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2013年06月09日

第36回:“I'll be back.”―「また戻る」(アーノルド・シュワルツェネッガー)

(本文4773文字、読み終わるまでの目安:11分56秒)


こんにちは! ジム佐伯です。
英語の名言・格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

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By popculturegeek.com, 25 July 2004 [CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons

第36回の今日はこの言葉です。
“I'll be back.”
「また戻ってくる。」という意味です。
すぐ戻る場合にも使いますし、いつか戻る場合にも使います。

この言葉は、ことわざでも格言でも「ちょっといい言葉」でもありません。
でもご存じの方はご存じですよね!
そう、日本では「シュワちゃん」の愛称でおなじみのアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger, 1947-)の言葉です。シュワルツェネッガーはオーストラリアオーストリア出身で、アメリカに渡ってからボディビルの世界チャンピオンになりました。その後、肉体派のアクション俳優として大活躍したのはご存じの通りです。
【追記】(2015年3月18日)
なんとオーストリアを間違えて「オーストラリア」と書いてしまってました。すみません!
自分でも別記事でネタにしておきながらなんというアホなことでしょう。(笑)
 ↓
【関連記事】第104回:“No kangaroos in Austria.”―「オーストリアにカンガルーはいない」(ジョーク), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年10月06日

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アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Alois Schwarzenegger, 1947-)
At 2003 Cannes film festival. Photo by Georges Biard [CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

シュワルツェネッガーの人気を不動にしたのが、ジェームズ・キャメロン(James Francis Cameron, 1954-)が監督した映画『ターミネーター(The Terminator)』(1984年アメリカ)です。表情ひとつ変えずに主人公たちを追いつめる不気味な悪役アンドロイドは見た人に強烈な印象を与えました。僕もこの映画が大好きです。その後に出演した様々なアクション映画もヒットを重ね、シュワルツェネッガーは大スターとなりました。

その出世作とでも言うべき『ターミネーター』の劇中で、シュワルツェネッガー演じるアンドロイドT-800が口にしたのがこの言葉です。リンダ・ハミルトン(Linda Carroll Hamilton, 1956-)が演じるヒロインのサラ・コナー(Sarah Connor)が保護されている警察署で、シュワルツェネッガーはサラの友達のふりをして面会を申し込みます。面会を断られたシュワルツェネッガーは、
“I'll be back.”
と言って警察署を後にします。そして間もなく、本当に戻ってくるのです。
車で警察署の玄関をぶち破って。
もちろん警官たちは応戦しますが、アンドロイドであるシュワルツェネッガーには通用しません。
このシーンで観客は、「何だかよくわからんが、とてつもなく強い奴がやってきたぞ!」と度肝を抜かれるのです。


『ターミネーター [Blu-ray]』,20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2012/12/19)


【動画】“Terminator 1 - I'll Be Back (『ターミネーター』 -「アイル・ビー・バック」)”, by HDMovieClips, YouTube, 2015/02/13

『ターミネーター』のヒットと共に、“I'll be back.”も流行語となりました。
このような流行語を、“catchphrase”と言います。
日本語で「キャッチフレーズ」というと、同じく日本語での「キャッチコピー」と同様に広告を目的とした宣伝文句のことを言います。しかし「宣伝文句」は英語では“advertising slogan”と言いますので、少しニュアンスが異なります。
英語での“catchphrase”とは、意図せずともその言葉が評判となり、皆が口にすることによって人や物の代名詞のような存在になったもののことです。
以前ご紹介した『スター・ウォーズ(Star Wars)』(1977年アメリカ)の名セリフ、
“May the Force be with you.”
「フォースが共にあらんことを。」
や、『ダーティハリー4(Sudden Impact)』(1983年アメリカ)の名セリフ、
“Go ahead, make my day.”
「さあやれよ。俺を喜ばせてくれ。」
なんかも“catchphrase”の一つです。

【関連記事】第14回:“May the Force be with you.”―「フォースが共にあらんことを」(スター・ウォーズ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年05月06日
【関連記事】第35回:“Go ahead, make my day.”―「さあやれよ、俺を喜ばせてくれ」(クリント・イーストウッド), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年06月08日

“I'll be back.”という言葉は、まさにシュワルツェネッガーの代名詞となったのです。
そしてその後も、シュワルツェネッガーが出演する映画で何度も使われることになります。

『ターミネーター』の翌年に公開された『コマンドー(Commando)』(1985年アメリカ)では、シュワルツェネッガー演じる元コマンド部隊の隊長ジョン・メイトリックス(John Matrix)が、ヴァーノン・ウェルズ(Vernon George Wells, 1945-)演じる宿敵ベネット(Bennett)に向かって言います。
“I'll be back, Bennett!”
ほかにも何度かこの言葉を言うシーンがあります。探してみて下さい。


