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2013年05月26日

第28回:“What is essential is invisible to the eye.”―「かんじんなことは、目に見えないんだよ」(サン=テグジュペリ)

(本文2297文字、読み終わるまでの目安:5分45秒)


こんにちは! ジム佐伯です。
英語の格言やちょっといい言葉をご紹介しています。

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By Nicholas Wang, derivative work by Poke2001 (Lepetitprince.jpg (P1000658)) [CC-BY-SA-2.0], via Wikimedia Commons

第28回の今日はこの言葉をご紹介します。
“What is essential is invisible to the eye.”
「大切なことは目に見えない」

これは、フランスの作家アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-1944)の名作『星の王子さま(The Little Prince, フランス語原題:Le Petit Prince)』(1943)の中に出てくる言葉です。

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アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-1944)
Photographer unknown [Public domain], via Wikimedia Commons

奥が深い言葉ですね。
僕が初めてこの作品を読んだのは小学校の1年か2年の時だったと思います。
サン=テグジュペリ自身が描いたというかわいい挿絵がつかわれていたので、よくある普通の童話だと思って読み始めました。しかし、やさしい表現ながらとても哲学的な内容にびっくりしたのを覚えています。もっとも、最初に読んだ当時は「哲学的」かどうかなんてわかりませんでしたが。

この言葉は、「王子さま」が「キツネ」から言われた言葉です。物語では次のように少し長い言葉になっています。
“It is only with the heart that one can see rightly,
 what is essential is invisible to the eye.”

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
 かんじんなことは、目に見えないんだよ」 訳:内藤濯(あろう)

ラスト近くでも、主人公である語り手の「ぼく」に対して「王子さま」がこの言葉を口にします。
「たいせつなことはね、目に見えないんだよ……」

繰り返し語られるこの言葉こそ、サン=テグジュペリが最も読者へ伝えたかったことなのかもしれません。


『The Little Prince (英語) ペーパーバック』,Antoine de Saint-Exupéry(著)

サン=テグジュペリはこの本の冒頭の献辞で次のように述べています。

“All grown-ups were once children.
 (But only few of them remember it.)”

「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。
 (しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)」

この本は子供むけに見えますが、かつて子供だったすべての大人に向けて書かれているのです。

サン=テグジュペリは飛行士でした。軍のパイロットを務めた後、民間航空界に入り、郵便輸送などに関わりました。
昨日ご紹介した『かもめのジョナサン』を書いたリチャード・バック(Richard Bach)も飛行士でした。
偶然そうなのか、この時代の飛行士がそうだったのかはわかりませんが、面白い共通点ですね。

1935年にサン=テグジュペリの飛行機はサハラ砂漠(Sahara desert)で墜落しました。パリ(Paris)から仏領インドシナ(French Indochina, フランス語:l'Indochine française)のサイゴン(Saigon)、今のベトナムのホーチミン(Ho Chi Minh City)へ向かうスピードレースの最中でした。4日後に発見されるまで、サン=テグジュペリと助手のアンドレ・プレボ(André Prévot)は飢えと渇きに苦しみました。幻覚や幻聴も体験したのだそうです。
「星の王子さま」でも語り手の「ぼく」がサハラ砂漠で飛行機が不時着し、「王子さま」に出会います。まさにこの時の体験がもとになった作品なのですね。

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サハラ砂漠での墜落事故時のサン=テグジュペリと乗機
By Saint-Exupéry/André Prévot (31 December 1935) [Public domain], via Wikimedia Commons

余談ですが、サン=テグジュペリは長い名前の持ち主としても有名です。
戸籍上の本名は「アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry)」なのだそうです。名門貴族の家系であるとも言われています。
僕は子供のころ、「サン=テグジュペリ」がフルネームなのだと思っていました。
それでも長いので、ファンである読者たちは親しみをこめて「サンテックス(Saint-Ex)」と呼ぶそうです。

サン=テグジュペリは第二次大戦でも招集を受け、偵察隊に配置されて北アフリカ戦線などで戦いました。彼は既に世界的に有名になっていましたので、ドイツ空軍の中にも彼の部隊とは戦いたくないと言った兵士がいたそうです。

しかし1944年、コルシカ島から単機出撃したサン=テグジュペリの乗機は地中海上空で行方不明となりました。搭乗機はロッキードP-38ライトニング(P-38 Lightning)がベースとなった非武装の偵察機F-5Bでした。
彼はその時44歳。ニューヨークで『星の王子さま』が発売されてわずか1年後でした。
サン=テグジュペリは「王子さま」の後を追うように、帰らぬ人となりました。
祖国フランスのパリで『星の王子さま』が出版されたのはさらに翌年の1945年、ドイツ降伏の後のことでした。

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サン=テグジュペリが搭乗して行方不明となった偵察機F-5Bの同型機
(非武装の偵察機で、機首には機関銃ではなくカメラが搭載されている)
By Air Force Historical Research Agency [Public domain], via Wikimedia Commons

2008年3月15日付の南フランスの地方紙『ラ・プロヴァンス(La Provence)』の電子版によると、撃墜したのはドイツ空軍のホルスト・リッパート曹長(Horst Rippert)が搭乗したメッサーシュミットBf 109(Messerschmitt Bf 109)らしいです。リッパート氏自身もサン=テグジュペリの愛読者だったようで、
「長い間、あの操縦士が彼では無いことを願い続けた。彼だと知っていたら撃たなかった」
と語ったそうです。

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サン=テグジュペリの搭乗機を撃墜したとされるメッサーシュミットBf 109の同型機
By Kogo (Own work) [GFDL or CC-BY-SA-2.0], via Wikimedia Commons

“What is essential is invisible to the eye.”
大切なことは目に見えない。

目に見えないからこそ、大切なことをしっかりとわかることができるようになりたいものですね。

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Image courtesy of artemisphoto / FreeDigitalPhotos.net


【動画】“The Little Prince Official Trailer #1 (2015) - Marion Cotillard, Jeff Bridges Animated Movie HD(『リトル・プリンス 星の王子さまと私』予告編(2015年))”, by Movie Trailers, YouTube, 2015/04/21


【動画】“映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』日本語吹替版予告編【HD】2015年11月21日公開”, by ワーナー ブラザース 公式チャンネル, YouTube, 2015/09/02

それでは今日はこのへんで。
またお会いしましょう! ジム佐伯でした。

【関連記事】 第27回:“Like everything else, Fletcher. Practice.”―「ほかのことと全部おんなじさ、フレッチャー。練習だよ」(かもめのジョナサン), ジム佐伯のEnglish Maxims, 2013年05月25日

【参考】Wikipedia(日本語版英語版

【動画】“The Little Prince Official Trailer #1 (2015) - Marion Cotillard, Jeff Bridges Animated Movie HD(『リトル・プリンス 星の王子さまと私』予告編(2015年))”, by Movie Trailers, YouTube, 2015/04/21
【動画】“映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』日本語吹替版予告編【HD】2015年11月21日公開”, by ワーナー ブラザース 公式チャンネル, YouTube, 2015/09/02



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posted by ジム佐伯 at 07:02 | Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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