育の現状まで話が広がりましたね。

“It's a chicken-and-egg situation.”
これは鶏と卵の状態だ。

…となった場合、そこから抜け出すのはなかなか難しいですが、何か方法はある筈です。
あきらめずに方法を探したり、だましだましでも少しずつ解決策を実行することが大事だと思います。
あとは親子丼でも食べて元気を出しましょう。

0048-oyakodon.jpg
By [puamelia] (親子丼/ a bowl of rice topped with chicken and eggs), 10 December 2008 [CC-BY-SA-2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】Ubiquity Illusions and the Chicken-Egg Problem , by VENKAT on SEPTEMBER 29, 2011
【参考】学研出版サイト:子どもの可能性を引き出す アメリカ最新教育事情,第32回 アメリカ人と進化論,織井弥生
【参考】In U.S., 46% Hold Creationist View of Human Origins, Gallup, Inc. (June 1, 2012)
【参考】Self-Described Religious Identification of Adult Population, U.S. Census Beurau, 2008
【参考】High school biology teachers reluctant to endorse evolution in class, The Pennsylvania State University (January 27, 2011)

このエントリーをはてなブックマークに追加
posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(0) | 日常会話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

スポンサーリンク / Sponsored Link

ブログパーツ