『コマンドー [Blu-ray]』,20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2010/07/23)

さらに翌年の『ゴリラ(Raw Deal)』(1986年アメリカ)では、シュワルツェネッガー演じる元FBI捜査官だった保安官マーク・カミンスキー(Mark Kaminsky)がカジノのシーンで言っています。
“I'll be right back.”
このあたりから、シュワルツェネッガーは意図的に“I'll be back.”を多用しているのではないかと言われ始めます。
この映画はかなりB級っぽい感じですが、マフィアの潜入捜査のために髪型を似合わないオール・バックにしたシュワルツェネッガーの珍しい姿を見ることができます。


『ゴリラ [DVD]』,ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン(2009/02/13)

『バトルランナー(Running Man)』(1987年アメリカ)では、シュワルツェネッガー演じる警察官ベン・リチャーズ(Ben Richards)が無実の罪をきせられ、凶悪犯がハンターたち(stalkers)から逃げる死のゲームを中継する『ランニングマン(Running Man)』というテレビ番組に出演させられます。競技が始まる時、シュワルツェネッガーはリチャード・ドーソン(Richard Dawson, 1932-2012)演じる番組の司会者デーモン・キリアン(Damon Killian)にマイクを向けられ、この言葉を口にします。
“I'll be back.”
日本語字幕では「また会おうぜ」となっていました。
ちなみにこの映画は、スティーヴン・キング(Stephen Edwin King, 1947-)が別ペンネームのリチャード・バックマン(Richard Bachman)名義で書いた原作を元にしています。原作は映画とはだいぶ内容が異なり、一般公募で選ばれた視聴者が場所を限らず30日間逃げ切れば10億ドルの賞金を手にできるという設定でした。なんだかテレビの『逃走中』にもちょっと似ていますね。


『バトルランナー [DVD]』,カルチュア・パブリッシャーズ(1998/02/25)

『ターミネーター』の続編『ターミネーター2(Terminator 2: Judgment Day)』(1991年アメリカ)は前作と同じジェームズ・キャメロン監督、シュワルツェネッガー主演で製作され、全世界での興行収入が5億ドルを超える大ヒットとなりました。この映画でももちろん重要なシーンで“I'll be back.”が使われています。

この映画ではもう一つの有名な決めゼリフ(catchphrase)が登場します。
“Hasta la vista, baby.”(アスタラヴィスタ、ベイビー)
です。エドワード・ファーロング(Edward Furlong, 1977-)演じる少年ジョン・コナー(John Connor)が、シュワルツェネッガー演じるアンドロイドT-800に不良っぽいセリフを一生懸命教えたものの一つです。
字幕では、
「地獄で会おうぜ、ベイビー」
「さっさと失せろ、ベイビー」

とか変な訳になっちゃってました。
“Hasta la vista.”(アスタラヴィスタ)
とはスペイン語で「また会う日まで」という意味の別れの挨拶です。言葉自体には下品な意味はありません。

アメリカはスペイン語を話すヒスパニック系住民が非常に多い国です。もともとメキシコ領だった州も多いですし、現在もメキシコに隣接していてラテンアメリカ諸国にも地理的に近いため、ヒスパニック系の人々が数多く住んでいます。2010年の国勢調査によると、アメリカの人口3億人のうちヒスパニック人口は6分の1にあたる5000万人にのぼります。
特にカリフォルニア州はヒスパニック系住民が全人口の3割を超えており、日常でもあちこちでスペイン語が飛び交っています。看板なども英語とスペイン語の両方で表記されていることが多いです。スペイン語は身近な外国語なのです。

ジョンは「マッチョな感じ」「ドスの効いた感じ」の言葉をT-800に教えようとして、敢えてスペイン語を使ったのだと思います。日本だと関西弁や広島弁、博多弁などを使うようなものでしょうか。

この映画では、ほかにも「問題ない」という意味の
“No problem.” (“ro”にアクセント, 「ノー・プブレム」)
のかわりに、ジョン・コナーがT-800に
“No problemo.” (“le”にアクセント, 「ノー・プロブレッモ」)
という言葉を教えています。
これはアメリカで実際に使われていて意味も通じるらしいのですが、実は「いんちきスペイン語」「ヒスパニックの人がいかにも話しそうな英語」なのだそうです。
マッチョな感じ。ドスの効いた感じ。ガラの悪い感じ。
要は雰囲気なんです。
日本にも「○○アルヨ」「○○よろし」みたいな、「中国の人がいかにも話しそうな日本語」がありますよね。こちらは別に「マッチョな感じ」はありませんが、「ユーモラスな感じ」や「いかがわしい感じ」を出すために使われることがあります。
(もし気を悪くされた方がいらしたらすみません。差別的な意図はありません。)


『ターミネーター2 特別編 [Blu-ray]』,ジェネオン エンタテインメント(2008/12/05)

話を“I'll be back.”に戻します。
この言葉はほかにも様々なシュワルツェネッガー映画に登場します。シュワルツェネッガー以外の登場人物が言っていることもありますし、“I'm back.”とか“She's back.”など形を変えることもあります。
僕が確認した範囲では、上記のほかに
『ツインズ(Twins)』(1988年アメリカ)
『キンダガートン・コップ(Kindergarten Cop)』(1990年アメリカ)
『ラスト・アクション・ヒーロー(Last Action Hero)』(1993年アメリカ)
『トゥルーライズ(True Lies)』(1994年アメリカ)
『ジングル・オール・ザ・ウェイ(Jingle All the Way)』(1996年アメリカ)
『シックス・デイ(The Sixth Day)』(2000年アメリカ)
『ターミネーター3(Terminator 3: Rise of the Machines)』(2003年アメリカ)
『エクスペンダブルズ2(The Expendables 2)』(2012年アメリカ)
などで使われています。
ちなみにこの中で僕は『ラスト・アクション・ヒーロー』と『トゥルー・ライズ』が大好きです。
あとシュワルツェネッガーはデジタル出演だけでしたが、『ターミネーター4(Terminator Salvation)』(2009年アメリカ)でもクリスチャン・ベール(Christian Bale, 1974-)が演じるジョン・コナーが言っています。
ほかに使われている映画をご存じの方は、どのシーンかも合わせてぜひ教えて下さい。


『ラスト・アクション・ヒーロー [Blu-ray]』,ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(2010/08/25)


【動画】“The Arnold Schwarzenegger "I'll Be Back" Supercut (アーノルド・シュワルツェネッガーの「アイル・ビー・バック」のシーン集)”, by clipnationdotcom, YouTube, 2012/08/30

シュワルツェネッガーは2003年から2011年にかけて、カリフォルニア州知事を務めます。
移民からハリウッド・スター、そして知事へ。まさにアメリカン・ドリーム(American Dream)ですね。
選挙運動や任期中の演説でも、シュワルツェネッガーは“I'll be back.”という言葉を効果的に使ったそうです。
ちょっと“I'll be back.”に頼りすぎという声もありましたが、まあそこはご愛嬌でしょう。

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アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Alois Schwarzenegger, 1947-)
By Bob Doran (The briefing), 14 January 2010 [CC-BY-2.0], via Wikimedia Commons

“I'll be back.”
大スターのシュワルツェネッガーつながりとはいえ、これほど映画に登場したセリフはないのではないでしょうか。
そして2011年に知事を退任した後、シュワルツェネッガーはスクリーンに帰ってきました。
まさに、
“I'm back.”
です。これからも素晴らしい映画を僕たちに見せてくれることを期待しましょう。

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「ターミネーター」「ターミネーター2」「トゥルー・ライズ」を監督したジェームズ・キャメロン(James Francis Cameron, 1954-)(左端)と
By Primeiradamaam (Own work), 19 December 2011 [CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

今回も長くなってしまいました。すみません。
それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】第14回:“May the Force be with you.”―「フォースが共にあらんことを」(スター・ウォーズ), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年05月06日
【関連記事】第35回:“Go ahead, make my day.”―「さあやれよ、俺を喜ばせてくれ」(クリント・イーストウッド), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年06月08日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版
【参考】United States Census Bureau(アメリカ合衆国国勢調査局)

【動画】“Terminator 1 - I'll Be Back (『ターミネーター』 -「アイル・ビー・バック」)”, by HDMovieClips, YouTube, 2015/02/13
【動画】“The Arnold Schwarzenegger "I'll Be Back" Supercut (アーノルド・シュワルツェネッガーの「アイル・ビー・バック」のシーン集)”, by clipnationdotcom, YouTube, 2012/08/30

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posted by ジム佐伯 at 07:00 | Comment(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この記事へのコメント
ジム佐伯です。コメントありがとうございます。
ブログをご覧になって頂きありがとうございます。
実はこの記事でオーストリア出身のシュワルツェネッガーを「オーストラリア出身」と書いてしまってました。
おかげで間違いに気付くことができました。ありがとうございました。
コメントとても励みになります。これからもよろしくお願いします!!
Posted by ジム佐伯 at 2015年03月08日 14:06
とても、わかりやすく、
楽しく読めました。ありがとうございました。
Posted by yoshiyoshi3936@gmail.com at 2015年03月08日 08:48
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